「ご老体」
少しずつ春の陽気は感じられるようになってきた3月のある日、水橋はいつもより遅めの13時ごろ出勤してきた。今日は運転手としての仕事だ。
「おはようございます」
「おはようございます」
点呼を済ませ、車両へ向かう。
今日の乗務車両は、基本的に予備車扱いの最古参車 P-LV214K 1500号車だ。水橋は初めてこの車で乗務するので、非常にワクワクしていた。
この車は、かつて都営バスで活躍していた車で、車内は都市新バス仕様になっている。
水橋はワクワクしながら車内に入る。かつての都バス、ほぼそのままだ。
運転席に入り、エンジンを始動させる。
「ガガガガガガガガガ…」とエンジンの音が車内に響き渡る。たまに「ガコガコ」とギアの音が聞こえ、ボディこそキュービックであるものの、音はまさにご老体であった。水橋は感動しつつも乗務への準備を着々と進めていた。
水橋はゆっくりとバスを発進させ、始発停留所の下倉田駅前へバスを回送させる。
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