第2話 変えなきゃ、変えなきゃ、変わらなきゃ

僕は顔を真っ赤にしながら、鬼のようなスピードで、休み時間の廊下を歩いていた。

ええい、この変人ども。

僕の夢の音大生活をよくもよくも。

ここでは僕は輝けないじゃないか。


ふと立ち止まると、

あるチラシが目に入った。


『宗教音楽研究会、新入部員求む!』


ほほう、宗教音楽研究会とな。


宗教音楽とは、キリスト教などの宗教団体において、儀式や祭典の際に演奏されたり、歌われたりする音楽作品のことである。

つまり、なんかアヤシゲ。なんかコア。

むう、もしかしたら、この変人まみれの音楽大学にも、

僕がまだ出会っていない、真面目かつ勤勉な、

理想的音大生がいるかもしれない。


僕は早速、古ぼけた廊下の隅に心細げに突っ立てられている『クラブ入会届』のBOXに、宗教音楽研究会、そして、自分の名前、野山叡山(えいざん)、と書いて、丁寧にたたみ、そっと投入した。

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