第2話

夜が明けた頃、私達は売りに出される。

奴隷として売られてしまう。

いつから決まっていたのかは分からないけれど、どうせ抗う術は持っていないのだから変わらない。

流れるままに身を任せれば、いつか自由に手が届くはずだと思える程、私は子供ではなかった。


「大丈夫じゃないだろう」


熱が私の隣に移動してきた。

じゃらじゃらと耳障りな音が響く。

私はこの音が死ぬほど嫌いだ。

嫌でも自分が"不自由"だと気付かされる。


「そう見えるなら、そうなんだろうね」


そう濁して口を閉ざした。

これ以上彼と話したくなかった。

思い出を増やしたくなかった。

いつか忘れてしまうならば、今が恋しくたって仕方がない。


「お前がそうなら、それでいい」

「そう」


月明かりが私達を照らす。

冷たい彼女は何も言わずにじっと見つめるだけなのだ。

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