第10話 6/10
俺は、社会教育法によって定義された教育団体、いわゆるジュニアリーダーズクラブで活動している高校生である。ボランティアの依頼を受けて、その場所に出来るだけ参加するという団体である。今日は、地元の歩行者天国になるイベントの手伝いに行くことになった。電車についてのフェスティバルであり、子ども達に鉄道の歴史を知ってもらうためのクイズブースを担当する。正解数に応じて景品のミルクキャラメルの量が変わるようだ。
「本日は、宜しくお願い致します。」俺は現場の担当者に言った。何事も最初は挨拶から始まる。挨拶されて嫌な人はいないはずである。
「こちらこそよろしくね。えーと、お名前は何でしたっけ?」
「ジェームズです。」勿論、本名ではない。子ども達と触れ合う時は、ニックネームを通じて呼び合う。本名を聞かれても内緒にするのだ。
「ジェームズさん、本名は何ですか?」
「川間です。川間裕太。」
「あっ!ありましたね。本日は宜しくお願いします。こちら、烏龍茶になっています。熱中症には注意して下さいね。」担当者の方は優しく微笑みかける。信用の出来る担当者だ。稀に内心訳のわからない人もいるが。
「はい。有難うございます。」時が経つのは早い。あっという間にブースを開く時間となり、レールウェイフェスティバルのクイズブースは子ども達で盛り上がった。
「この会場の中に、クイズの問題が書いてあるから解いてきてね。」というような問題が書かれており、クイズラリーという形をとった。大人達と一緒に会場を回ってもらい、会場のグルメにも舌鼓を打ってもらいながら、楽しんでもらうのが目的のようだ。
子ども達の笑顔が見れるなら、少し辛くても頑張れてしまう。俺は子どもというものは素晴らしいと感じている。
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