第4話 6/4

ここは長野県のとある家庭。ラーメン屋を営んでいる。朝は仕込みと食事で忙しい。

「ほら!巧!蒸しパン食べたら、歯を磨きなさい!虫歯になっちゃうわよ。」母は叱りつけるが、息子である巧は言うことを聞かずに学校に行ってしまった。彼が言うには、「折角のおいしい蒸しパンを食べた後に歯を磨くなんて許せない。余韻に浸れないではないか。」ということである。

「困ったもんだわね。あの子も。」母はため息をついた。


「よし。慧理えり、今日はラーメン屋はやらん。ラーメンじゃなくてね。ローメン屋になるよ。いつもとは違う料理にはなるけど、俺がやるから気にするな。」そう言って、ローメンの日限定のローメン屋になった。


麺は土地改良制度によって土壌改良された賜物である小麦から作られた小麦粉を使った自家製麺の蒸した中太麺を使い、キャベツ、キクラゲをメインに人参、もやしといった野菜と羊肉を炒めて、鶏ガラスープと醤油や味噌、塩ダレなどの調味料とニンニクを加えて、加熱した中太麺と絡ませれば完成である。


この店では、鶏ガラと羊の骨から出汁を取ってスープを作り、ローメンを作ることにした。

メニューはローメンだけであり、そこから味付けである醤油、塩、味噌、台湾、坦々の五つの味を選び、最後に羊肉と豚肉、牛肉、鶏肉の四つの中から選んでもらう。そういう注文方法である。

「慧理、まずは野菜炒めを作っておいてくれ。虫には気をつけてな。この時期は虫が多いから衛生に気を遣わないとね。」

「分かってますよ。あなた。」

具材となるとなる野菜炒めを作ることにした。隣の寸胴では、羊骨と鶏骨がグツグツと良い音を立てて煮込まれている。特別メニューとはいえ、麺と出汁と具材に羊肉がある以外は、特に変わった様子もないが。


「予算の関係上、もやしが大半を占めるよね。」本来は、キャベツとキクラゲがメインを占めるが、もやしの方が多い。具材の中にはコーンと玉ねぎと人参も入っているが、やはりもやしは沢山だ。

いよいよ、オープンの時がきた。すぐに、第1号となる客が入って来た。

「じゃあ、味噌ラーメン一つ。」常連の客がやって来た。

「ごめんなさい。今日はラーメンはやってないんですよ。」

「じゃあ、何があるんですか?」

「ローメンです。五つの味と肉の種類を選んで下さい。」

「ローメンか。初めて聞くなぁ。じゃあ、台湾ローメンの羊肉にしようかな。追い飯は可能ですかな?」

「勿論ですよ。そこまでスープの量もありませんから。」


蒸した中太麺を麺鉢に入れ、ごま油と豆板醤や唐辛子、甜麺醤と出汁スープを入れて軽く炒めた野菜炒めと薄く切った羊肉を煮る。良い感じに煮えたら、海苔を盛り付けて完成となる。


1日限定のローメンは、その後も人気となり、1週間ローメンウィークが続くことになった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る