第37話 黒幕の正体は?


 その夜、家族だけで集まってこれからの事を話し合った。

 問題は、女王の1番上の姉のルフクーダエ教授だった。


「そうすると、皆んなの意見はルフクーダエ教授が今回の黒幕で、何らかの関与をしている可能性が強いって事だね。

 ん〜〜!

 今。ルフクーダエ教授に聞いても、本当の事を教えてくれるはずもないし。

 かと言って、女王の信頼が厚いので、私達が言っても誰も信じてもらえそうにないか」

「今回の事で、もし黒幕だったら怒り心頭で、何らかの行動に出ると思うんだ。

 それに、ドラゴン達もそうだろうと思っている。

 女王のドラゴンも同意見だけれども、女王にはまだ話していないみたい。

 ルフクーダエ教授のドラゴンは、年を取ったドラゴンで、ドラゴン同士の会話には入らないと言っていた。

 それ以外のドラゴンは協力的で、色々な情報がマザードラゴンに集まって来ている見たい」


 ナオミは、ドラゴン達が味方だと強く強調した。


「ドラゴン達の結束がここまで固いとは驚きだよ。

 お母さんのドラゴンに聞いたら、ナオミ達と同じ意見だった。

 それに、お母さんよりも先に知っていて、その事をお母さんが知らなかった。

 ドラゴン達の結束の方が、感応した人達よりも絆が強いんだね」

「ドラゴンは、種族の繋がりを重要視していて、種族繁栄の為に日々努力をしているんです。

 ドラゴンの精霊は、その化身と言っても過言ではなく、ドラゴンの英知が凝縮しているみたいです」

「そうすると、ナオミはドラゴンの精霊とも会話ができるのかい?」

「はい。できます。

 最初はビックリしました」

「ナオミには驚かされる事ばかりだよ。

 え〜〜と、それで話を元に戻すと、ルフクーダエ教授が何か行動を起こすと言っていたけれども、何か心あたりはあるのかい?」

「それが、全く分からないんです。

 私達に対して何かするかも知れないけれど、森の中は安全なので・・・多分?」

「それが分からなければ、対策の立てようがないね。

 とにかく、ナオミが1番に狙われるだろうから、例え王宮やサーシャリャーの中でも油断してはダメだよ。

 相手は千年以上生きている、悪知恵の働く悪魔と同じ、と考えた方がいいかもしれないね」

「はい。1人で行動しないで、複数で常にいるようにします」

「それが今考えうる最善の策かもしれないね。

 とにかく当分の間、王宮とサーシャリャーの二箇所しか行かないようにした方がいいね」

「はい。そのようにします」


 ナオミは、ルフクーダエ教授の授業で気になる事をお母さんに質問ををした。


「お母さん。ルフクーダエ教授は、授業中で繰り返し言っている言葉があります。まるで生徒を洗脳しているような気がするんです。

 それは、エルフとダークエルフは元々同じ種族なんだと。

 ダークエルフは食料危機に何度もなって、その都度エルフに戦争を仕掛けているけれど、ダークエルフは悪くはなくて、食料危機が悪いんだと。

 そして、ダークエルフに食料を分け与えないエルフも悪いのではないかと疑問を生徒に投げかけています。

 これって、洗脳のような気がしてならないんです」

「それは初耳だよ。

 明らかに、ダークエルフ側に立った考え方だね。

 昔からエルフとダークエルフは戦争状態で、幾度も争いが起きている。

 それを、ダークエルフが悪くない、と言った考え方は」

「ルフクーダエ教授の本性を知りたいのですが、これは誰に聞いても多分知らなくて、本人以外は誰にも知らせないようにしている気がしているんです」

「ナオミの言っている事はよく分かるよ。

 森の外に住居がある事自体が、怪しい限りだしね。

 そう言えば、殺された家族の家の方向にルフクーダエ教授の家が確かあったはずだよ。

 最悪、ルフクーダエ教授がこの家族を惨殺したと思ってこちらも対処した方が良さそうだね」


 スリーがお母さんに質問した。


「ルフクーダエ教授の魔力は強いの?お母さん」

「いや、普通の大人のエルフと同じレベルだね。

 強力な魔力を生み出す宝石があれば別だけれども・・・。

 古代の遺跡を発掘している目的の1つが、強力な魔力を生み出す何かを探していたのかもしれないね。

 古い言い伝えによると、王剣と同じ位強い魔剣が存在していらしいんでね。

 もしかしたら、それを探していたのかも知れない。

 もしそうだとすると、少し話は変わってくるよ。

 それに対抗できるのは王剣か、あるいは、この間試したスターサファイアとベクトルを組み合わせた例の方法でしか対抗出来ない」

「お母さん、もしもの為に、強力な魔法を教えてくれる?」

「そうだね。

 スリー、いいこと言うね」


 ナオミが少し笑って言った。


「スリーの考えに賛成です。

 私にも教えてください」

「もちろん、私にも」


 ニンフルも、強力な魔法を習いたいと思った。

 ルフクーダエ教授が、どんな手を使ってくるか分からないからだった。


「そうと決まれば、これから始めるけど、準備はいいかな?」


 3人が頷いて、その夜は遅くまでレベルの高い攻防の魔法をお母さんから習った。

 スリーは授業と違って真剣そのもので、覚えるのもいつもよりも格段に早く覚えていった。

 ナオミとニンフルは、元々優秀な成績だったので、スポンジが水を吸うようにそれらの魔法を覚えていった。


 いよいよ黒幕の正体が分かりましたよ!

 さて、これからどうなるかは、次回の話で。






















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