第36話 王剣の秘密

 数日後の朝、スリナリルとニンフルとナオミ、それにスースラムの4人は、王剣を隠していると思われる地下室行くために王宮に集まった。

 スースラムが眠そうに言った。


「それでさ、その女王のお姉さんは、千年間も地下に閉じ込められて何をしているの?」」


 ニンフルが答えた。


「誰かを操って、エルフの世界の情報を得ていた可能性が高いわ。

 地下から出られないから、それぐらいしかする事がないんじゃないかしら?」

「もしかしたら、強力な魔法の研究をしていたかも」


 スリーが言ったらナオミがそれに対して、疑問を投げかけた。


「それだったら、地下から出てきて自由の身になっているはず。

 まだ地下にいると言う事は、人を操る魔法には長けているけれども、その他の魔法は得意ではないと判断できる。

 もし、出来るとしても私達4人と、スターサファイアがあれば鬼に金棒」


 スリーがすぐに質問をした。


「鬼に金棒て、どう言う意味なのナオミ?」

「鬼はそれ自体が強いのに、金棒と言う強い武器を持つことによってさらに強くなる物事の例えよ」

「ふ〜〜ん。上手い話の例えだね」

「それと、マザードラゴン達が言うには、大人のエルフ達は女王の知られたくない過去を暴く事になるから、ドラゴン達が詳しく地下を調べるように助言しても、聞き入れてくれなかったみたいなの」

「それって、女王の腫れ物に触る思いなのかな?」

「ニンフルの言っている意味も分かんないよ〜」

「え、腫れ物に触るは、女王の痛い心のたとえだよ。

 スリナリルは、もう少し勉強した方がいいよ」

「あのね、今はその話じゃないだろ。

 それになんで、、だけ大きな声で言うの?」


 ナイトキラーの笑いがスリナリルに聞こえてきた。


「なんでナイトキラーがここで笑うの?」

「え、ごめんなさいね。ついね。

 とにかく、気をつけて」

「分かっていているよ。

 じゃ、行ってくるね」

「はい、行ってらっしゃい」


 ナオミが今度は笑いだした。


「スリナリルとナイトキラーの会話っていつもこんな感じなの?」

「うん、こんな感じ。

 でも、なんで笑うのさ」

「だって、お母さんとの会話みたいだったから」

「あのさ、もうこの話はやめてさ、行かない?」


 ニンフルとスースラムはキョトンとしていたので、ナオミが説明をすると、2人もお腹を抱えてわらいだした。


「あのさ、みんな行くの、それとも行かないの?」


 3人が同時に言った。


「もちろん、行きます」


 いよいよ出発になった。


 地下室に行くと、思っていた通りに扉があって、中に入れなかった。

 スリーが言った。


「この扉さ、何かの呪文で開くんだよね」

「周りを探してみてよ。

 何か見つかるかもしれないし」


 ニンフルが提案して、みんな周りを探した。


 ナオミは、ブレスレットのコンピューターを起動して周りの地形を網膜に映し出して調べた。

 すると。一箇所、アリの穴らしきものが見つかったので、そこに行ってみた。

 ブレスレットから、1センチぐらいの超小型のドローンを起動させて、この穴に侵入させて、どこまで穴が続いているか詳しく調べた。その情報を元にアリの穴を調べたら大きな空間を発見した。

 ドローンの視覚装置を起動させて中の様子を調べたら、そこが地下牢だと分かった。

 牢屋の中には老婆が1人いて、格子の外にはもう1人の人物がいた。

 その人物に近寄ったら、その人物が特定できた。

 執事のドドルミナスだった。


「・・・・・は、承知しております」


 今度は、しゃがれた女性の声が聞こえた。


「とにかく、これでナオミが女王になるのを阻止できた訳だ。

 もうよい下がれ」


 ナオミはすぐに閉じられた扉に向かい、魔法でみんなを呼んだ。

 ナオミがついた時には他の3人が既に扉の前に集まっていた。


「もうすぐこの扉が開くから、防御の魔法しないと危ない」


 他の3人は、ナオミが扉を開く情報をどこから得たのか驚いたけれども、打ち合わせ通りに防御の魔法を唱えた。

 唱え終えたと同時に、魔法がかかって開かなかった扉が静かに開いて、ドドルミナスが中から出てきた。

 無理やり横を通って、中に4人がなだれ込んで入って行った。


 老女が木で出来た檻の中にいて、こちらを睨んでいる。

 檻の中はベッドと机しかなかった。

 檻の外には所狭しと古い本と衣類置きがあった。

 しゃがれた声で、威圧的に言った。


「お前達は誰だ?」


 執事のドドルミナスは立ち止まってこちらを見ていた。

 食器を持っており、朝食を届けるためにここに来たみたいだった。


「この者はナオミと兄妹のスリーとニンフル、それにお友達のスースラムでございます」

「なに、こいつらが?

 お前達だけで来たのか?」

「そうだ。

 お前が王剣を隠したんだな」

「その通りだが、なんで知っている」


 スリーはデタラメを言った。


「そこのドドルミナスが教えてくれた」

「なんだと、長年意識をコントロールしていたと思っていたのに。

 私とした事が、油断したのか?」

「王剣をどこに隠した」

「王剣は私の物だ。誰にも渡さぬ」


 ナオミは既に王剣の在りかを把握していた。

 網膜に映し出されている画像には明らかに、右側の壁にある事を示していた。

 今度はナオミが、ドドルミナスの名前を持ち出した。

 怒りの矛先を、ドドルミナスに向ける為の作戦だ。


「ドドルミナスが王剣のありかも教えてくれました。

 王剣は、そこの右側の壁の中にカモフラージュして隠しています」

「え〜〜〜い、役に立たぬじじいめ。

 そこまで、こやつらに教えているとは」


 女王の姉は怒りに震えながら、魔法を唱えだした。

 唱え終わらない内にナオミ達も魔法を唱えた。

 バルーシャーの魔法はドドルミナスに放たれ、彼がもがき苦しみだした。

 ナオミの予想が当たり、裏切り者を先に始末したかったのだろう、怒りはドドルミナスに向かった。

 4人は、新しい剣や薙刀に埋め込まれたスターサファイアにゲジゲジ・シイタケを捕まえる魔法を放った。

 スターサファイアを使った強力な魔法攻撃だったので、完全にバルーシャーの動きが止まり、そのままの格好で後ろに倒れていって、鈍い音が地下に響いた。


 ドスン!!!


 ナオミはすぐに、次期マザードラゴンと連絡をとり、大人達に来てもらう様に連絡をした。

 しばらくすると、お母さんを含めた数人がやって来た。


 ドドルミナスがもがき苦しんで、口からは泡を吹いており、全身が痙攣していた。お母さんがすぐに魔法を唱えて、ドドルミナスを助けた。

 ドドルミナスはぐったりとして、そのまま気を失っていった。

 ナオミが牢屋の中に倒れている老婆を見ながら、悲しそうに言った。


「お母さん、この人は女王のすぐ上の姉で、女王を殺そうとした罪でここに千年以上閉じ込められていたんです。

 ドドルミナスを精神的に操って、王剣を盗んだ。

 そして、王剣をその壁の中に置いて、表面をカモフラージュしたんです」

「そこまで聞き出したの?」

「その〜〜、その事はもっと詳しく後で話します」


 マリネラは魔法を唱えて、王剣が隠されている壁に放った。

 あっと言う間にカモフラージュが無くなって、宝石が散りばめられ、見事な装飾された王剣が姿を現した。

 スリーが王剣を取ろうとしたら、お母さんが手で止めた。


「お母さん、なんで止めるの?」

「王剣はそれ自体が強力な魔力があって、持つものを虜にする。

 スターサファイアのさらに上に行く能力があって、数十倍に魔力を高めてくれる。

 それに、この王剣で亡くなった敵の怨念をも引き受けかねないんでね」

「それだけ、この王剣は扱うのが難しいって事なの?」

「そう言う事だね。

 それに、王剣を持てるのは王族しか許されてはないんだよ。

 あ、そうか、スリーは既に持てる権利があるんだね。

 でも、まだまだ早すぎる」

「分かったよお母さん。

 王剣が持てるように努力をするよ」

「おや〜〜。スリーから努力の言葉を聞いたのは初めてだね」


 周りのみんなが笑っている。


「それにしても、まさか地下に女王のお姉さんがいたとはね。

 どうやって調べたの?」


 ニンフルが今度は答えた。


「みんなで調べて、出た結論がこれだったの」

「いいチームワークだね。

 今度はお母さんも入れてよ」

「え、お母さんからは、叱られるとばかり思っていたのに」

「終わりよければ全て良し、だね」


 スリーがまた質問をした。


「お母さんが言ったこと、よくわからないよ〜。

 どうしてみんな、僕の知らない諺を使うの?」

「それは逆で、スリーが知らなさすぎるんだよ。

 つまり、結果が良かったら、途中の経過は問題にしないって事」

「あ、そうなんだ」


 周りのみんながまた笑っている。

 これで全て終わりと、みんなが思っていたが・・・・・。


 クイズです。

 黒幕は誰でしょう?

 次回に答えがありますよ〜〜。



















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