第35話 作戦会議
ナオミ、ニンフル、スリーとスースラムの4人が放課後、図書室に集合した。
図書室の隅にあるテーブルを囲って、周りに誰もいないか確かめるようにして、王宮の地下室行く相談を始めた。
「ここの図書館には、女王の姉に関する資料が沢山見つかったわ。
その中で、有益な情報も含まれていた」
ニンフルがみんなを見てから続きを話した。
「私達が予想をしていた通り、すぐ上の姉が女王を殺そうとしたけれども、警護の人達がそれを事前に分かって発覚したみたい。
裁判が行われて、死刑の判決が出たのだけれども、女王が減刑できないかと懇願したみたいなのよ」
ナオミが悲しそうに言った。
「女王は悲しかったでしょうね。
それで減刑されて、地下に千年間以上も幽閉されて今までいるんだね。
今度は私が女王になるから、その前に王剣を盗んだんだね。
でも、どうやって盗んだんだろう?」
「地下から出られないのは間違いがなそうだけれども。やはり、誰かを操っているとしか考えられない」
スリーが思い出したように言った。
「えーと、もう1人の姉のルフクーダエ教授が何か知っているかもしれないよ」
「ルフクーダエ教授はエルフの歴史に興味があって、今回の件とは関係ないと思うんだけれど」
ニンフルが言った途端に、ニンフルのドラゴンのニフティーナがニンフルに話し始めた。ドラゴンの精霊はニフティーナは非常に頭が良いと言っていた。
「ルフクーダエ教授も関係していると思うわ。
スリーに対する川イルカ競技でのいたずらは、生徒では難しい魔法を使った。
王宮に自由に入れて、地下にもおそらくは出入りしているはず。
それに、不可解なのが、森の外に住んでいると言う事。
しかも、長い間森以外の世界の住人だったとう言う事は、当然ダークエルフとも接触をしている可能性が高い」
ニフティーナが言った言葉を、そのままみんなに伝えた。
ニンフルが少し考えて話した。
「それって、黒幕はルフクーダエ教授になるわ。
ルフクーダエ教授が幽閉されている妹に、誰かを操る魔法を教えた。
それでないと、幽閉されている妹がそんなに高度な魔法を知っているはずはないから。
そうすると、話がますますややこしくなる」
ナオミが静かに話し出した。
「順番としては、地下の妹に会いに行って王剣を取り戻す。
そうすると、何らかのリアクションが、ルフクーダエ教授の方からあると思う。
先にルフクーダエ教授に直接聞いても知らないと言うだけだろうし、隠してある王剣もより強固にする可能性がある。
準備万端にして、王宮の地下の妹に会うのが先にした方がいいみたい」
スリーが用心深く言った。
「危険を伴うけれども、4人いれば大丈夫だとドラゴン達も思っている。
それに、お母さんの研究の手伝いで、複数のスターサファイアの使い方も分かったし。それを、実戦で活用しない手はないよね」
「僕もそう思うよ。
スターサファイアが4つで、あんな事が出来るとは誰も思わないよ」
スースラムが珍しく意見を述べた。
ナオミもスースラムの意見に賛成したみたいで、続きを話した。
「どんなに魔力が強いエルフでも、お母さんの研究の成果を知らないから、虚実でうまく行くと思う」
スリーがナオミに聞いた。
「あの〜、ナオミ。虚実って何?」
「虚実は、あると思ったら無くて、ないと思ったら有ると言う事なんだ。
今回で言うなら、大人のエルフから見れば、普通は私達子供4人が戦っても勝てない。
でも私達は、お母さんの研究の成果で、強大な魔法を使える。
つまり、敵が油断した隙に、反撃が出来る。
そう言う事よ」
「ふ〜〜ん。難しい言葉をナオミは知っているんだね」
ニンフルが呆れた顔でスリーに言った。
「あのね、スリー。これくらいの単語は知っていて当然よ。
戦術に関する本を読んだ事ないの?」
「勿論ないよ。
来年に確かその授業があるよね」
「だから、あらかじめ予習していたら今回のように物事の理解が早いでしょう?
スリーは、早いのが好きなはず、だったんじゃ〜〜なかった?」
「え、それはそうだけれど。
勉強の前に、勉強をしろって事だよね?」
「そうよ。
バラグンダダ教授の授業で、毎日練習をしていたから、あれだけの成果が出せたのよ」
「・・・・・?」
「も〜〜、スリー。聞いてる?」
「聞いてるよ。
ニンフルの言っている事は、バラグンダダ教授の授業でよく分かったよ。
そうだよね。生き残るためには勉強も大事だよね」
「え、スリー。もしかして納得してくれたの?」
スリーは少しだけ、ニンフルに微笑んだ。
スースラムも、真剣にニンフルとスリーの会話を聞いていて、納得されていた。
それから、具体的に王宮の地下に行く日時を決めて、この日は解散になった。
いよいよかな?
王剣を取り戻しに行くの?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます