第27話 真夜中でも?

 スリーは真夜中に、猛烈にお腹が空いて飛び起きた。

 辺りは薄暗かったので、魔法を唱えて蛍の妖精を呼んだ。


「ホホホタルコイヒカリヲ」


 以前出した蛍よりも大きかったのでスリーはビックリした。

 ナイトキラーがこちらを見ている。


「お腹が空いたわ」

「え、さっき食べたばかりだよ」

「赤ちゃんは、数時間おきに食べるものなのよ」

「それって、僕は眠れないってこと?」

「だから、サーシャリャーに行かなくてもいいんでしょう」

「え〜〜〜〜、本当に!!

 でもここには食べものがないよ。

 どうしようか?」

「その小さなベルを鳴らせば大丈夫」

「あのさ、ナイトキラー。

 体は赤ちゃんドラゴンなのに、言っていることはお母さんみたいだね」

「千年以上も知識を蓄えたからね。

 それよりも早く食べ物を頂戴。

 身体の新陳代謝が早くて、飢え死にしそう」

の意味が分からないけれど、ベルを鳴らすよ。


 スリーはベルを鳴らした。

 すると、待っていたかのように、すぐにドアの向こうで声がした。


「失礼します」


 そう言うとさっきのと言っていた女の人が入ってきた。

 手には鳥肉が沢山盛られた皿を持っていた。


「スルルです。

 これが入り用ではないでしょうか?」

「よく分かったね。

 は凄いや。

「先程、ナオミ時期女王のマザードラゴンの食べ物をお持ちしましたので、多分こちらもと思っていました」

「ありがとう。

 助かったよ。

 あ〜〜〜。ウンコしてる〜〜〜」


 ナイトキラーが食べながら言った。


「あら、ごめんなさい。

 まだ赤ちゃんだから、体のコントロールがまだできなくて」

「あのね、千年生きていて、ウンコを僕のベッドにしないでよね」

「生まれたの昨日よ。

 忘れたの?」

「あ〜〜〜、もしかして。ウンコも数時間おきにするの?」

「勿論よ。

 新陳代謝が早いって言ったでしょう」


 スルルが、スリーとナイトキラーの会話は聞けなかったけれど、多分ウンコの事だと思い、あらかじめ用意していた掃除の道具をスリーに手渡した。


「ありがとう、スルル。

 何でも分かっているんだね。

 あのースルル、質問なんだけどて何か知っている?」

「新陳代謝でしたら、必要な物質を取り入れて、不必要になった物質を出す事だと思いますが」

「あ、そうなんだ。

 赤ちゃんドラゴンは新陳代謝が早いので、ご飯とウンコを数時間おきにするんだね。

 でも、それって大変だ。僕、ねれないよ!!」

「大丈夫ですよ。

 徐々に間隔が長くなってきいきますから。

 一ヶ月もすれば、一晩中寝ていますので」

「え〜〜〜〜、一ヶ月もかかるの!!」


 ナイトキラーがスリーに食べながら言った。


「スリーのお母さんも同じように、スリーが生まれた時に数時間おきにオッパイを飲ませてあげていたのよ。

 知っていた?」

「それって本当なの?」

「ドラゴンは嘘は言えません。生物としての性質上嘘がつけない。

 ダーク魔法でドラゴンの意思をコントロールして言わせる事はできるけどね。

 とにかく、お母さんに感謝することね。

 それに、お母さんは2人の世話をしていたのよ」

「そうだね。

 お母さん大変だったろうな、ニンフルと僕の2人で」

「私の世話で、お母さんの苦労を体験できるわ」

「あのね。それが世話をされる赤ちゃんの言うセリフ?」

「それがドラゴンの赤ちゃんよ。

 私は、この体にまだ慣れてないので、スリーに当分はお世話になるわね」

「うん、任せてよ。

 でも、眠いや」

「私も眠い。

 また寝るね」


 ナイトキラーは言った途端に寝てしまった。


「スルル。赤ちゃん寝たけど、また数時間後には、お腹を空かせてウンコして目がさめるみたい」

「はい、よく存じています。

 私のドラゴンも同じよう世話をしましたから」

「そうなんだ。

 眠くなってきたから寝るね」

「はい、おやすみなさい」


 スリーは眠れたと思ったら、お腹が空いてまた飛び起きた。

 魔法で精霊の蛍を呼ぶと、さっきと同じようにナイトキラーがこちらを見ていた。


「眠いや。さっき寝たと思ったのに」


 ふと、横のテーブルを見ると、既に鳥肉がお皿に盛ってあった。


って、本当にすごいな」

「感心していないで、早くて頂戴。おな」


 スリーはナイトキラーが言い終わらない内に、続きの言葉を言った。


「お腹が空きすぎて、死にそうなんだよね」


 ナイトキラーの顔が少しだけ笑った顔になった。

 スリーはそれを見てとてもいとおしいと思った。

 こうしてスリーは夜中に何度も起こされて、ナイトキラーの世話をした。


 ウンウン、生まれたての赤ちゃんて、世話が大変なんだよね。

 頑張れよ、みんな。

 歯磨けよ。お休み〜〜〜!!

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