第8話 巨大な蜘蛛

 そろそろ食事が、終わろうとした時。


「新人でごんすか?」

「キャ」


 ナオミが小さな悲鳴をあげた。

 突然、ナオミの前にスルスルと降りてきたのは、体がエルフの頭と同じくらいで、足を入れると1メートルもあるクモだった。


 学園の木であるアットオモッタライチマンネンを、この種類のキモイケドココロヤサシイクモが木に虫がつかない様に捕食して管理をしている。


 スリーは、次のお菓子が口の中に入って、モゴモゴしながらナオミにクモを紹介した。


「ナオミ、モゴモゴ、こいつはゴンスだよ。

 ゴンス、モゴモゴ、この子は地球人のナオミ」

「は、は、初めまして」

「初めましてゴンス」


 ナオミは。クモは嫌いではなかったけれど、突然現れた大きなクモに体まだ緊張していた。

 ゴンスが仲間達に、エルフには分からない言葉で話し始めたら、ホール中のクモがナオミの周りに集まってきた。

 彼らも地球人の女の子を見るのが初めてだった。


 この種のクモは、言葉の後に自分の名前を言う癖があるので、名前を覚えやすい。

 ナオミは緊張していて、首を動かせなかったので、声のする方に頭と体を同時に動かして挨拶をしていた。

 それを見ていた生徒は笑っている。

 スリナリルはそれらの生徒を睨みつけた。

 最後のクモの挨拶が終わる頃には、ナオミの首がやっと回るようになっていたと思ったら、今度は子犬ぐらいの大きな白いアリがテーブルに登ってきた。

 生徒の残飯を片ずけに来ていたのだ。

 クモで慣れたみたいで、ナオミはアリに話しかけた。


「初めまして、アリさん」


 ナオミが話しかけても返事をがなかった。

 まわりの生徒がまた笑っている。


「なんか、変なこと言ったかしら?」


 ニンフルが助け舟を出した。


「ナオミ、このマッシロアリは言葉を話せないの。

 女王アリだけが話せるのよ」

「そうなんだ。知らなかったわ」

「明日の動物学のダラダンバ教授のクラスで、アリの巣の見学あるのよ。

 その時、女王アリに会えるわ」

「アリの巣に入れるんだね、とっても楽しみ」

「私もよ。初めてだもの」


 スリーは不満そうに二人に言った。


「僕はあまり行きたくなよ。暗くて迷子になりそうで」

「スリー、大丈夫よ。

 午後からお母さんの授業で、光を出す魔法を習うことになっている」

「なんでニンフルが知っているんだよ」

「私、予習をしたからよ」

「え〜〜。

 勉強の前に勉強しているの?」

「そうよ。スリーもしたら?」

「僕はいいよ。ほかで忙しいから」


 ナオミがクスクス笑っていた。


 ゴンスとスリーは妙に気が合っていて、お互いを信頼していた。

 ゴンスがスリーの顔近く寄ってきて、内緒話しを始めた。


「最近マッシロアリが、おかしいでゴンス。

 昆虫を巣に持って帰っているでゴンス」

「ゴンス。もうちょっと離れてくれない。

 近くでみると、そのう〜〜!

 吐き気が、そのう〜〜!

 とにかく離れて」

「大事な話でゴンスのに」


 スリナリルはゴンスをまじかで見たので、もう少しで吐きそうになっていた。


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