第5話 復活

あの日から三日経って歩けるまでは復活したんだけど、あれからずっとリクが心配してくるようになった。本当にめんどくさい程に。


「まだ歩かない方がいいよ!!」

「俺が狩りしてくるからさ、カコは寝てていいよ。ちゃんと待ってて!!」

「飲み物いる??水飲む??」


出会った時から思ってた。なんでこんなに僕に尽くしてくれようとするんだ??僕が人鬼なりたてだからだろうか。だとしたら、僕はリクに迷惑をかけている事になるから嫌だなあ。心配してくれるのは嬉しいんだけど。


「リク、僕のこと放っておいて?」

「どうして?俺なにかした??」

「迷惑かけてるだろ?人鬼なりたてだから」


人鬼になりたてだからじゃないと叫んだリクに驚きを隠せなかった。泣きそうになってるリクに、申し訳なさまで出てきた。確かに、この何日かでリクの性格の良さとか色々わかることはあった。僕が言った一言で泣かしてしまうとは思わなかった。


「ごめんね。泣いちゃうと思わなかった。」

「俺が、カコを人鬼にしたんだ。俺が、カコを殺したんだ。その罰として、俺はカコに全てを捧げることにした。」


どういうことだ??リクに殺されたのか??でも、その罰で僕に全てを捧げる?いま、その罰を受けていて、今までの優しさは全部嘘だと言うのか?それだったら、僕は嫌だ。


「ふざけんな!!!」


突然、僕が叫んだことに次はリクが驚いた。だって怒るでしょ。リクが関わって人鬼になってしまったとしても、記憶のない人鬼に尽くすことは間違っている。リクの人生を、大切な鬼生を、僕のせいでぶち壊したくない。リクが幸せに笑っていることが、僕にとってはいいのになんで罰みたいな形で傍にいられなくちゃならない??そんなのはごめんだ。だったら、僕がりくの前から消えてしまえば全て終わるのと一緒なのではないか。


「リクが、そんなことを思って僕の側にいるなんて僕がごめんだ。出ていく。今まで、色々尽くしてくれたこと、感謝するよ。」


マスクを掴んで家を出た。そして、マスクをポケットに突っ込んで、7階から飛び降りた。着地は完璧に出来たから、怪我はひとつもなかった。人鬼って凄いなあ。向かったのは、人がうようよいる繁華街で少し遊んでいこうと思った。たまには、人間と共にいることもいいだろうし、いまは幸い腹は減っていなかった。いまだと、人間を見て空腹感は得ないはずだし、この街のことはまだ何も知らないから、これもいい機会だろう。


「東京の街を少し探検してみよう。」


騒がしい街だけど、おしゃれな店が沢山あったりして結構楽しめる。にしても、人の多さは疲れるけれどな。しばらく歩いていると、少しアンティークな雰囲気がいいカフェを見つけたので入ってみることにした。隠れ家みたいな雰囲気もまたいい。店員さんは、おじいさん1人だけだった。

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