第4話 人間狩り

マスクができたので、僕は1人で取りに行った。リクは、あれから学校やら狩りやらに出かけて滅多に帰ってこなくなった。なにかいけない事でも聞いてしまったのかな。何がともあれ、ひとりは寂しいのだか…。


「あっ、お姉ちゃん!!」

「マスク、できてるかな?」


お母さーん!!と叫んでお店の中に入って行った女の子についていった。相変わらず、綺麗なお母さんで羨ましい。奥から、黒いマスクをもってでてきた。かっこいいマスクだった。僕に似合うかな??不安になってきた。


「サイズはぴったりね。よく似合ってるわ」

「ありがとうございます。あのお代は…」

「お代は結構よ。ユミともよく遊んでもらってるみたいだしね?」


なんて優しいお母さんなんだろうか。お礼をいって店をでた。あれから、リクが持ってきてくれた肉を食べたおかげで人間の匂いはマシになってきた。まだ、微かに残ってはいるけれど大丈夫だろう。


「人間の…匂い!」


後ろから、激痛が走った。首を噛みつかれて肉を食いちぎられた。共食いする人鬼もいるなんて聞いてない。精一杯の力を振り飛ばして、そいつをぶっ飛ばした。そこでやっと人間じゃないことが分かったのか逃げていったけど、僕はもう力が出ないため歩けない。


「人鬼になっても、早死とかふざけんなよ」


もう意識が飛ぶってところで、ふわっと体か浮いた。誰かに担がれている。顔を見ようとしたけど、マスクのせいで顔は見えない。でも、この匂いは知っている匂いだった。


「リク…」

「喋んな」


なんでリクがこんなところに??マンションから結構あるところだから、いないのが当たり前なんだけど。学校の帰り道なのかな??だったら、僕ってついてるな〜。リクには迷惑かけちゃってるけどさ。


「人鬼は、首1箇所やられたくらいでは死ねない。だから、しばらくしたら治る。お前は人鬼になってからまだ日がたってないから治りは遅いけど。」


人鬼は死ねないのか。てか、人鬼になってから間もないとか関係あるんだなあ。死ねないってのもいいかもしれないけど、生まれつき人鬼のやつらっていつ生まれたんだ??知識は当然あるけどって感じだもんなあ。


「リクって、生まれつきなのか?」

「俺は、お前と一緒だ。赤子の時にこっちに転生したんだよ。親は死んじまったけどな」


赤子のときにってほぼ生まれつきよなあ。親は死んじまったってのも結構つらいと思うのに、よく生きてんなあってなんで親が死んだってわかるんだ??記憶が残ってるのか?


「記憶があるのか??」

「赤子だから、記憶消さなくてもいいと思ったんだろうな。」


あの人がリクの人間だった記憶を消さなかったのか気になったけど、どうやって会えるのかとか顔とか姿とか何もかも分からなかったから、諦めた。僕の記憶はどこへ行ったのだろうか?もうそれすら気にならなくなった。

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