第3話 新しい鬼生

ここの店長とは、長年の付き合いらしい。家を改造して店にしているから、いつでも出入りしても良いとのこと。彼は、ここの事をよく知っていた。そして、中から綺麗な女の人が出てきて、その後ろから可愛い女の子が男の子に向かって走ってきた。


「パパ!!」

「えっ、パパ??」


あまりにも青年に見えていたので、子持ちだとは思えなかったけど子持ちなのか…。明らか、10代。童顔って人もいるから珍しくはないが、世の中少し怖いなあ。


「あっ、これは違うくて!!」

「あはは!!お兄ちゃんの彼女??」


なんだ、お父さんじゃなくてお兄ちゃんなのか。綺麗な女の人が、こらっと怒っていた。絵になるなあと思いつつ、挨拶をしていた。


「えっと、どうやら今日からこの体になったみたいで。何もわからないとこを助けてもらいました。本件は、マスクを作って欲しくて…。」


可哀想にとお姉さんは、僕の頭を撫ででくれた。女の子が、男の子から僕の方に来た。


「確かに、微かに人間の匂いがするね。」


その瞬間、男の子の顔が曇った。不思議に思ったお姉さんが、男の子を奥の部屋に連れて行った。女の子とふたりになってしまったのでなにかお話することにした。なにを話そうか迷ったが、先に女の子が口を開いた。


「お姉ちゃん、これあげるね!」

「これなに??」

「鬼人形なの!かわいいでしょ??」

「とってもかわいい。ありがとう」


そんな話をしてた時に、奥から戻ってきた。そして、マスクを作る話をした。明後日くらいに出来るから、取りに来てとの話だった。

そして、また男の子に手を引かれると、そのまま外に出た。そういえば、名前知らない。


「あの」

「あ、ごめん。」

「名前、聞いてない。僕の名前は古瀬カコ」

「橘リク」


無口なのか、あまり喋ってはくれなかった。でも優しそうな顔をしてたから、なんとなくついて行ってた。そうすると、知らないマンションに着いて、入って行った。部屋の鍵を持っていたので、どうやらここはリクの家らしかった。入るように促されたので部屋に入ると、生活感のない綺麗な部屋だった。


「綺麗な部屋だね。」

「めったに使わないんだよ。」


その二言だけ話して、また無言が始まった。人間の匂いがする人鬼は嫌なのだろうか??それともなにか僕に言いたいことでもあるのだろうか??全くわからないかった。しかしながら、今日から生活を共にする人としては知っておきたいしなあ。僕が人鬼になったきっかけを知っているのだろうか??


「なんか、隠してる。」


明らか図星であるという反応をしたから、僕に何かを隠しているというのは明らかだったけど、聞かないであげよう。僕だって、今知ったらきっと上手く接することが出来ない。

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