第2話 人生やり直し

なくなった記憶の中で、1回死んだ可能性だってある。本来なら、ありえない事でも私は今、この身にしみじみと現実だと感じている。…まさか、人鬼になったというのか??


「やっと、お気づきになられたか。」


後ろに立っていたのは、一人の男性だった。細身で、イケメンで、私が嫌うイケメンだった。そのイケメンが、私に何の用だ??まさか、ニュースでやっていた顔と一致したから追いかけてきたのか??死んだのに、生きていうことでテレビに売るのか??マスコミに売るのか??それだけは、勘弁だ。


「古瀬カコさん、貴方は死にました。そして、人鬼になって頂きました。記憶を消しますか??そして人鬼として真っ当な鬼生を過ごしますか??」

「それって、人を食って過ごせってことですよね。無理ですよ、私は人間だ。人鬼になっているような予感はしてた。記憶も無くしたくない。でも、それしか道がないのなら、記憶を半分消してください。」


半分とは、人の顔だけの記憶を残しておくことだ。そうすれば、この人は何らかの関わりがあった人だとわかる気がした。その人は、私に木の実のようなものを渡してきた。これを食べれば、もう正式に人間ではなくなる。人鬼として堂々と過ごしていくことになる。


「では、良い鬼生を―。」


消えていった謎の人物に、戸惑いながらも私は木の実を食べた。何も起きないと思った矢先に、苦しみと痛みが襲ってきた。治まると頭が真っ白になるような感覚が襲ってきて、私は、今までの記憶を失った。


「お腹空いた。」


丁度いい時に、マスコミの連中が集っていた。お腹いっぱいに食べれそうだ。でも、カメラ持ってるから撮られると、人に警戒されちゃう。諦めよう。


「人を狩る時は、マスクとか仮面つけたり、フード被ったりすんの。」


そうして、マスコミに突っ込んでいった。あっという間に、辺り一面血だらけの海と化した。こっちに戻ってくると、まるまる太った人間の死体を目の前に落とした。


「さあ、喰えよ。腹減ってんだろ?」


僕は、腕をもぎとり口にした。なんとも言えない美味しさが口いっぱいに広がった。その肉は、全部僕にくれた。なんて優しい人なんだろうか。食べ終わったのを確認したら、僕の手首を掴んで走り出した。


「店に案内する。」


そうして、僕の運命の出会いは始まりの鐘を告げた。店につくと、closeの文字。それでも、中に入る男の子。僕はその後に続いた。

そこは仮面屋さんで、結構有名らしいが人間には知られてないらしい。

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