第2章 記憶Ⅰ

 大学からの友人の晃明と、僕と同じ高校の演劇部だった一成の3人がメインになり、劇団ボイドを旗揚げしたのは1浪して入学した12年前の10月。まだ本気で続けることよりも、サークル活動の延長で芝居を楽しむことが目的だった。


 入学した当初は学内の他の劇団に晃明と共に籍は置いたものの、先輩が演出する芝居の傾向が自分の好みではなかったことと、態度には出さなかったが強制された無意味な上下関係に対する反撥もあり、問題を起こすまでもなく、1度の公演も参加しないうちに僕はあっさりと辞めていた。


 一方晃明は、彼の長所でもある歯に衣を着せない性格を劇団に対する不満に向けたため、面白いように先輩たちを怒らせていた。しかもその正直な性格は彼の気まぐれなところと相まって、安住を求める同期の仲間からも敬遠され、居づらくなったのか、僕と前後して姿を見せなくなっていた。


 僕は晃明と同じ学部で講義が重なることが多く、劇団を辞めたあともつきあいを続け、互いの芝居に対する思い入れを交わすうちに意気投合し、いつの間にやら親しくなっていた。

 これはのちに聞いた話だが、当時自分の思い通りになる劇団を作りたかった晃明は、何とかして劇団を作らせようと、言葉巧みに僕をあおっていただけらしい。

 案の定その気になった僕が発起人になるわけだが、考えてみると確かに晃明は、劇団創設にあたり、自分でことを起こすなど何ひとつなかったように思う。

 結果、仲よくなったからいいものの、当時意気投合していると思っていたのは僕だけだったのだ。

 この話を持ち出すたびに晃明は、すまなそうに一重を細めるが、頭ひとつ高い上背から見下ろす態度が傲慢に思えるので、僕は心の中で、猫背と晃明が気にしていることをいつも呟いていた。


 晃明の性格は本人が言うところ、苦労が嫌いの面倒臭がりだそうで、確かに面倒だとわずかにでも思えることなら、まず敬遠するだろうと考えて差し支えない。時に腹が立つこともあるが、分かりやすい彼の性格は扱いやすさも兼ねていた。もっとも晃明に簡単に担がれた僕の方が、彼にとっては扱いやすかったのかもしれないが。

 まあそんな単純な2人が盛り上がったところで、実際にどう進めるかとなるとてんで話にならないわけだが、とりあえず、同級生の平大志を入れることにした。


 名字が平だからペラと呼ばれるこの男は僕と晃明の1つ年下で(彼は現役で入学した)、一見社交的なようでよく喋るが、実は緊張を隠すため喋っているだけのことで、よくよく聞いてみると場の空気を外した発言の多さに気づく。それを面白がる晃明がからかうと、それなりにプライドが傷つくのか、いつまでも文句をぶつぶつ繰り返すので余計にからかわれる結果になる。背が低い上に痩せた男なので、背が高く筋肉質の晃明には立ち向かえそうにもなく、口で文句を言うのが精一杯なのだろう。要は晃明の丁度いい暇つぶしの相手なのである。そんな哀れなペラをいいかげんな気持ちで慰めるのが僕の役目なので、3人はよくつるんでいた。


 学校も夏休みに入るとお互いアルバイトなどで会う時間も減り、ましてや数少ない演劇経験者はみんなどこかの劇団に収まっている状況で、新たなメンバーを集めることは実に至難を極めた。僕と晃明の2人しか役者がいない現状では演れる芝居も限られてくる。(考えてみればペラは演劇とは無関係だった)

 行き詰まった僕は実家がある千葉に帰ったついでに、高校の演劇部仲間の一成と連絡を取り、相談がてら話を持ちかけた。(ちなみにその頃晃明は、ボイドのことを気にもかけず呑気に彼女と旅行に行っていた)

 僕が意図して情熱的に語る間、一成は澄ました顔で聞いていた。話に食い付くわけでもなく、かといって興味がないわけでもないようで、僕の目をまっすぐ見ながら、フライドポテトをぼりぼりかじり、淡々と相槌を打つ。真意をはかりかねるマイペース振りに、改めて一成の性格を思い出した僕は、面倒臭くなってメンバー募集の要点だけを伝えた。

「そうだな」と一成は目線を遠くに前髪をかき上げる。しばらくして目線を僕に戻し「少し時間ちょうだい」と茶目っ気たっぷりに笑った。一成は実にもったいぶった男なのだ。


 ともかくも僕は一成の最後の笑顔に望みをかけて、最悪3人でできる芝居を探し、僕とペラの2人で手当たり次第メンバーを探すしかなかった。

 やがて学校が始まり、メンバー探しをペラに任せた僕は、真っ黒に日焼けした晃明と一緒に公演する芝居を選び始めた。僕が探してきた戯曲の中に晃明の演りたい芝居はなく、無駄に時間だけが過ぎていく。彼が演りたい芝居は少なくても15人は必要なのだ。


 人集めもままならず頓挫しかけた10月の始め、一成は突然、裏方志望を含む8名の人材を揃えて僕たちの前に現れた。

 ファミレスのコーヒーに手を着けるのも忘れ、僕は自分から話を持ちかけたにもかかわらず、思わずどうしたのと訊いてしまった。

 一成は僕の言葉が意外に思えたらしく、珍しく顔をしかめて「仲間が欲しいって言ったじゃないか」と事もなげに言い放つ。

 晃明は面子が揃って機嫌がいいのか、言葉は少ないがにやりと微笑みを絶やさない。

 ペラは気を使って話しかけ、和やかなムードを作ろうと懸命だ。

 つきあって笑っている新メンバーもいずれ笑わなくなるのではと余計な心配を僕にさせる。

 ペラのおかげか初顔合わせもいい雰囲気で進み、それぞれの役割もおおよそ決まっていった。

 僕は演劇経験者の少なさから演出を担当し、音響と照明の経験がある一成には舞台監督を任せる。晃明は当然役者一本なのだが、不思議なのはペラも役者をやることだ。

 早速晃明から馬鹿にされて顔を真っ赤にして怒っていた。これで新メンバーもペラのポジションが何となく分かったに違いない。

 一成は場の勢いに流されそうな時もひとり努めて冷静でいるので、乗り気なのかそうでないのか気持ちをくみかねることがある。本当はどう思っているのか僕はつきあいが長い一成に改めて尋ねた。

 一成は目線を1度僕からはずし「仕事はスマートにやるもんだ」と彼らしい分かったような分からないような答えを返した。

 こうしてボイドの旗揚げは順風満帆ことが整い、10月の初顔合わせのこの日をもって結成となった。


 やがて楽しいだけの2年間が過ぎ、切迫する就職の問題を避けられなくなると、ボイドにも解散の空気が漂い始めた。

 気ままな晃明は、楽しいから辞めないという単純な理由で就職せずに役者を続ける意向を示した。

 一成はもともと就職するむねを、解散が話題に登る以前からちらつかせていた。彼は国立大の理数系で自分の進む将来をすでに描いた上で進学していた。

 僕はというと演出の味を覚えたばかりで、戯曲が自分の色に変わっていく課程に手放しがたい魅力を感じ始めていた。

 だが芝居に執着しているのはメインの役者ぐらいで、ほとんどのスタッフは芝居に見切りをつけ、本来の学生のあるべき姿へ自然と移行していった。ひとり、またひとりと仲間が去っていくにもかかわらず、気持ちを断ちきれない僕に、一成はある提案をした。

 最後の公演と予定されている秋の学祭で、僕に戯曲を書いてみろと言うのだ。

 劇団として活動していくにはその劇団ならではの特徴が必要で、もし僕の戯曲と演出に他と違った何かが見つかるのなら、自分たちを信じて続けても間違いはないんじゃないかと。自分もできる限り協力するとまで一成は言ってくれた。

 諦めかけていた晃明は、存続の責任が自分から離れたこともあり、ここぞとばかりに僕をあおり始めた。


 結局一成の提案通り、解散するか否かの結論は、秋の公演の観客によるアンケート結果まで持ち越され、そのミーティングの夜から、僕は初めて創作という自分との戦いを味わうこととなった。

 気負うなというのはどだい無理なようで、うちからわいて出る言葉のコントロールが効かず、物語の枠をはみ出す言葉の力に、初めての僕は演出以上の驚きと興奮を感じていた。

 冷静な一成があけすけにメスを入れてくれたおかげで、何とか体裁を保った僕の戯曲は、その秋の学祭でついに日の目を見ることとなった。


 ボイドが結成されて丁度2年。第4回公演の演目は「その肉塊」。

 人の生死とは肉体的なことではなく、精神的なことで判断しなければならないというテーマを、晃明とペラの軽い掛け合いの中なるべく重くならないように混ぜた。

 相手に伝えるための言葉や態度が誤解やすれ違うことで相手に伝わらず、自分の中にとどまることを僕はなくした気持ちと呼び、その気持ちの喪失感が死につながっていることを表現しようと試みた。テンポのいい展開で、泣いて笑える芝居を目指したつもりだ。


 観客の反響は以外とあっさりしたものだった。場内の空気を掴むのが巧い晃明の演技に助けられ、表面的な面白さは伝わったようだが、自分が言わんとする物語の深層までは観客の注意を引いていないように思えた。同じ客席で雰囲気を感じたからではなく、上演される自分の芝居を客観的に観て、煮詰めの甘さと独りよがりな言葉遣いを本人が自覚したからだ。しかし打ちのめされたような挫折感は、僕に悔いと挑戦者の覇気を生み、諦めなければならない状況がかえってやる気の追い風となった。

 僕の芝居を継続する意志は、この瞬間漠然とかたちになり始め、この後の美里との出会いを待って、いよいよ僕を支配するようになる。


 それぞれがそれぞれの思いで過ごす打ち上げの席で、僕だけはほぞをかみ量だけの酒を飲んでいた。誰もあえて口には出さないが、この時期にはもう解散は決定的で、観客の反応云々と言うまでもなく、僕と晃明除く全員がすでに芝居を思い出に変えていた。

 最後と分かっているぶん打ち上げは盛況を極めた。スタッフだけでなく観にきてくれた友人とで入り乱れ、店を移るごとに幾つもの固まりに分裂し消えていった。

 晃明にたらふく飲まされたペラは前の店のトイレに行ったまま行方不明になるし、当の晃明はペラのコートを女の子に着せてそのままカラオケに向かった。

 僕は自分の意気込みを語る相手を失い、ひとり淡々と酒を飲む。

 そろそろお開きになるころ、会計を済ませた一成が僕の肩を叩いた。

「コノちゃん、次行くよ」と酔っているのか意味の分からないピースサインを僕に見せる。一成は彼女と来てたので、個人的には飲みたい気分だったが遠慮することを告げると、すでに何度か会っているにもかかわらず「俺の彼女を紹介してやる」とまたしてもわけの分からないことを言って僕の腕を引っ張った。


 店の外には一成の彼女の脇坂さんが、甲斐甲斐しくも一成のバックとコートを持って待っていた。僕と目が合い「今日はお疲れさま」と軽く手を振り、そのまま一成のそばにいきコートを着せてやっている。

 スレンダーで背が高く美人の脇坂さんにそこまでさせるほど、一成がいい男だったか僕にははなはだ疑問だが、気の強い脇坂さんには穏やかな一成が合うのかもしれない。要するにただ尻に敷かれているだけなのだろう。


「お似合いですよね」とワイン色のカーディガンを羽織り、肩口のちょっと上に髪を揃えた小柄な女性が僕に微笑んだ。

 どうやら一成は僕に気を使ったのではなく、2対2で飲めるよう脇坂さんの友達のこの女性に気を使ったことに気がついた。

 僕が小此木譲ですとフルネームで自己紹介をすると、彼女は人見知りをするのか意志の強そうなはっきりとした眉を寄せ、何か迷っているように押し黙った。

「ミリ、印象悪いぞ」と脇坂さんが笑う。

 一成が僕の頭を掴み「ボイドの作家だよ」と指差すと、ようやく彼女は僕を向き、眉が前髪に隠れるくらい大きく目を見開いて、僕の両手を突然掴み「良かったです」と揺するように小刻みに跳ねた。


 社交辞令か本心なのか、芝居の不出来からくる自己嫌悪に社交辞令と受け取るが、世辞の疑いをかけることに自責の念を感じさせるほど、少し酔った瞳は真摯に濡れていた。見開くまでもない大きな瞳は、果てしない包容力を錯覚させるほどに透明で、僕の芝居への思い入れをクロスワードのように断片的に埋めていく。

 一成の行きつけらしい小洒落たバーで、彼女はずっと隣でグラスを重ね、酔いで責任持てない僕の情熱を聞き漏らさないように体ごと頷いてくれた。

 名を聞くと、まつはたみさとと、テーブルの上の濡れた水面をマドラーでゆっくりとなぞった。脇坂さんからミリと呼ばれることで美里の字を頭に浮かべた僕に、小さいからミリと呼ばれると人ごとのように笑う。きっと花を咲かせるのが上手な人だろうと、いつしか僕はひとりで飲んでいた時の不快さを忘れていた。

 僕より3つ年下の彼女は、高校卒業後に新潟から脇坂さんと一緒に上京し、いまはフリーターで何をするわけでもなく、脇坂さんと部屋をシェアして生活しているそうだ。

「何かやりたいことでもあるの?」という僕の質問に「特にないんだけど、東京に行けば何か見つかると思ったの」と気まずそうな苦笑いを見せる。

「小此木さんみたいに自分を表現できればいいな」

「自信持ってやれば何とかなるもんだよ」

 僕は劇団の解散を忘れ、浮ついた言葉を続ける。

 僕のなくした気持ちに対するこだわりに彼女は共感するらしく、お互いどこまで覚えているか怪しいけれど、初めて会ったのに、かなり深い内面までも理解し合おうと努めていた。

 高校時代、彼女が脇坂さんと同じ演劇部だった話で盛り上がり、僕はみんなの話す様子を眺めながら舞台上での彼女を頭に描く。話を追うごとに具体的なイメージがかたち作られ、僕はいつも以上に饒舌になっていた。


 朝を迎えたファミレスで3人と別れた僕は、だるい体を引きずりながら現実に戻る。早朝の空いた地下鉄の轟音が、物思いに適した孤立した空間を与えてくれはしたが、酔いと睡魔が集中力を嫌ったせいで、僕のボイドの思い出は、いつくるやもしれぬ次の機会へ持ち越しとなる。反復する走行音に何をイメージするわけでもなく、ただ終わったという言葉が、大きな明朝体で脳に刷り込まれているようだった。


 その後も僕は一成たちと一緒に何度か彼女と遊ぶようになり、年が明けるころには自然とつきあい始めた。

 美里が初めて僕のアパートに来た時のことはいまでもはっきり覚えている。

片足で巧くバランスを取り、焦げ茶のアンクルブーツの紐を交互に解く。

「あたしもお芝居演りたい」

 玄関の上がりかまちの上で両足を揃えて背伸びをする。

 僕を見つめた美里の瞳が、不意に何かを待っているように思えた。

「何てね」と後れ毛が当たるのか半ば照れ気味に耳たぶをかくのは、この後の生活で癖だと知ることになる。

 僕はもう一度芝居を続けることを彼女の瞳に勝手に約束していた。


 いわゆる第2期劇団ボイドは、翌年新入生が入ることで頭数が揃うのを待ち、解散の話を忘れたかのように活動を再開した。

 このころにはもう一成は、研究だか就職活動だか何かでほとんど顔を見せなくなり、あのペラでさえ、晃明が無理に連れてくる時以外は練習に来ることはなかった。

 僕や晃明のように、就職を考えずドロップアウトした4年生は他にいるわけもなく、当初のメンバーは前回の公演でほとんど姿を消していた。それでも美里と脇坂さんが正規のメンバーとなり、一成の後輩で、脇坂さんと同じサークルだった宮本研助と木村ゆかりが、演劇経験者という貴重な肩書きを携えて参加してくれて、当面の活動には支障がなくなり僕の不安は杞憂に終わった。


 考えてみると、ボイドのメンバーはほとんど一成の人脈で集まったような気がする。高校時代を思い出してみても、人当たりがよく行動力がある一成は、女だらけの演劇部で部長を務め上げるほど人望があった。尊敬する児島さんのためならと、新メンバーの研助が言うのもあながち嘘ではないのだろう。


 比較的大口を叩くことが多く最初の印象がよくなかった研助は、話してみるとただの小心者で、会話の端はしに他人に対するコンプレックスが見え隠れする。ブランドや流行に詳しく綺麗に刈り揃えたあご髭をたくわえてはいるが、小太りでお世辞にもいいとは言えないルックスを気にして卑屈な態度を取ることが多い。

 研助は木村さんのことが好きなようで、さかんに話しかけては迷惑がられてる様子は、周りの失笑を買うどころか笑いを取るためのネタだろうと揶揄される始末だ。

 脇坂さんの話から、新入生でサークルに入ってきた木村さんに一目惚れをし、彼女に近づきたいがために自分と同級生の脇坂さんに頼んで彼女をボイドに引っ張ってきた事実を聞いてから、僕は研助に少しだけ同情して、2人で買い出しに行かせるなど多少の気を使ってやるようになった。


 木村さんはサークルでも相当の人気があったようで、ボイドに入っても男性陣からの支持は非常に多かった。ストレートの黒髪がよく栄える綺麗な肌で、ちょっとたれ目だが潤みがちな瞳に、甘えた声が色っぽく、滅多に女性を褒めないあの晃明が「いいね」と僕に耳打ちしたのだ。そんな男性陣の声も彼女は全く意に介す様子がなく、大好きな神話の本を片手に美里に名付けられたユカリズムという独自の世界で、理解しがたい意表つく言動を会話のたびに繰り返していた。


 やがて就職活動もひと段落着くと一成やペラを始め以前のメンバーも頻繁に手伝ってくれるようになり、この年の秋は初めて学内を離れ老舗の小劇場を借りて公演を行った。

 脇坂さんの尽力もあって演劇雑誌に小さく紹介されたこの公演は思いのほか成功を収め、僕はこの時初めて商業演劇を意識した。

 メンバーもどうやら手応えを感じたようで、研助を始め翌年就職活動を迎える学生の中には、冗談にしろ就職しないと口にする者が出るほど、みんなの勢いは急な盛り上がりをみせていた。


 春を迎えメインで就職したのは結局一成だけだった。本人の希望通り大手メーカーの技術部に入社し、落ち着くまではボイドの手伝いもできなくなった。

 ペラは就職浪人だそうで、晃明に呼び出され就職活動に集中できなかったからだと周りに愚痴っているが、喜んで晃明とつるんでいるペラを知っている僕は、いつもの戯れ言と受け取り笑い流した。実際スーツ姿のペラを僕は見たことがない。


 この年、次の年と、劇団ボイドは年1回の公演ながら動員を確実に増やしていった。評価が高まる一方で、脇坂さんや木村さんも就職し、仕事の合間を縫う公演をこれ以上増やすこともできず、僕や晃明の中に、停滞感に伴うフラストレーションがたまり始めていた。その停滞感は僕自身、自分の表現の中にも感じていた。


 長年のテーマであるなくした気持ちを、もっとまとまったかたちで表現したかった。いままでの芝居のように物語の中になくした気持ちを織り込むのではなく、なくした気持ち自体が物語になるよう、自分の世界を明確に打ち出したかったのだ。

 気持ちの喪失感を描き観客の共感を求めるだけの芝居だと、何だか慰め合うだけのような気がして、自分を含め誰も救えない気がした。なぜ気持ちをなくすのか、自分と他者との関係性など、もっと根本的な部分を掘り下げて、誰もが気持ちをなくさずによい関係を作れる方法を導き出したかった。

 僕は自分の中の漠然とした考えをまとめる必要もあり、もう一度なくした気持ちを捉え直すために、次の公演を初めて書いた戯曲「その肉塊」をリメイクし、再演することに決めていた。


 しかしこの決定は晃明の不満を引き出す結果となった。

 僕はメンバーに説明するため、自分のアパートに制作の一成と、仕事で来られないペラと研助を除く役者陣を集めた。

 その打ち合わせの席で、晃明は「演りたくない」と僕に断言した。

 ただでさえ公演回数の少なさにフラストレーションを感じているのに、過去の作品の焼き直しは彼にいっそうの停滞感を意識させたようだった。

 僕は表現を見直したいという事情を説明したのだが、晃明には単なる怠慢に映っていた。

 プロを目指す晃明にとって、アマチュアの延長でしかない現状は我慢できないことであり、一気に吐き出す文句の羅列は彼自身を高揚させ激しい怒りの色を帯び始めた。

 僕への不満は、仕事のかたわら参加している脇坂さんや木村さんにまで飛び火した。

 感情的になった脇坂さんは、役者だけで生活できない事実と、自分は仕事を最優先させることをはっきりと晃明に伝え、互いに譲らない言い合いを繰り返す。

 一成は双方の言い分が分かるのか、何も言わず憮然として腕を組んでいる。

 美里は脇坂さんをなだめながらも、プロを目指すスタンスは晃明と同じため、遠慮がちに口をはさむのが精一杯で、木村さんは涙をためた瞳を何度もしばたかせながら「私だって天使になりたいんです」と誰にも相手にされることなく、ひとり白いワンピースを濡らしていた。

 僕は晃明に向かい、自分も焦っていることと、再演は今後のために必要なことをできる限り伝え、何とか落ち着いて話せる空気を取り戻そうと懸命になった。

 興奮していた晃明も腹を立てても無意味なことを悟っていたのだろう。やがて冷静な表情を取り戻し、驚くほど素直に「すまない」と頭を下げた。

 脇坂さんも一成に促され謝罪の言葉を晃明に返し、僕の部屋は静かだが、どこかちぐはぐしたムードに包まれた。

 安心感からか、木村さんが声を上げて泣き始め、顔を覆うのも忘れた彼女を美里が支えながらキッチンへと連れていく。

 晃明は立ち上がりながら僕を見て「俺がお前と一緒に演っている意味を考えてくれよ」と寂しい笑みを浮かべて部屋を出ていった。

 重い空気の中、最初に口を開いた一成は、芝居に専念できる制作と役者を新しく募集すべきだと言った。

 確かに商業ベースに劇団を乗せることを考えれば一成の提案は正しいことであるが、僕の答えは「できる限りこのメンバーで続けたい」という甘いなれ合いを望んだ。このまま続ければ指向の違うメンバー間で溝が深まることは分かっているはずだった。一成を始め仕事をしているのに手伝ってくれている仲間も辛くさせるだけであることも分かっているはずだった。

 この時、僕はまだ自覚していなかったのだ。自分の表現に自信を失いつつあることと、その状態で劇団を自立させることの不安を。

 結局「その肉塊1997」は、晃明が妥協したかたちで再演された。


 地下鉄の長い通路は、速く歩けと言わんばかりに大仰な風を打ち付けてくる。

コートからわずかに露出した肌は寒さで赤みを帯びてはいたが、僕は隙間から止めどなく流れ込む人工的な風に、避けることができない時間の流れを感じ、寒さよりむしろそんな自分のいら立った感覚に体を火照らせていた。

「その肉塊1997」の本番当日を迎えたものの、僕は自分に対する不満を感じ続けていた。

 自分の表現を見つめ直すつもりで始めた過去の作品のリメイクは、芝居自体の完成度は確かに増してはいたが、結局新たな表現の方向性が見えたわけではなかった。

 晃明が感じたように、無駄に時間を費やしているような思いがもたげてくる。ただ結成当時を知らないほとんどのスタッフにとって今回の作品はリメイクではなく新作であり、芝居を楽しんでいる彼らの思いを感じていた僕には、自分の表現者としてのわがままでこの作品を無駄と片づけるわけにはいかなかった。


 閑散とした通路の真ん中を、目に見えない狭い路地でも通るかのように肩をすぼめて早足で進む僕は、後ろから駆け寄る足音も風の音と聞いていた。

「何で起こさないのよ」

 袖に隠した拳で美里は僕を小突く。

 役者の入りは午後からなので、僕は美里を起こさず家を出ていた。

「髪の毛乱れてるぞ」

「今日の芸風」

 浮浪者の真似か、がに股で風を切る。

「酔っぱらいじゃねえか」

 とたんに千鳥足、つまんだ形の右手は土産でもぶら下げているつもりなのだろう。

「テンション高いな」

「寒いのよ」

 僕の両手を掴み激しい足踏み。なるほど耳まで赤い。

 横目でひとにらみくれた美里は、僕にしがみついたまま後ろに大きく手を振り出した。

 つられて振り返ると、寒くないのかジャケットの前を大きくはらませた一成が微笑みながら近づいてくる。

「仲いいねえ。これからデート?」

「はしゃいでんの、あたし」

 屈託のない笑顔に困惑した顔を僕は思わず一成に向ける。

 一成は苦笑で僕に返すと「自信もって構えてろよ。この芝居観てボイドに入ったやつもいるんだからさ」と僕の表情から何らかの迷いを感じ取ったのか、あるいは自らに気合いを注ぐためか、いつになく語気を強めていた。

 めったに熱くならない一成の決したまなじりに圧倒され、僕はとまどいながらも頷き返す。

 一成は興奮した表情を目元に残し、僕の腕を満足そうに2度叩いた。

「美里ちゃん、先行ってるね」

 美里は大袈裟に手を振る。

 一成の後ろ姿を見据えたまま僕は考えていた。このままみんなと芝居を作り上げる喜びを分かち合うことが、自分にとって一番大切なことなのだろうか。それとも手伝ってくれるみんなを切り捨ててでも純粋にプロを目指すべきなのか。

「あたしもこの作品観てから譲のそばにいるようになったんだよね」

 美里は思い出を静かに反芻するようにひとり呟く。

 僕は返事をすることを忘れ、一成のいなくなった通路の先をぼんやりと見ていた。


 碧色を強調させたさざなみの映像が、舞台中央に据えてある池のセットの水面の部分に映し出された。そのテレビモニターを囲んで、岩の間や椅子の下にはめ込まれた6台のテレビモニターにも同じ映像が現れては消える。

 オーディオに詳しい理系の一成が提案した演出だが、機械に弱い僕にはどういう仕組みで画像が同期したり、巧く切り替わるのかいまいちよく分からない。

 高校のころからこういった機械を駆使した舞台演出を得意としていた一成は、今回試みたテレビモニターを使った演出を今後ボイドの特徴にするよう企んでいた。

 舞台上には様々な小道具が意図して整理されず散在していた。

 前回の公演では精神病院内部の設定だったのだが、今回は精神科の治療方法のひとつである箱庭療法を主にモチーフにしているので小道具が多い。稽古場よりもふた廻りほど大きい舞台になかなかバランスよい配置が見つからず、僕は何度もスタッフに指示を出す。

 モニターに邪気のない女性の表情が現れた。

 客席の左端で研助がビデオカメラを構えて、音響の女の子にポーズを強要しながら大袈裟な世辞を並べている。

 女の子は舞台上の自分の表情を気にしながら、カメラマン気取りの研助に笑顔を見せて感情のない嬌態を作っていた。

「モニター明る過ぎだよ。客電消したら飛んじゃうよ。コントラスト強めにしてさ、明るさ少し抑えて」

 一成が客席の最後列で、囲んだ両手の中から大声を出す。

 映像担当のスタッフがモニターの調整に舞台に上がると、不意に僕の顔が大写しにされた。

 被写体に飽きた研助が、自分の台詞を復唱しながらこっちに向かってくる。髭面にカメラを当てているせいか影が服を着て歩いているように見える。

「コノさん、俺少し寝てていいかな。2時まで仕事だったんだよ」

 顔からは想像できない高い声で研助は早口で喋る。

「照明、さっきの音楽の終わりからもう一度。⋯⋯いいよ、起こしてやるよ」

 返事を聞く前に研助は椅子に足を伸ばした。

 仕事でタクシーの運転手をしている研助は、仕事柄か中年男性の演技が巧く、本人も仕事中に年輩のふりをして客を騙しているらしい。性格俳優だと自認している研助だが、憧れの木村さんが好きな王子様とは似ても似つかない風貌に本人は気づいている様子はない。

 僕が音響に片手で合図をすると、まるで研助を寝かさぬように馬鹿でかいオーケストラヒットの一撃が響いた。

 ロビーの明かりが背中に射すと同時に一成の笑い声を聞く。

 振り返ると両手をコーヒーでふさがれた一成がチラシを口にくわえてやってきた。チラシをくわえたまま喋るのではっきりとは聞き取れなかったが、「熱いから早く取れ」と僕は適当に当たりをつけて、自分の手へコーヒーを勝手に移し話の先にひと口いただいた。

「休憩しろよ」

 いつの間にか映像班に休憩を出した一成は、僕の隣に座ると含み笑いを浮かべ、脇で伸びている研助の頬へ持ったカップを触れさせた。

 甲高い悲鳴を上げて研助は飛び起きた。

「コーヒーはやっぱりホットだね」

 期待通りの研助の反応に、一成は満足そうにうそぶいている。

 情けない顔で一成を見る研助が可笑しくて、僕は「寝かせとけよ」とあまり熱心でなく言った。

 研助は僕と一成の顔を見比べながら、すまなそうに小さく頷く。

「こいつ昨日さ、飲み屋の女の子に俺は俳優だとか言ってチケット渡したんだよ」

 黙っている研助の顔が赤くなる。寝不足の本当の理由が僕にばれたからだろう。

「児島さん。駄目だって、」

 僕を意識に置いたまま、研助は一成に言うなと目配せをしている。

 一成は研助の嘘を最初からばらすつもりだったらしく、僕の表情を伺ってはにやにや歯を見せていた。

 研助がすまなそうに頷いたのは罪悪感が多少なりともあったのだろうと、僕はちょっと眉間にしわを寄せただけで彼を許した。

 一成が僕の代わりに休憩を出しスタッフの緊張を解く。

 フィルターの変更で、重い照明装置の上げ下げを繰り返したスタッフの解放された声が間髪入れず下手の綱元で響いた。


 前売りの情報を元に、一成と客入れの打ち合わせをする。定員150名分フルに座席を作ることにした。いつになく一成は強気だ。

「少なくても130くらい入るって。前売りの捌けがいいからな。いつもみたいにチラシに言い訳じみたこと書かなかったからだよ」

「どういう意味?」

「コノちゃんが自信持ってるってことじゃないか」

 合点のいかぬ顔をしていると晃明とペラが現れた。

 晃明はほとんどうなり声にしか聞こえない挨拶をする。

 ペラも眠そうに半口を開けて、微妙に曲がった黒縁眼鏡の奥の目をまぶしそうにしばたかせた。

「昨晩はどうも」

 晃明を仰ぐ一成の涼しげな微笑みに、大きな体を丁寧に折り曲げて返す。そしてわざとらしく相好を崩すと、腰を折ったまま僕を覗き込んだ。

「というわけで、俺少し寝るから。寝不足で声出ないと困るんで」

 僕の飲んでるコーヒーを勝手に全部飲み干す。

「寝るんだろ」

「喉が乾いたんだよ」

 晃明は申し訳ばかりに片手を振ると、ペラを引き連れ楽屋へ向かった。

 僕は大袈裟に椅子にもたれ閉口する。

「いい表情だね。まだ役者できるよ」

 茶化す一成もゆったり椅子にもたれた。

「美里だってもう来てるんだぜ」

「楽屋で簀巻きになってたよ」

 やり場のなくなった僕は紙コップを口に運ぼうとして空なのを確認し顔を歪める。舞台に目を移すと作業を再開したスタッフがセットを完成させ小道具のチェックをしていた。

「次回作考えてるの?」

 目線を舞台に据えたまま一成は呟いた。

「昨日みんなで話したんだけど、この先ボイドがどうなるかはコノちゃんに任せるよ。何だかんだ言ってもボイドはコノちゃんの劇団だし、晃明もあんな態度を取ってても結局は信頼してるんだよね」

 考え込む僕を一瞥すると一成はコーヒーをすする。

 制作のスタッフが一成を呼びにきた。交流のある劇団が陣中見舞いに来てくれたそうだ。

 一成は了承を得た合図を目で送ると黙然と座る僕の肩を軽く叩き、そのままその手を支えにして立ち上がった。

「金のかからなそうで奥の深い話だったら制作としては助かる」

 そんな一成の冗談に笑顔で返した僕の目は、きっと泳いでいたと思う。表現の迷路は出口を示すことなく、僕自身の立ち止まっている位置でさえ曖昧にしていた。

 椅子に深く背中を沈めながら、僕は片手で膝に置いた演出台本をめくっていた。途方もない数のパズルのピースが活字になってでたらめに並んでいるように見えた。

 僕が表現したいなくした気持ちが自分の本当の気持ちかどうかも疑問だ。伝えられなければ誰からも本当だと言ってもらえない気持ちなど、果たして信じられるものなのだろうか?

 照明のスタッフが何やら僕に尋ねている。注意すれば聞こえる声を聞こうともせず、僕は彼らの開かれた台本に鳥の羽を連想していた。


 興行的には「その肉塊1997」は成功だったといえる。金曜と土曜のわずか2回の公演だが2日とも満席で、儲けは出ないものの制作費をペイするには充分だった。

 晃明と他の役者との関係も問題なく、打ち上げはいつも通りの盛り上がりを見せていた。


 公演が終わってひと月ほど経ち、年明けを迎えて数日、帰郷していた美里も戻り、僕は普段のアルバイトに明け暮れる生活を続けていた。

 晃明を納得させるだけの戯曲を書こうにもアイデアさえも出ず、僕は完全に行き詰まっていた。

 気分転換に美里と出かけても、気の乗らない僕は美里に気を使わせていたらしく、彼女は積極的に僕を誘うことを諦め、休みの日でも2人で部屋に閉じこもる時間が長くなった。


 3月も半ばに入った日曜、何の予告もなく木村さんがやってきた。

 半ば上気した顔で、どこで見つけてくるのか広いつばの帽子から靴まで全身レモンイエロー一色に染めた春の化身のような木村さんは、「ミリミリはいますか?」と聞いたこともない美里のあだ名を言い、玄関先で唖然とする僕ににっこりと尋ねた。

 間もなく買い物から帰ってくることを伝えた僕は、とりあえず木村さんを部屋に通しお茶を出す。

 向かい合って座るものの話す話題も見つからず、世間話でお茶を濁す僕に、木村さんは持参の画集をテーブルに広げた。

 世界各国の天使をテーマにした画集だが、もちろん僕は興味を持ったわけでもなく、勧められるままに漠然とページを繰っていた。

「美しい絵だね」と当たり障りのない感想を言う僕に、木村さんは僕が絵に興味を持ったと一方的に受け取ったようで、聖書の話からよく分からないユダヤ神話の話まで次から次へと語り出す。

 自分の世界に生きる木村さんにとって、関わる人誰もが自分の世界の住人なのだ。


 正直辟易し始めたころ、「セラフィムの出現とアッシジの聖フランチェスコの聖痕」と題された一枚の絵が僕の目に留まった。

 13世紀ごろの作品だそうだが、その絵の宗教的な意味に興味を持ったわけではなかった。

 教会の中なのか青く彩られた柱や屋根がこの絵を額縁のように囲っている。左半分にはてのひらと足に聖痕を残したキリストらしき人が祈るように手を合わせている。右半分には6枚の翼を持つ天使が同じように聖痕をつけて宙に浮いていた。

 僕が気になったのは翼に描かれた複数の目だった。

 解説を読むと全知を象徴する目とだけ記されている。僕は直感的になくした気持ちを見つけてくれる目だと思った。無数の目は僕の姿をその目の数だけ増殖させる。漠然としていてストーリーを思いついたわけではないが、この瞬間僕は「セラフィムの翼」というモチーフで芝居を書くことを決めた。

「木村さんには感謝しないとな」

 さっきから木村さんの説明を聞き流していたことを心の中で詫びながら、僕はひとり言のように呟く。

「セラフィムが気になるんですか?」

 木村さんは満足そうにふふと笑い、さっき以上の勢いでスウェデン何とかだのバルザックだのと、僕の理解力をかえりみることなくセラフィムに関する説明を語り出した。


 小一時間ほどでようやく美里は帰ってきた。

「おお、ユカユカ」と重ね言葉が2人のブームなのか「なすなすがなくてさ」などの美里の言葉に、木村さんはきゃあきゃあ反応しながら意志の疎通がなさそうな会話を続けている。

 助かったとお茶をすする僕は「用があるみたいだよ」と美里に座るよう椅子を指差しながら言った。

 美里は椅子の上に正座で飛び乗り「どうした?」と木村さんを覗き込む。

 木村さんは言いづらそうに僕を見ると、よく聞こえる小さな声で「ダーリンがね」と両手を頬に当て、上目遣いをして美里と見つめ合った。

「何?」と大袈裟に驚く美里は「パフェ食べに行こうぜ」となぜか親指を立て木村さんにウインクした。

「ゆずゆず、ちょっと出てくね」と僕に3連続のウインクを投げ、木村さんの帽子をかぶると妙なテンションのまま玄関に向かう。

「ゆずゆず、お邪魔しました」と美里の真似をして木村さんが丁寧なお辞儀をする。

 玄関の外からは「くまなく聞かせろよ」とドスを利かせた美里の声と「にゃあ」と答える木村さんの声が聞こえた。

 わざとなのか木村さんは画集を忘れていき、そういえば彼女が以前天使を演じたいと言っていたことを思い出した。

 この画集を持ってきたのはそんなアプローチだったのかと僕は考えながらも、一方で木村さんのダーリンは研助じゃないんだろうなと考えていた。

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