第7話 二年生

 家庭(身内含む)でも様々な事が起きた二年生時代だけど、学校生活も決して円滑ではなかった。


 元から忘れんぼで勉強嫌い、運動音痴、お調子者と何拍子も揃った僕は二年生の担任の先生もかなり困らせていた。


 そのほ先生という若い女性教師で綺麗な人だった。


 キレると超怖くて、その原因の大半を僕が作っていたと言っても過言ではない。


 怒らせた事は数知れず、一番激しかったエピソードは…。


 とある遠足(社会見学みたいな)の楽しかった写真を、明日皆に配れますよー!と、帰りの会でそのほ先生がお伝えしていて、でもその代わり明日こそは宿題、提出物を皆もしっかり守ってくださいね、ということになり、皆も『はーい!』と元気よく返事をした。もちろん僕も写真欲しいし、その時はノリノリだった。


 だけど、僕は宿題をしなかった。

 提出物も親にさえも見せていない。鞄を開けてもいない。


 楽しかった遠足の思い出のためだからと、僕以外はバッチリだった。


「なんで、たぁ君はいつも出来ないの?!」

 そのほ先生の怒りは頂点に達した。

「もぅあなたなんて学校来なくていい!!」

 叫ぶと、僕の机、鞄、教科書類、書道道具などのロッカーに置いている教材まで、全て廊下に僕もろとも投げ出された。


 なぜ昨日はあんなに楽しみにしていたのに、僕は出来なかったんだろう…。


 理由は無いに等しい。


 ただ、やらないだけなのだ。

 なにもしない。

 それが僕だった。


 後悔しようが、怒られようが、宿題をしないとこうなることは解っている。

 でも、その時はそんなことさえも考えていない。


 何も考えてない。


 やりたくないという「やることがある」に対しての意識もない。


 そういう子供だった。


 確かその日はそのまま1日廊下で過ごした。


 さらに説教され、ため息混じりに写真を受け取って帰った。


 受け取ってしまえばこっちのものだ。


 僕の帰り道の足取りは軽かった。


 当時の僕にとっては今日この日は写真さえ手に入れば、その行程は何だって良かったんだ。


 宿題をしてきて皆と笑顔で写真を受けとるとか、先生を困らせたくないとか、そんな事は全く考えていなかった。


 写真が手に入れば、結果オーライ。

 まさにKYで、甘えん坊、最低野郎だ。


 ほぼ毎日のように先生を怒らせていた僕だけど、これが一番キツイお仕置きだったと思う。


 二年生は他にも、よくある動物の世話で、ニワトリを世話していた。

 教師たちからは評判がよく、夏休み中も順番でエサ、水代えなど、僕も含めて精力的に行っていた。

 クラスとしては団結力もあり、総合的な仲の良さは自他共に認めるものがあった。


 ニワトリはあるとき夜中、野犬に襲われて、運良く逃げ通せた一匹を除いて、全滅していまうなど、アクシデントもあったが、僕らのクラスの面倒見が良かったことから、すぐに新しいニワトリを学校が用意してくれて、また世話をすることができた。


 急なアクシデントにも大人達が迅速に対応してくれたりと、評価が良かったのは自己満ではなく、真実の現れという気がして、クラス全員が、自分を皆を誇りに思っていたはずである。


 トラブルを起こし続ける僕を除いて、だったのかもしれない…。


 それを痛烈に思い知ったのは3年生になってからだった…。

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