第3話 家族
僕がまだ幼い頃は四世代のなかなかの家庭だった。
ひぃおばあちゃん
おじいちゃん
おばあちゃん
お父さん
お母さん
長男(せっち)
次男(とも)
僕(たぁち)
僕が幾つの頃だったかまで定かではないけれど、ひぃおばあちゃんが亡くなり、続いておじいちゃんが亡くなったと記憶してる。
裏には畑があり、家から下ると段々になった田んぼをいくつか所有しており、冬以外は農作業に駆り出されていたのをよく覚えている。
おかげで大人になってからも農作業の知識はたまに役に立っていた。
家族絡みのエピソードといえば、僕がまだ物心つく前に起きた事件がある…
僕には左腕の間接部分に大人になった今でも残る大きな火傷があって、これはおばあちゃんとお母さんが田んぼに出ているときに、ひぃおばあちゃんが僕の世話と留守番をしているときだった。
お腹を空かせた僕が大層泣きわめいたらしく、ひぃおばあちゃんは曲がった腰で急いでミルクを作ろうと湯を沸かした。
慌てた拍子に僕の左腕に熱湯をぶちまけてしまったらしい。
断末魔のような悲鳴をあげて僕は泣いたらしいけど、ひぃおばあちゃんは慌てるばかりで、田んぼに出ていた二人からもすぐに助けは来なかった。
これだけなら仕方の無い事だと諦めも付くのだけれど、話はそれだけでは終わらなかった。
実はその時、お母さんは僕の異変に気付いていた。しかし、すぐに駆けつけることが出来なかった。
それはおばあちゃんが原因で、農作業にも口うるさいおばあちゃんはお母さんをその場から離れさせようとしなかったからだ。
ようやく農作業から解放されて急いで僕の元にお母さんが来た頃には、僕の左腕は腫れ上がり、爛れていたという…
成長とともに痣は小さくなったように見えるけど、幼少期を思えばかなりの大火傷だったことは未だに残る痕から想像が出来る。
姑根性というのだろうか?
嫁を嫌うあまりに孫の異変さえも、かえりみないその衝動に僕はゾッとしたものだ。
姑問題だけを取ってみても、お母さんがどれだけ苦労と忍耐で僕たちを育てていたのかが伺える。
4歳の頃に眼鏡をかけはじめて、お喋りが覚醒した僕には肉体的にも大きな変化が起きていた。
大食いだった食欲が遠退き、口数が増えた僕はみるみる痩せていき、ぽっちゃり系だった体型は一気に痩せ型へと変貌した。
肋骨などの骨まで見えるほどのガリガリ君が誕生していたのだった…
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