秘密の告白

第12話

 ゴールデンウィークが明けて、またいつもの学校が始まってもう何日か経つ。

 その間もボクは先輩に近付こうとしてるんだけど、やっぱり緊張しちゃって無理……。連絡もできないし……。うぅ、このままじゃダメだよ……。

「涼、おはよう」

「あ、ナナ、おはよ……」

「ん?何か元気ないじゃん。元気しか取り柄のないあんたから元気取ったら何も残らないんだから、元気出して」

 何か、今、さらっとひどいこと言われなかった……?

「でも、明日から……、うぅ……」

「明日?あぁ、テスト週間?」

 そう、明日からはテスト週間。つまりは、来週からテストなんだよ……。

 しかも!この一週間は部活が休みなんだよ……。先輩に会えない……。

「テストなんかなくなっちゃえばいいんだ……。先輩にも会えなくなっちゃうし……」

「でも、勉強教えてもらう約束したんじゃないの?」

「そう、だけど……」

 先輩と連絡先を交換したあの日、家に帰ってからナナには全部話した。偶然先輩と会って、買い物して、勉強を教えてもらう約束をして、最後には連絡先の交換をしたこと。

「連絡一回もしてないし……。何て送ればいいか分かんないし、忙しかったら迷惑かなぁ、とか思っちゃうし……」

「でも、勉強の件も連絡先も両方会長からなんでしょ?だったら普通に送ればいいんじゃない?わたしにしてるみたいに」

「そうかなぁ……?」

 あれ?今日は何かいつもより優しい……?

「あぁ!ナナ!もしかして!」

「いきなり大声出してどうした?」

「ボクと先輩の恋を応援してくれるの?」

「…………」

 あれ?何か、視線がすっごい冷たいんだけど……。

「はぁ、わたしは単に会長があんたのお守りしてくれれば、自分の勉強ができるから言ってるだけ。まぁ、会長には悪いとは思うけど」

 あ……、何か、ため息つきながら言われちゃったよ……。うぅ、ちょっとヘコんじゃうよ……。

「うん、それでもいいよ!ボク、頑張る」

「確認するけど、それはだよね?」

「え?う、うん、そ、そうだよ……」

 ナナの視線がすっごい恐い……。これじゃ先輩とのことだなんて言えそうにないよ……。

「はぁ、まぁ、勉強もちゃんとやりなさいよ」

「う、うん……」

 あれ?バレてる……?

 そうして、学校に着いて、明日からの先輩のいない生活を想像して、絶望しながら聞いた授業も終わり、やっと部活の時間が来た!今日こそは先輩に話しかけよう!この前約束した(?)勉強のこともあるし!

 そう意気込んで部活に行ったら、先輩は生徒会の仕事でお休みだった……。うぅ、テスト前に会える最後のチャンスだったのに……。

 それでも、頑張って(って言ってもついてくのがやっとだけど……)部活もやって、着替えてたらナナが話しかけてきた。

「明日からどうするの?どうせ、わたしに泣きついてくるんでしょ?」

「う……、先輩がいるからいい……」

「ふぅん、でも、会長とは連絡してないんでしょ?後で泣いても知らないからね」

「だ、大丈夫。ちゃんと約束したし……」

 だよね……?大丈夫、だよね?

「だったら、今から連絡でもして確認してみたら?向こうは覚えてないかもしれないよ?」

「でも、今は生徒会の仕事中で忙しいかもしれないし……」

「はぁ、あんたって、積極的なのか消極的なのか本当、よく分かんないよね」

「だって、先輩の迷惑になったらイヤだし……」

 って言ってる間にナナがいなくなっちゃったよ……?どこ?

 見渡したら、ナナが部室から出てくとこだった。

「ナ、ナナぁ、置いてかないでよぅ……」

 1人で先に行こうとするなんてひどいよ……。

「あんたが着替えるの遅いのが悪い。ちゃんと待ってるから早くしてよ」

「う、うん……」

 待ってるなら中で待ってればいいのに……。あぁ、早くしないと!

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