第7話

 家から歩いて15分で百合ヶ丘駅。そこから電車に乗って20分くらいでこの辺りで一番の駅に到着。ナナと一緒にはよく来るけど、1人で来たのは初めてかも……。

 まずは、本屋さんで情報収集だね。確か、ショッピングモールの中に大きいのがあったはず……。あんまり自信はないけど、とりあえずそっちに行ってみよう。

 それにしても、可愛い人多いなぁ……。服も可愛いし……。ボクはこんな服で良かったのかな……?何か、浮いちゃってる気がするよ……。

 周りを見ながらそんなことを考えて歩いてたら、何か、他の人とは違う、もっと素敵な人がいた。思わず、立ち止まって、その後姿を見つめちゃうほど。

 背はすらっと高くて、長い黒髪もキレイで……。たまに見える横顔も素敵で、ちらっと見えるメガネも知的な感じで……。

 えぇぇぇっ!?せ、先輩!?で、でも、先輩ってメガネかけてないよね?で、でも、すっごい似てるよね?もしかして、お姉さん、とか……?

 て、そんなことを考えてたら先輩(?)が近づいてきたよ?

「おはよ、竹田さん」

「え、は、はい。おはよう、ございます……」

 あれ?やっぱり、先輩……?

「あ、あの、やっぱり、先輩なんですよね……?」

「そうだよ。メガネかけてたから分からなかった?普段はコンタクトなんだけどね」

 あぁ、メガネをかけた先輩もすっごい素敵だ。何か、普段より知的で、かっこいい感じ。

「やっぱり似合わないよね?」

「そ、そんなことないです!メガネをかけた先輩もすっっっごい素敵です!」

「ありがと。お世辞でもそんなに言われると嬉しいな」

「お世辞じゃないです!本っ当にそう思ってます!」

「気持ちは分かったけど、そこまで言われると、何か照れるわね」

 あっ、何か、先輩の顔がちょっと赤くなった。意外と可愛くて胸がキュンってなっちゃったよ!

「それにしても、こんなところで会うって奇遇ね。よく来るの?」

「えっと、よくは来ないんですけど、今日はたまたまで……」

 奇遇っていうか、運命じゃないの?とか考えちゃってたから中途半端な答えになっちゃったよ……。

「わたしは家が近所だし、よく来るのよね」

「えっ!?この近くに住んでるんですか!?いいですね」

 この辺りってボクたちのところよりずっと都会だし、すっごく羨ましいよ!

「ここからじゃ見えないけど、あっちの方のマンションに住んでるからね。夜とかはうるさかったりするけど、何かと便利なのは自分でもいいとは思うな」

「本当、先輩って完璧ですね!『欠点がないのが欠点』って本当ですね!」

「あぁ、一年生にまでその話伝わってるんだ……」

 あれ?何か、先輩、落ち込んだ?

「先輩?」

「ん?あぁ、何でもないのよ。ただ、その話を広めた張本人を思い出して」

 笑って答えてくれたけど、何かあったのかな?これって、聞かない方がいいのかな?あぁ、すっごい気になる!どうしよう?

「ところで、竹田さんは今日は1人で買い物?」

 悩んでたら話を変えられちゃったよ……。

「は、はい。服とか、色々見ようかなぁって思って……。先輩の今日の服、とっても素敵ですよね!どこで買ったんですか?」

「これ?この辺りのお店だよ。何なら一緒に行く?」

「は、はい!ぜひ、お願いします!あっ、でも、先輩も何か用事があったんじゃ……?」

「わたしのはいいのよ。ちょっと参考書を見に来ただけだから。今日じゃなくてもいいしね」

「だったら、ぜひお願いします!」

 やった!先輩とデートだよ!しかも、先輩から誘ってくれたよ!すっごい嬉しい!今年一年分、もしかしたら一生分の運を使っちゃったかも!

「それじゃ、行こうか」

 そう言って、先輩はショッピングモールの方へ歩いて行った。ボクもそれについて行くけど、頭の中は先輩と2人っきりでのデートですっごい緊張!と言うより、先輩の方を見るだけでドキドキしちゃうよ!こんなんで今日一日大丈夫かな?

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