偶然の出会
第6話
毎年、ゴールデンウィークは家でダラダラとしてた。でも、今年は去年までと違って、部活ばかりの日々。
そんな中、今日は唯一の休み!なのに……、何でこんなに朝早く起きちゃうんだろう……?時計を見るとまだ朝の8時……。
そりゃぁ、部活のある日はこの時間には起きてたけど……。今日は休みだよ?目覚ましもかけてないんだよ……?ゆっくりと寝るはずだったのに……。
もう一度寝ようかなぁ、とも思ったけど、何かそんな気分にもなれなかった。だから渋々リビングに行くと、いつも通りお母さんが朝ご飯の準備をしてた。
「あら、涼もう起きたの?今日は休みじゃなかった?」
「そうだけど……、何か起きちゃった」
「珍しいこともあるんだね。それとも、今日は
「お母さん!ナ、ナナとは単なる友達だから!それに、ボクは……」
先輩のことが好きだから。
口に出すとお母さんにまたからかわれちゃうから何とか言わなかったけど。
「部活の先輩で好きな子がいるんだ。お母さんに話してみなさい」
優しそうなセリフだけど、顔がニヤケてる……。普通、実の娘の恋愛でからかう?違うよね?
「そ、そんなんじゃないよ……」
「じゃぁ、どうして陸上部になんて入ったのかなぁ?涼は運動嫌いだったよね?」
「せ、先輩とか関係ないもん!ボクが入りたかっただけなんだから!」
「ふふっ。そうね。たまには嫌いなことしたくなるものね」
うぅ、何か、お母さんには適わないよ……。
確か、ボクが男の人じゃなくて女の人が好きだって言うのも何も言わなくても分かってたし……。しかも、その事を受け入れて、色々と相談にも乗ってくれてて……。その事はすっごい嬉しいんだけど……。
「とりあえず、ご飯食べちゃって。片付かないから」
「う、うん」
ナナ誘ってどこかに買い物に行こうかなぁ……、なんて考えながら食べてたら、
「七月ちゃんっていい娘よねぇ。あの子なら涼を安心して任せられるよね」
なんて突然言うから驚いたよ。
「な、何でナナが出てくるのさ!?」
「たぶん、七月ちゃんのことを考えてるのかな、って思ったから」
「うっ……、確かに考えてたけど、ナナは今は本当に友達で、前は、その、好きだったけど……」
中学校の頃にナナの事が好きで、告白したりもしたけど、それがきっかけで今は本当に仲良くなれたんだけど……。でも、今はボクは先輩のことが大好きで……。
「じゃぁ、新しい娘、早く紹介してほしいな」
「そ、そんな人いないよっ!ご、ごちそうさま!」
うぅ、お母さん、本当に鋭いよ……。思わず逃げ出しちゃったけど、絶対にバレてるよ……。バレてもいいんだけど、何か、先輩とボクって釣り合わないから……、恥ずかしいよ……。
今日一日どうしよう……。まだ朝早いし、もう一度寝ようかなぁ……。でも、ご飯食べたばっかだし、太っちゃうかも……。
ん~、あっ!ナナ誘って、どこかに行こう!
『ナナ、おはよう。
今日は部活も休みだし、遊びに行こうよ!ねぇ、どこに行く?』
『行かない。』
『何で行かないの?それに、そんな即答で断らなくてもいいじゃん!』
『部活で疲れてるから。』
『今日はその部活も休みなんだよ?こんな時間に起きちゃったし、暇なんだよぉ…。ねぇ、遊びに行こうよ!ナナに行きたいところに付き合うよ?』
『嫌。どこにも行きたくないし。』
『ナナの意地悪!1人で行くからいいよ~だ!』
あれ?返事が来ないよ……?本当に今日は1人……?べ、別にナナがいなくても平気だし……。この前新しくできたお店とか1人で行くからいいもん。
駅前までちょっと時間かかるし、今から着替えて出かけようかなぁ……。
あっ!この前買った服、まだ着てない!これ着ていこう、うん。
あんまりファッションとか分かんないけど、今日はおしゃれしてみようかなぁ。でも、もう少しファッションのこと、分かった方がいいのかなぁ……。
時間もあるし、ゆっくり選ぼう。あっ!何か今からデートみたい!相手はやっぱり、先輩?そんな日が来てくれたらいいなぁ……。
先輩は服装もきっと大人っぽいから、ボクが子供っぽかったら釣り合わないよね……。でも、そんなに大人っぽいのも持ってないし……。
って、何で先輩とデ、デートするみたいに選んじゃってるの?違うのに……。
って、あぁ、もう分かんないよ!うん、こうなったら、今日は本屋さんでファッション誌見て、服屋さんでも回ってこよう!
そうと決まったら、着替えて……う、うん、今日はいつも通りでいいかな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます