第4話

 本当に大丈夫だった……。何とか最後まで付いて行けたよ……。かなぁり辛かったけど……。

「次は筋トレやるよ。腕立て、腹筋、背筋、スクワット各10回を1セットとして、3セット。各自始め」

 何か、今、部長さんがすごいこと言わなかった?走り終わってから隣にいるナナを見てもいつも通りだけど……。

「ねぇ、ナナ。今のってボクの聞き間違いだよね?」

「筋トレの話?たぶん、聞き間違いなんかじゃないよ。わたしも聞こえたから」

「ボク、そんなに無理だよ……」

「泣き言言ってないで、わたしたちもやるよ?」

「う、うん……」

 筋トレなんて今までやったことないのに……。30回もできないよぅ……。

 ナナは黙々とやってるし……。ボクも頑張ってやってるけど、力尽きちゃうよ……。

「頑張って、竹田さん」

 そうやって必死に頑張ってたらいつの間にか横にいた先輩に声をかけられた!あれ?でも、何で名前知ってるんだろう……?

「あっ……、は、はい!何で、ボクの名前……」

 知ってるんですか?って聞こうと思ったら、先輩が笑いながら体操服の胸のところを指さしてる……。大きい……、って、今はそんなことを考えるんじゃなくて……。

「あっ……」

「そ、名前が書いてあるでしょ?だから。さっき走ってるときに見てたの。竹田さんって、今まで運動とかあんまりしたことないでしょ?あんまり無理しないようにね」

「は、はい!」

 先輩がボクのことを見ててくれた!すっごい嬉しいよ!頑張らなきゃ!でも、無理はしないようにしなきゃ。

「雪村さんは友達?」

「はい、そうですけど……」

「竹田さんがあんまり無理しないように見ててもらえる?」

「はい」

 何か、ボクって2人から心配されてる……?

「だ、大丈夫だよ!ボクは頑張るんだから!」

「だから、会長はそれを心配してんでしょ。あんたが無理しすぎるんじゃないかって」

 うぅ……、ナナが厳しいよ……。でも、頑張らないと部活についていけないし……。

「じゃぁ、よろしくね」

 そう言って先輩は立ち去って行っちゃった……。でも、最後に見せてくれた笑顔は最高だったなぁ……。写真に撮れてたら……。

「変なこと考えてないで続きやるよ?」

「う、うん……」

 ナナってボクの心が読めるのかな……?何か、時々そう思っちゃうよ……?

 でも、今はナナの言うとおり、部活に専念しなきゃね。

 それでも、ボクは全然できなくて……。ナナが1セット終わってもボクは腕立て伏せ10回もできてなくて……。と言うより、そんなにもボクには無理だよ……。ナナも中学の時は帰宅部だったはずなのになんでそんなにできるの?やっぱりボクには無理なのかな……?

「やりながらでいいから聞いて」

 そんな事を考えてたら部長さん(?)が何か話し始めた。

「この後は短距離と長距離の人で分かれるんだけど、一年生で決まってない人は、とりあえずやりたい方で。で、長距離は俺のところで、短距離は牧野のところに集まって。分かれた後にまた指示はするから」

 先輩は短距離だから、ボクもやっぱり短距離だね、うん。よし!やる気出てきた!今は少しでも筋トレを早く終わらせなきゃ!

「ナナ、短距離の方に行かない?」

 ナナと一緒の方が心強いから誘ってみた。

「まぁ、長距離よりは短距離の方が気が楽だからいいよ。それよりも、あんたは早くやりなさいよ」


 でも、全然終わらなかった……。

「あぁ、まだやってる人も何人かいるけど、中断して分かれて」

 って部長さんが言ったから……。だから、この次は絶対に他の人と同じだけやろう!って決めて先輩の元にナナと一緒に行ってみたら……。

 何かたくさんいるよ!一年がいっぱい!

 やっぱり、先輩目当ての人多いのかなぁ……。ボクもそうなんだけど……。

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