第7話 「シーソー」
数ヶ月が経った
私はいつも通りに病院に向かった。
毎日、お母さんと私で語りかけた。
そして、お母さんは病室の窓を少し空け、花瓶の水を変えた後にゆっくりと口を開き始めた。
「悟君。ともみには黙っててって言われたから黙っておくつもりだったのだけど、大切な話があるの。」
「なんでしょうか?」
「悟君がともみと出会ったのは、ほら会社の先輩のご紹介みたいな感じだったって言ってたでしょう?」
「はい。自分の会社の安藤先輩のお連れ様で、ともみさんを紹介されたのが初めてのです。」
「フフフ。それは違うのよ。」
「と言いますと....」
「私とともみはね。昔、愛媛県に住んでたの。悟君も故郷はそこだよね?」
「はい。私の故郷は愛媛ですが、ともみさんが住んでたのは初耳です。」
「幼稚園のともみがね。ある日。 ママー横のクラスに好きな人が出来たんだよ〜って言ってきたの。そしたらママにも会わせたいって。
その当時私も前の旦那さんと離婚するタイミングで家でも暗かったのか、
ともみも元気ない時、悟君が笑わせに来てくれるからずっと席で待ってるんだよって。ママも悟君に笑わせてもらおうって....。
その時が、ともみと悟君が初めて会った日なの。」
私はその瞬間バラバラに散ったパズルのピースがわずかに動き始めた。
お母さんは続けた
「その後また転校して東京に引っ越したんだけど、ともみが中学の時にまた愛媛県に転校になるの。もうだいたいわかるかな?」
「バレンタインデー、、、」
「そう引っ越しの日がホワイトデーだったんだけど、ともみが必ずお返しくれるからって言って1人だけ残るってきかなかったんだから」
「後は、悟君が音楽で初めて東京来た日もそう。私も一緒にこっそりライブみてたんだよ?悟は本当にビッグになれるっていつもー応援してたの。」
私は何にも気づかなかった....
今、ようやく気付いた
全てを理解した上で彼女は私を支えてきてくれていたのだと
運命は強く2人を結びつけていたのだと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます