第3話 「チョコレート」


頭を何かで叩かれ目が覚めるとクスクスと笑い声が聞こえた。


「神山!授業はお前の子守唄の時間じゃねーぞー」


どうやら私は授業中に居眠りをして毎日日課の先生に起こされるという場面にいるらしい。


今度は中学生の自分にタイムスリップしている事に気付いた。


周りの友達や前の席の綺麗な三つ編みの女の子を見てこれが14歳の中学2年なんだと判断した。


チャイムが鳴りいつもの仲間で集まり、サッカー部の部室で練習用の服に着替え始めた。


「そういえば今日はバレンタインデーだよな。悟は今年はチョコ何個もらうんだろなー?要らねーなら捨てずにおれに分けてくれよなー。母ちゃんに見栄はりたいんだよ。」


「....うん...」


この会話もやりとりも鮮明に覚えている。


記憶を辿ると、この後にテニス部の女の子達が部活後にたくさんのチョコを手渡してくれて友人が数個盗んで帰り次の日母ちゃんにいい顔をしたとゆう件があった。


私はその時数ヶ月前に外から転校してきた佐藤さんが凄く気なっていたんだけど、しゃべる事もなにもアプローチ出来ずにただバレンタインを迎え、ただその子がチョコを何かしらの間違いでくれないものか期待したものだった。




数十個もらったチョコを家に帰って封を開け必死に探したけどその子のチョコはどこにもなかった。


だが、この時だけは事件があった。


友人がくすねたチョコの中に私が好意を寄せていた佐藤さんのチョコが混ざってあったのを後に聞かされた。


しかもホワイトデー当日に。


気持ちを伝えようとお返ししようとすぐに自宅に持っていったんだけど、佐藤さんはもう親の転勤で東京へ引っ越していた。


お礼も気持ちも伝えれないまま、彼女は転校したんだ。


これも私の思春期の恋だった。

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