第四章

第四章

杉三の家。

杉三と美千恵が夕食を食べているとインターフォンが鳴る。

杉三「あれ、誰だろ。」

美千恵「こんな時間に何かしらね。訃報でも出たのかしら。」

声「杉ちゃん、いや、杉三さん、お母様!」

杉三「川田さんだ。」

美千恵「何かあったのかしらね。とりあえず出てみるわ。」

杉三「うん。」

椅子から立ち上がって、玄関へ行く美千恵。ドアを開けると、まさしく川田が立っている。

川田「こんばんは。」

美千恵「どうしたの川田さん、こんな時に。」

川田「お願いがあるのですが。」

美千恵「お願い?まあ、とにかく中に入りなさい。」

杉三「今お茶入れるよ。」

川田「あ、ありがとう、じゃないな、ありがとうございます!お邪魔します。」

杉三「いいんだよ、敬語なんかじゃなくても。友達なんだから。」

美千恵「川田さんどうしたの、そんなに改まって。そんな立派なスーツ、どこで入手したのよ。」

川田「はい、持っていた金を全部使って買いました。」

美千恵「どうしたの?とにかく、座りなさいよ。」

川田「はい、座らせていただきます。」

と、テーブルの前に座る。

杉三「はい、お茶だよ。」

と、湯呑を置く。

川田「お母様、じゃないな、社長!」

美千恵「は?」

川田「単刀直入に言います。僕をお宅の介護施設で働かせてくれませんか。」

美千恵と杉三は顔を見合わせる。

杉三「ど、どうして?」

川田「はい、社会に出たいと思ったからです。」

杉三「製鉄ではだめなの?」

川田「いや、製鉄所は、学校で行き詰った人が行くところですから、僕はもういいと思っているのです。」

杉三「じゃあ、どこかで暮らすの?一人で。」

川田「はい、今はまだ製鉄所で暮らさなければなりませんが、いずれお金がたまったら、製鉄所を卒業して、アパートとか借りようと思ってます。まあ、家族に相談はしていませんが、そのほうがかえっていいでしょう。僕は、いずれにせよ。人身売買で製鉄所に売られた身ですから、家族とは絶縁状態で当たり前だ。それに、家族も、僕を製鉄所に売り渡したのですから、もういらない存在であるというわけですからね。だから、自分で自分の身を立てていかなきゃならない。だから、お宅で働かせてもらいたいんですよ。」

美千恵「ちょっとまちなさい。川田さん、あなた、もうちょっと自分の身の程を考えたほうがいいわよ。いくら精神疾患だからって高校中退でしょ、うちの入社資格は高卒以上だし、薬だって飲んでるんだから、車の運転もできないでしょ。それに、介護施設というのは、相当体力のいる仕事なのよ。それが原因で、職員が鬱になることもあるし、最近では、虐待事件まであるわ。いま、精神疾患のあなたが、それに耐えられるかしら。それに、あなたの年齢では若すぎるわ。今いくつ?」

川田「23歳。」

美千恵「でしょ。まだまだ症状だって出るだろうから、やめたほうが賢明よ。それよりも、青柳教授のところでもう少し、休ませてもらったら?」

川田「でも、青柳教授は、君がそう思うんなら働いてもいいよって言ってくれました。」

美千恵「教授は言ってくれても私はだめ。あなたみたいな人では。介護の仕事なんて、やれることがないでしょ。もうちょっと、回復してからもう一回来なさい。」

杉三「母ちゃんの施設、そんなに悪いの?」

美千恵「その通り。もう、新人職員にうつ病が将棋倒しみたいに広まってやめていく人が多いこと。だから、その現場に精神疾患の方は雇えるわけがないでしょうが。」

杉三「じゃあ、利用しているお年寄りたちは?」

美千恵「まあ、うなぎ上りに増えてるけど。もう満杯を越したから、断るほうが多いのよ。」

杉三「職員はどんな人がいるの?」

美千恵「この仕事にかかわる人は、利用するお年寄りが求めてる正反対の人じゃないとやっていけないのが実情よ。本当に優しいなあと思う人はみんなやめていくから。だから、あなたが働くのは無理なのよ。もともと優しすぎるあなたが、捨て犬を保護するような介護施設で、働くなんてできやしない。優しい人には、お年寄りたちはわらにもすがる思いで話しかけてくるわ。でも、ほかの職員から袋たたきにあって、やめていくしかなくなるから。介護の仕事ってそんなもんよ。」

杉三「わかった!わかった!わかったよ!」

川田「な、な、何かわかったの?」

杉三「こうすればいいんだ。彼を、話を聞く専門の人として雇うんだ。そうすれば、袋たたきにはあわないから。」

美千恵「どうしたの杉三?」

杉三「だからね、こうすればいいの。彼を、お年よりの話を聞く専門として雇って、ほかの介護の仕事には一切かかわらせなければいいの。だっていじめられるのは、彼がものすごく優しくて、でも、車の免許がなかったり、病気を抱えていたりするからでしょ?だから、それには一切かかわらせないで、ただ話を聞くだけにすればいい。介護施設の仕事を一から十まで一人の人が全部こなすことなんてできやしないんだ。だから、ある人はこれ、またある人はこれ、そんな風に、仕事を分けちゃって、きっちり線引きをしてくれれば、仕事もできるんじゃないのかなあ。」

美千恵「ああ、あんたが言いたいのは、カウンセリングの仕事をしろってことね。でも、考えてみなさいよ、カウンセリングの仕事ってのは、資格が必要なのよ。それを取りに行くには、勉強会に参加するとか、すごく長い時間が必要なの。それをしなきゃ、自称なんてできないわよ。」

杉三「できるんじゃないの?少なくとも僕よりは。だって、彼は僕と違って、あきめくらではないでしょう?だって、前に聞いたことあるけど、そういう資格は、簡単難しい関係なく、持ってるだけで丸儲けということもあるみたいよ。」

川田「大検でも取ろうかな、、、。」

杉三「まあまあ、泣かないで。大丈夫だよ。きっと何かとれる資格はあると思う。」

美千恵が、タブレットを持ってくる。

美千恵「えーと、カウンセリングの資格、で調べてみようか。このあたりでとれる資格のことね。」

とタブレットを操作する。

美千恵「まあ、こんなにたくさんあるじゃない!」

杉三「でしょ?だからその中に学歴関係なくやれる資格ってない、母ちゃん。」

美千恵「ああ、なるほどね。はいはい、、、。これでもとってもいいかもしれないわね。それに、富士市でも、市が主宰で傾聴ボランティア養成とかあるみたいだし。はいはい、そうね。かえって、学校で躓いた人のほうが、傾聴能力は高いかもしれないし、親身になってくれるかもしれないものね。いいわよ、じゃあ、待っててあげるから、資格を得たら、うちへ働きに来て。」

杉三「よかったね!」

川田「ありがとうございます!必ず資格取ってもう一度来ます!よろしくお願いします!」

と、美千恵に何度も頭を下げる。

美千恵「こういうやり方で職員を見つけるなんて、前代未聞だったわ。まったく、介護現場は本当に人が足りないから。杉三もよく見てるわね。」

杉三「よかったね、川田さん。僕は読み書きできないけど、応援する。」

川田「あ、あ、ありがとう、、、。」

美千恵「これだけで泣いちゃダメ!これから、捨て犬みたいに寂しい思いをしているお年寄りたちの話をたくさん聞くのよ。」

杉三「いや、泣いたほうがいいんだよ。感情がなくなったら、そういう仕事はおしまいさ。感情なしで、はいはいと聞いてるだけじゃ、誰も寄り付かなくなるよ。」

川田「杉ちゃんを実験台にするかもしれないな。」

美千恵「どうぞどうぞして頂戴!こんな馬鹿な子が、役に立てるなんて、めったにないんだから!」

杉三「じゃあ、みんなでお茶でも飲もう!」

川田「いや、すぐに帰ります。すぐに自分のパソコンで通信講座を探さなきゃ。」

杉三「そうか、戦いはこれからさ!がんばれ!」

と、川田の背をたたく。

川田「はい!ありがとうございました!」

と、二人に最敬礼し、玄関に行って、靴を履き、猪突猛進するように家を出ていく。

美千恵「全く、こんな形で従業員がやってくるなんて思いもしなかったわ。」

杉三「でも、なんでいきなり母ちゃんの介護施設で働こうなんて思ったのだろうか。」

美千恵「きっと、好きな人でもできたんじゃないの?人間、そうなると、急に前向きになるのが常だから。」

杉三「そういうことか。」


製鉄所。

製鉄の作業をしている寮生たち。

寮生「まだ勉強してるのか。もう、夜の二時だよ。」

寮生「なんか川田さん、最近イノシシみたいになってるよね。何を聞いても、心理学のことしか言わないし、、、。」

村下「ほら、他に気を移さず、砂鉄を入れて!明日は雨が降るみたいだし、それまでにこの鉄を完成させないと!じゃないと、雨が降ったら鉄の質が悪くなるよ!」

寮生「はいはい、分かりました。すぐやります!」

と、作業に戻る。

川田は、自室でねじり鉢巻きをして、まるで東大でも受験するかのように勉強していた。

敬子は製鉄作業には参加できなかったが、最近ほかの女性たちと一緒に、洗濯や掃除をするようになっていた。彼女の髪は、三分の一くらいの長さになっていた。それでも、彼女はほかの寮生と言葉を交わすことはしなかった。

寮生「朝原さんって、ちょっと近づけないよね、、、。」

時々寮生がそういうときがある。

寮生「うん。いじめられてつらいのはわかるけど、そればかり口にするから。」

寮生「そうね。私たちも、聞くのに疲れるわ。彼女がもっと外に関心を持ってくれたいいんだけどな、、、。」

寮生「でも、自殺したいって叫ばなくなっただけましよ。」

寮生「そうね。そう思うことにしましょう。」

寮生「ええ。」

女性たちは、そういいながら、家事をしたり、一部の者は仕事に出かけたりしていた。食事するときも、風呂に入るにも、何をするにも敬子は一人だった。

時折、水穂が雑用係として床を掃除したりしていると、敬子はそれを部屋からずっと眺めていた。


数週間後。川田が敬子の部屋の戸を叩く。

川田「川田だよ。今から試験に行ってくる。これで合格して資格がもらえたら、僕は就職することになっているから、その時、お話があるんだ。だから、一人ぼっちでいるのももうしばらくの辛抱だからね。」

声「私はやっぱり、誰からも必要とされてないのね。」

川田「そんなことないよ。僕も、資格取ったら、君の話をうんと聞いてあげられるようになる。そうしたら、必ず君は変われるはずだよ。」

声「私、やっぱり、苗字がいけなかったのかしら。」

川田「違うよ!君はどうしてもそこから抜け出ることはできないみたいだけど、僕が何とかしてあげるから、もう少し待っていてね!できれば、君も、君の世界の外に目を向けてほしいな。そうすれば、優しい人がいっぱいいるってわかるから。」

声「そんな人など、居ないわ。私はやっぱり嫌われ者よ!」

川田「ああ、泣かないで!試験が終わったら、、、。」

と、インターフォンが鳴る。

声「川田さんお迎えに上がりました、石川タクシーです!」

川田「じゃあ、時間なので行ってくる。必ず帰ってくるから、無茶はしないでね!」

踵を返して玄関に戻り、タクシーに乗り込んでいく。

水穂「大丈夫ですかね。なんかすごく張り切ってますけど。」

懍「いいんじゃないですか。健康的な若い人とはそういうものです。水穂さんこそ大丈夫?」

水穂「大丈夫って何がですか?」

懍「決まってるでしょ。鏡を見てきてくださいよ。」

水穂「いや、何もありません。気にしないでください。」

懍「そうですか。」


数時間後

タクシーの音がして、川田が戻ってくる。

水穂「おかえりなさい。」

川田は答えない。

水穂「お茶でも飲みます?」

川田「いや、、、。」

この一言で何があったかわかる。

水穂「試験、どうでした?」

川田「ダメでした。始まる直前に、緊張しすぎて吐き気がして、、、。」

水穂「まあ、大方そんなものですよ。試験なんて。また、もう一回受ければそれでよいのでは?」

と、廊下からたまがやってきて、二回吠える。

水穂「ああたま、どうしたの?」

懍「水穂さん、そろそろたまの散歩に行かないと。」

水穂「じゃあ、行ってきます。」

川田「たま、ですか?こんなきれいなワンちゃんなのに、、、。」

懍「そうです。水穂さんが変な名前をつけてしまったのです。早く支度して、いっていらっしゃい。川田さんも、行ったらどうですか?ずっと、部屋の中で猛勉強してきたんですし、それが終わったんですから、外の空気を吸ってもいいと思いますよ。」

川田「わかりました。じゃあ行ってきます。あの、もう一人連れて行っていいですか?」

懍「ああ、いいですよ。女性がいないと楽しくないでしょう。」

川田「はい、じゃあ連れていきます。」

水穂「一体だれを?」

答えるより早く、川田は敬子の部屋に向かう。

川田「敬子さん帰ってきたよ。たまには外の空気を吸いに行かないか?たまを散歩させたいから。」

敬子「でも、、、。」

川田「そうじゃなくて、この辺りは空気もいいし、少し歩いてもいいと思うんだよね。僕は嘘はつかないから、、、。それに、水穂さんも一緒なんだ。」

敬子「そういうならそうするわ。」

と、部屋から出てきたので、川田は彼女を玄関まで連れていく。

水穂「ああ、この人だったのね。いいですよ、じゃあ、三人で行ってきますか。」

と、たまの首輪にリードをつける。

敬子「きれいな人、、、。」

思わず口にした。

水穂「きれいな人って誰のこと?」

敬子「いや、そうじゃなくて、、、。」

川田「じゃあ、行ってきましょうか、水穂さん、僕がリード持ちますから。」

水穂「じゃあ、お願いします。彼は、後ろ足が少しばかり不自由だから、あんまり早くは歩けないので。」

川田「そうなんですか。わかりました。じゃあ、行きましょう!」

懍「いってらっしゃい。」

三人、玄関から出ていく。

川田「いつもどこに行っているんですか?散歩コースとして。」

水穂「公園を一周して帰ってくるだけですよ。」

川田「へえ、グレハンって、車より走るの早いって聞いたから、相当走らせないとだめじゃないんですか?」

水穂「ええ、一般的に言ったらそうなりますが、この子は先ほども言った通り、長距離は歩けないんです。」

川田「足は不自由みたいですけど、体はすごくきれいですよ。水穂さん、相当かわいがっているんですな。」

水穂「まあ、食べ物には関心が薄い種類ですから、必要最小限だけ食べればいいみたいで。エサで釣ってしつけるのも難しいんですよ。」

敬子「どこかで買ってきたのですか?ペットショップ?」

水穂「ちがいます。この敷地内に捨てていったんです。」

敬子「私、犬を飼ったことないけど、グレハンという犬種があるんですか?」

水穂「正式にはイングリッシュグレイハウンドというんですよね。貴族が趣味的に飼っていた犬種ですよ。当時は、競馬と似たようなドッグレースみたいなものもあったみたいですけどね。今はないけど。」

敬子「水穂さんもお奇麗だから、なんか貴族の人って感じ。着物だってよく似合うし。」

水穂「そうですか、僕、もう46ですけど。」

敬子「まあ、そうは見えないわ!本当にきれいだから。」

水穂「いいえ、顔なんてかざりものです。人間の価値は見かけでは決まりません。美しい人を追うよりも、身近な人を大切にしたほうがよっぽどいい。」

敬子「そうですか?私は、やっぱり、奇麗な人は得すると思うけどな、だって、水穂さんって外国の俳優さんみたいにきれいだから。」

水穂「余分なことばかり言わないでね。」

と、たまが二回吠える。

川田「あ、降ってきた。」

と、ザーッと雨が降ってくる。

川田「公園の東屋で待ちましょうか。たぶんこれ通り雨だと思いますよ。30分したらやむでしょ。」

水穂「そうですね。」

川田がたまのリードをとり、急いで東屋にいく。敬子と水穂も追いかけて東屋に入る。

川田「よく降るなあ。今年は雨がよく降りますよ、寒いのをどっかに忘れてしまったようだ。」

と、たまが突然何かを言いたそうに吠える。

川田「どうしたの、たま、」

と言って右方向に顔を向けると同時に咳の音。

川田「あっ、水穂さん!」

せき込みながら座り込んだ水穂の、口の当てた手がみるみる赤く染まり始め、生臭いにおいが充満した。

敬子「きゃああっ!」

川田「水穂さん大丈夫ですか!」

と、声をかけるが返事をする余裕はないらしく、さらにせき込む。たまが、敬子のほうを向いて激しく吠える。川田は水穂の背をさすったりたたいたりするが、どうしても止まらない。

川田「鎮血の薬!」

水穂本人も気が付いたらしく、血だらけの手で着物の懐から、小さな袋を取り出すまでは成功したが、それでも止まらず落としてしまう。川田が急いでそれを拾い上げる。ポケットに入っていた財布から、100円玉を取り出す。

川田「すぐにこれで水一本買ってきてくれ!」

敬子「え、、、。」

川田「怖がっている場合じゃないよ。僕はそばについているから、すぐに買ってきてよ!」

たまが、前よりさらに高く吠えるので、敬子は叱られているような気がした。

敬子「わかったわ!」

と、それを受け取って、近くにあった自動販売機に、震える手で100円を入れ、水を一本買い、川田に手渡す。川田はふたをかみ切るように開けて、水穂が持っていた錠剤を水と一緒に彼の口に流しいれる。数分後、喀血は止まる。

水穂「ごめんなさい。」

川田「しゃべらなくていいですよ。」

水穂「いえ、迷惑かけて、」

と、同時に雨は止んで、太陽がまた顔を出す。

川田「ああ、やっぱり通り雨でしたね。よかった。じゃあ、僕が背負って歩きますから、そこの水道で手を洗ってきましょうか。」

水穂「ごめんなさい。急に雨が降って気圧が低くなるとこうなるのです。言っておくべきでしたね。」

川田「だからしゃべんなくていいんですってば。また、血が出たらどうするんですか。とにかく、公園の水道で、手を洗ってきましょう。じゃあ乗ってください。」

と、川田は水穂を背負って水道まで連れていき、一度おろして血だらけの手を丁寧に洗わせた。

川田「赤いジャージ持ってて本当によかった。まあ、洗えば済むことだ。気にしないでくださいね。」

と、たまが敬子に向かって再び吠える。

川田「たま、もういいよ。もう帰るから。敬子さんだって、こんな現場は見たことないでしょう。僕も正直怖かったですよ。じゃあ、敬子さん、たまを連れて歩いてね。僕は水穂さんを背負って歩くからね。」

敬子「私が?」

川田「当り前だよ。ほかに誰がいるのさ。」

敬子「たま、、、。」

と、恐る恐る彼のリードをつかむ。と、やすやすとたまは歩き出してくれた。

敬子「よかった、噛みつかれるかと思ったわ。」

川田「じゃあ、水穂さん、製鉄所に帰りますよ。帰ったら布団敷きますから、横になって休んでくださいね。」

水穂「本当にごめんね。」

川田「大丈夫ですよ。僕は何も気にしてないですから。」

川田は水穂を背負って歩き出す。敬子はたまに誘導されていくように歩いていく。












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