ハッカ飴を片手に 1
「え・・・・なんで?キミが・・・・え?そんな、え?」
いや、なんでと言われても。ばあちゃんの見舞いだよ。
冷静にそう返事できればどんなにいいことだったろうか。
「いや、えっと、その、あの・・・・見舞いっつーか、その、えっと・・・」
終わった。自分がコミュ障だと生まれて初めて認識した。一応初対面じゃないんだぞ、おい。まあ数か月ぶりの再会で、そもそも話した回数なんて累計で片手に入る。だけど、そうじゃなくって・・・・だから、僕!コトバ!デロ!
「コトバ、デロ・・・・?」
おっと、これは思考した内容が口に出ていたようだ。やばい。すさまじく、やばい。
「うーんと、それよりさ。***君」
「ふ、ふふぇ?!」
「キミが動揺しているのはまあわかるけど、まあいいや、とりあえず要件があるんだけどさ」
こちらから聴きたいことがたくさんあるのに、唐突に要件を告げられそうになってんですけど。俺に発言権を・・・いや、先ほど自らコミュ障を発揮してたじゃないか。何言ってんだ。うう、ダメだ今日の俺。動揺しすぎだ。
「ボクがここにいるの、絶対に誰にも話さないでくれる?」
俺は顔を上げる。クラスで上位3分の1には入るかな、くらいのそこそこ整った顔立ち。白を基調とした病院服もそれなりに様になる、特に問題が見当たらない体型。点滴台を左手で持ち、すっくと立っているそいつは、俺の瞳を、ただ、じっと、見つめていた。
俺の瞳を見て、そいつの口は開く。
「言うなよ?誰にも。絶対に。」
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