Candy & Rain
松下桜桃
プロローグ
ばあちゃんが入院した。
なんて言うと、何か重大な病気でもしているのかと思われるだろう。癌とか、脳梗塞とか、そういう類いの。
本当に単純に、階段から落ちて足を骨折しただけだ。
とはいえ骨折といえど、老人となれば油断はできない。なんて言ったって俺のばあちゃんは今年で76歳。立派な後期高齢者だ。下手したら階段を3段ほど踏み外しただけで大怪我だ。僕のばあちゃんはまだ元気だし、右足の単純骨折だけで済んだなんて本当に運がよかった。でも次いでにやった血液検査の結果があまりよくなかったとかなんかで、今日までは病院に泊まるらしい。
学校が終わってから、すぐさま病院に向かう。学校からばあちゃんがいる病院までは歩いて約15分。近いものだ。
雨がだいぶ本降りになってきて億劫に思いながら折り畳み傘を広げ、
ばあちゃんに頼まれたハッカ飴を最寄りのスーパーで購入し、
病院の受付の人に会釈をし、
エレベーターで乗り合わせた顔色の悪そうなおじいちゃんを心の中で労り、
ばあちゃんのいる階でエレベーターを降り、
ハッカ飴ってどこが旨いのかな、と思いつつ広い廊下を歩き、
ばあちゃんの病室の一つ手前から人が出てきたから避けようとして、
「そいつ」と出会った。
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