能力者ノ鎖ト被験者0003

「ねぇ、やめて!!!痛い痛い。ごめんなさい。私が悪いから....お部屋は嫌だぁ....」

 

「うるさい!!!お前は私の奴隷なんだ!!!黙って私に従え!!!」

 

「ごめんなさい....ごめんなさい....暗いのは嫌だぁ....」



 

「....月....葉月!!!」


「んぅ?あぁ、宵さんか....おはようございます。」

 

「あぁ、おはよう。大丈夫か?」

 

「大丈夫です。」


「大丈夫そうじゃないな....今日はあたしの家で寝な。」

 

「分かりました....それよりあの青年は目が覚めましたか?」

 

「あぁ、覚めたぞ。お前が寝たあとすぐにな。取り敢えず話聞きに行くぞ」

 

「分かりました。」

 

 

「どうも初めてまして。私は森 葉月と申します。そして隣の人が」

 

「花咲 宵だ。ここで専属の女医をしている。何か怪我などがあれば遠慮なくいいな。」

 

「それで貴方の名前を聞きたいのだけど教えて貰ってもいいかな。質問はその後で受け付ける」

 

数分の沈黙。もしかしたら数秒だったかもしれない。青年がやっと口を開いた。

 

「僕は古本 祐輝。被験者No.0003と呼ばれていた。僕は6歳の時に捨てられた。親の顔は覚えていない。」

 

「私の推測が間違って無ければ君は攻撃系の能力者なのだけどその自覚はある?」

 

「ある。この能力で何人も殺してきた。それが嫌になって施設から逃げ出し路地裏で死のうとした。けど運悪く見つかり捕まってしまった。君に声を掛けられたのはちょうどその時だ。」 


「そうか....ところで祐輝君。君をここまで連れてこようと思ったのは私の勝手なのだけど君がもし此処に残りたいと言うのなら私は社長に話をつけよう。だが無理強いはしないあの施設に戻りまたいつも通り殺人マシーンとして働きたいのなら施設まで君を送り届けよう。」

 

「戻りたくない....本当は生きたい....生きて殺してしまった罪のない人達の償いをしたい....」

 

「そうか。それは丁度いいな。祐輝聞け。運良くここは何でも屋だ。猫探し浮気調査は勿論。それでもこの世の中能力を使って殺人を犯せるんだ。ただの一般人の警察が能力者に勝てるわけがない。そこで能力者のあたし達の出番だ。警察が扱えない能力者の事件を代わりに引き受けるのがここの主な仕事だ。それに攻撃系の能力者は沢山いた方がいい。ここならお前の思う償いが出来る。どうだ?」

 

再びの沈黙。それでもさっきよりは短かった。

 

「入ります。」

 

「そう。入るのね。じゃぁ、その鎖外してしまいましょう。」

 

「え、これ外せるんですか?」

 

「外せるよ。私の能力限定だけど。じゃぁ、足だして」

 

祐輝は足を出し今から起こる現象に目を見開いた。

 

「『消失の黒猫』」

 

葉月が能力を言うと同時に祐輝のくさりが消えていった。

 

「凄い。どうして....」

 

「この鎖がただの鎖じゃないことは知ってると思うけどそれだけじゃない。これも能力で作られている鎖だから私の能力が発動できる。まぁ、めんどくさい説明は後にして今は皆に自己紹介しに行こう」

 

「分かりました」

 


 


 

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