パスタ#29






練習試合は1試合で終わることはなく


その後、男女交代で2Qずつ行われた


シンは特に指示を出さずに

大城の采配に任せていた



ベンチメンバーを出す機会を増やすために

シンはベンチに座ることが多かった


大城「どうだった?1試合目にしてはまずまずじゃねえか?」


大城はコートに目を置いたままシンに話しかける


シン「まだまだバスケになってない。このレベルじゃ話にならないだろ」


大城「まぁそう焦んなよ!」


そう言うと大城はコート内のタケにゲキを飛ばす


大城「ターケ!!ビビってちゃなんもできんぞ!ゴールに顔向けろ!」


タケ「無理だろ!!俺だけ場違いじゃねえか?ww」



ベンチメンバーも和気藹々と応援をしていた













「「「ありやしたーーー!!」」」


国武のメンバーは山陽高校の校門を出る



コウ「結局噂のルナちゃんは来なかったな、シン」


シンは鼻で笑って足をすすめる




山陽高校の最寄駅に着くと

大城から解散の合図が出た




いくつかの車両に分かれて国武のメンバー男女が電車に乗り込む


シンは1試合目のスコアブックを見つめる


(最大25点差か、、まだまだ、、このくらい1人でクリアできるようにならないと)



ふと、斜め向かいに座るエナが目に入った



シン「エナ、ビデオってそれどうすの?」


エナ「明日、学校で先生に渡してだってさ、重くてちょーだるいんだけど!」


シンは手招きでビデオを受け取る


シン「一晩見たいから、俺から渡しておくは」


エナはラッキーという顔で、お礼にキットカットをシンに渡した






遠目にアンが手を強く握り

その様子を見ていた





ヨウ「シン、この後どうする?」


シンは数秒考えた後に思い出したかのように、ヨウの顔を見た


シン「……ピザ!?!?」











「「お邪魔しまーす」」


シンは慣れたように

カツやコウは礼儀正しく


ヨウの祖父に挨拶をして

ヨウの祖父が営んでいるイタリアンのお店の個室に入って行った



「久々だねぇ、ヨウ君高校でもバスケやってるみたいだね」

常連と思わしきお客さんがヨウの祖父に笑って話しかける





ハヤト、ゴウ、タケを除いた国武のメンバーはヨウの祖父の店に集まった

ヨウの提案により、スクリーンがある祖父の店で打ち上げをすることになった



シン「すみません。早速使わせていただいちゃって…何時までいくらくらいで…」

シンの祖父「いいんだよ!ガキが気使わなくて!前に行った、ヨウを誘ってくれたお礼だし、昔から試合終わったらうちでミーティングしてんだよ!お題もいらない、ヨウがそのかわり無賃で働くから!」


シンの話を遮るようにヨウの祖父が笑って答える




タキとヨウが遅れて店に入ってきた両手には2Lの飲み物が数本と数枚の紙が


ヨウ「とりあえずスコアコピーしてきたよ、じいちゃん申し訳ないんだけど、いつもの感じで飯お願いしていい?」





シンは全員がテーブルに座ると話し始める


シン「とりあえず、ビデオ見ながら自分の外した本数とリバウンド、自分のディフェンスに決められた本数数えて、んで要所要所で止めるから」


ノリ「え?wそういう感じ?打ち上げじゃねぇーのこれ?」


ノリの発言にシンの眼光が鋭くなる

そのことに気づいたゴウがフォローを入れる


ゴウ「バカ!反省会って言ったろ!お前は素直に見とけ!」


ノリは不服そうにスコアを見る


ノリ「出場時間が短いやつが見てもしょうがなくね?…やっぱ俺帰るわ」


そういうとノリはみんなのゴウとカツの静止を振り切り店を後にした



シン「いねぇやつは気にすんな、店にも迷惑かかるから早くやっちゃおう」



場の空気が重い中、映像を見ての反省会が始まる





途中ヨウの祖父が質素ながらも本格的なペペロンチーノとマルゲリータとフライドポテトを大量に持ってきてくれた







シン「…まぁ反省点としてはこんな感じか。正直勝てなきゃいけない相手だと俺個人的には思ったけど、今日に関してはゴウとカツはしんどかったと思う、でもあのキャプテンくらいからは点とってもらわないと、困るからな」


反省会が終わりを迎える頃には

メンバーの顔に、ほぼ笑顔がなくなっていた














コウ「実際どうなのよ」


ミーティング帰りのコウとカツ、タキは

一緒にバスに乗っていた


カツ「…?ん?なにが?」


コウの顔にいつもの笑顔はなかった


コウ「…んや、なんでもねえ。切り替えなきゃな」



いつも明るいコウの、曇った顔をタキは無表情ながら気にしていた



I

I

I












大城「んじゃ!今日はここまで!各自着替えて19時までに学校出るようにな!」



ユウ「よっしゃ!んじゃラストシン1対1しようぜ!」



ゴウ「よっしゃ!今日もユウのボロ負け姿を見ようぜ!タケ!」


ユウとシンの1対1は練習後の恒例になっていた


シン「今日も負けた方がアイスなー」




シンとユウはリラックスしながらも、自分たちの技を磨くように1on1を始めた


シューティングをする者、それを見守るもの

そそくさと着替えに出る者



その中で、コウとノリ、タキはキャハキャハと笑いながら、時折ふざけながらシューティングをしていた


コウ「こういうのはどーよw」

コウのふざけたシュートが外れ

ユウの頭に落ちる


ユウ「あいてっ!!」


悪い!と手を合わせてユウに謝るコウ



シン「…っ!あっぶねぇな。。おい!!邪魔すんなら上がれよ!」



シンの真面目な台詞に体育館が静まる



コウ「…」



コウは無言で数秒シンを見た後な口を開く


コウ「おまえさぁ、そういう言い方しかできねえのかよ?毎日毎日、俺らはお前の後輩じゃねえんだよ」


シン「あ?ならもっとマシなプレーでも練習でもしてみろよ」


コウ「おまえ…いい加減にしろ!!」


コウは4.5m離れたシンに向かって

駆け出しシャツの胸ぐらを掴む


シンはコウの手首を掴み、コウの顎に肘打ちをくらわす



シン「調子乗んなよ…」


シンがよろけたコウに詰め寄ろうとするのをユウが羽交締めにし止める

タキもシンとコウの間に入りシンの顔をじっと見て静止する



メンバーがシンとコウの周りに駆け寄る


ゴウ「やめとけやめとけ!熱くなんなよ2人とも!」


シン「このアホ、一回死ななきゃわかんねえだろ」


体育館の2階観覧席で着替えていたサッカー部も異変に気づく

「何喧嘩?」

「うわ、あいつじゃん、なんだっけ?刺青入ってるやつ」





サッカー部顧問のアベが観覧席後ろからそれを見つける


アベ「おいバスケ部!お前ら全員こっちこい!!」



サッカー部「うわwあいつら終わったなww」


ザワザワとバスケ部を見るサッカー部メンバー

その中に、サッカー部で入学初日シンとやり合ったシゲも無言で見つめていた


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