アイス#23





シンはカラオケの部屋を出て

灰皿がある階段でタバコを吸っていた



後から女子高生が来る


女子高生1「おつかれー、ってかびっくりだねー、来週ウチの高校と練習試合とか」


シン「あーそだな」


女子高生1「あとシンがキャプテンってのが意外過ぎてやばいw」



2人はタバコを吸い終えると部屋に戻った


女子高生1「ただいまー!ねーじゃあシンこっち座って!」


そういうと女子高生はシンを自分の横に座らせ、シンの反対側に座る女の子に目で合図を送る


ルナ「え、あ、、あの、さっきはありがとね、飲み物の変えてくれて!」


どうやらルナはシンと話したかったらしく、女子高生の友人が間を取り持ったらしい



ルナ「私、そんなお酒強くないから、あんな飲み方できないんだよー、しかも全然おいしくなかったから!でもシンが作ってきてくれたやつ、めっちゃうまいよ!何入れたの?」


シン「これねー、多分レモンサワーの原液が濃かったから、炭酸とシロップと少しホワイトリカー足しただけだよ」


ルナ「ホワイトリカー?」


ホワイトリカーとは、安いお酒のベースに使われるような焼酎の様なものだ


シンは昔から親が飲み歩くのについて回っており、自分が飲めそうな飲み物は作れるようになっていた


シン「お酒強くないなら、レモンサワーもあんま好きじゃないんじゃない?」


ルナ「まあねー。でも何飲んだらいいかわかんないし」


それを聞くとシンは牛乳ハイ(焼酎を牛乳で割ったもの)を注文する


店員が頼まれ慣れないドリンクであったのだろう、これでいいのかと確認しながら部屋に持ってきた


シンはそれを受け取るとルナを部屋の外に呼んだ


シン「好きなアイスは?」

ルナ「え?アイス??抹茶とかかな」


シンはその飲み物の上に抹茶アイスを丸めて乗せストローを刺しルナに渡す


ルナ「え!?やば!なにこれ!ちょーおしゃれ!」


ルナは軽く飛び跳ね嬉しそうに喜ぶ



2人が部屋に入ると

視線が集まる


女子高生1「え!ルナのそれなに?」

男子学生1「でたー!シンそうやってー!」


ルナは、いいでしょー!と自慢げに見せつけてからシンの腕に自分の腕を絡めた



男子学生2「おいー、シン俺にもなんか作ってきてよ!」


はいはい、そういうとシンは簡単にドリンクを作り戻った


男子学生2「辛ーー!なんだよこれw」


シン「特製タバスコハイww」



皆んなが笑い、楽しい時間が過ぎていった


ルナは嬉しそうに抹茶のアイスをミルクハイに溶かしていた













「んじゃ、また明日ねー」

男子学生が2人駅の中に消えていった


残ったシン、シンの友人、ルナ、ルナの友人は公園に向かっていた



シンの友人と、となりを歩く女子高生は手を繋ぎ


ルナもシンの腕に両腕で絡みついていた

ルナの足元は少し千鳥足で



公園に着くと2人がけのベンチにシンの友人達が座る

シンは周りを見渡し少し離れたところのベンチに座るかとルナに尋ねる



シンとルナはベンチまで歩きながら話す


シン「大丈夫か?ちゃんと帰れる?」


スマホの時計は見ると21:55を示している



ルナ「やば、、」

咄嗟にルナが小さく声をだす


シンの目には遠くのベンチのシンの友人達が警察に声をかけられていた


シンは綺麗に整備された公衆トイレを指差し隠れるかとルナに尋ねた


ルナは満面の笑みで喜んでと言わんばかりにシンの手を引き、トイレに2人で入った




そこからは言わずもがな


元気のいいお酒が入った高校生


便器の蓋に座ったシンの上に向かい合うようにルナが座りいやらしいキスが始まる


シン「あいつら大丈夫かな」

ルナ「んっ…、わかんない、でも、今は、隠れてよ、」


2人とも心配しているふりだけ


ルナはブレザーを脱ぎカバンの上に置いた





ルナのワイシャツをスカートから出しシャツの中に手を入れる


150センチもないルナには似つかわしくない黒と紫の色気のある下着をシンは楽しんだ














ユウ「シン…なんか臭うぞ!!」



シンは悪びれもなく手を挙げると

着替えをさっさと済ませて更衣室を出た


日曜の練習は13時から15時まで外練、ボールを使わない走りメインと筋トレ、15時から18時まで体育館での練習となっている




顧問の大城がみんなを集め指示を出す


「…んじゃぁ、そんなところで、今日も怪我なくやってくれ。あとはヨウ、シンに任せるな」


みんなが体操を始めランニングに向かうなか大城がシンを呼び止める



大城「シンー…。おまえ酒飲んだのか昨日?」

シン「あれ?におう?」

大城「いや、臭いはしねぇがさっき話してたろ。みんなに迷惑はかけんなよ?来週初試合なんだから」






シンは大城と話し終えると

ランニングの列に戻った


シン「ユウ、俺臭う?」

ユウ「におうにおう!女の匂いもwなんて嘘だよw昨日街のカラオケから出てきたろ?女の子とイチャイチャしながら、後着替えの時キスマーク見えたw」


どうやらユウに見られていたらしい


前を走るヨウは聞き耳だけを立てている


タケ「これだから、イケメンは嫌なんだよw」

カツ「無駄口多いよ!みんな集中!」



メンバーは声を出し

練習を始めた











バスに揺られながら

コウはみんなに話しかける


コウ「今日もゴウ、ノリノリだったな!リバウンドなら俺とカツと張ってるもん!」


シン「そだなー」


シンはコウの話を半分にLINEを打つ

【シン:来週そっちの高校と練習試合するんだけど、知り合いとかいない?】

【ルナ:んー。いるっちゃいるかもw】

【シン:1年?レギュラー?】

【ルナ:言わなーいww終わったら教える】



シン「んだよ、」

LINEを見て呟くシン


カツ「どうした?シン?」


シンは昨日の一部始終とルナのことをその場のヨウ、ゴウ、カツ、タキ、ノリに話した



みんながわいわいと話す中

ヨウは顔色を変えずにいた



シン「でもまぁ、今週やる山陽はIH予選も1回戦負けしたみたいだし、そんな強くないんだろ。運動系はあんまり強くないみたいだし」


タキ「そんなところに勝てない様なら、そこまでのチームだってことね」


カツ「おいおい、まだ俺ら1年しかいないんだし、相手は3年だろ?勝てなかったらとかやめようよ」


タキの冷静な言動にカツはハードルを下げる


さっきまで笑って話していたメンバーの顔付きが真面目になる

ヨウもみんなの方に身体を向け、話に参加する


ノリ「上目指すなら、ザコ高の3年くらいには勝たなきゃだめだろ」


ノリの発言に鼻で笑うシン


ノリがシンのことを横目で睨むが

シンは続ける


シン「こいつの言う通り。1年だから負けても仕方ない。3年になったら揉まれて勝てる様になってる。そう思ってる奴がいるんなら無理だね」


その言葉は皆んなに言っている様で

シンの目はカツに向けて発していた



シン「全国大会に出るチーム、有名なところで行くと城ヶ崎、早大、桜峰、立海、あと帝桜…

ここら辺は中学でガチガチの強豪校から推薦で上がってるやつらが、更に揉まれて高三のになる。上手いやつなんかは1年から試合出るしな。

スタートは変わらない。むしろチーム内で競い合う様な先輩がいない分不利だと思って毎回の練習試合に向かい合わなきゃレベル上がんないよ。」


カツは下唇を噛んで納得した表情だ


ノリ「スタメンとかってどうやって決めんの?」


やはりノリは学校のチーム慣れしていないのか、平気でこういう皆んなが聞きずらい内容を放り込む。



皆んながシンの顔を覗き込む


シン「あー、、俺の独断と偏見ってのも納得しないだろうから、明日の練習で考えてみっか。明日の昼休みミーティング開けるか、ヨウ?」


ヨウ「OK。視聴覚室頼んでみるは」




ピロン


ヨウはバスケ部のグループLINEに1通送るとその場のメンバーのLINEが一斉に鳴る


【ヨウ:明日昼休みミーティングやる。視聴覚室前に飯持って集まって】




陽が落ちるとまだ外が寒いせいか

バスの窓は結露で曇っている


シンはバスケットコートの台形を指で描き

じっと見つめていた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る