紙とぺん#21


「中央第一中学から来ました!菊池陽二です!よろしくお願いします!」



練習前の体育館にヨウの声が響き渡る


練習は男女混合で体育館に大きな輪になり準備運動から始まる


その輪の真ん中でヨウは数日遅れの自己紹介をした


顧問の大城がヨウに近づきみんなに話し始める

大城「男子はヨウを入れて今のところ10名だ!

前回キャプテンはシンという話しをしたが少し変更がある、シンにはキャプテンという形で練習の指示やゲームキャプテンとなってもらい、ヨウに男子バスケ部の代表ということで部長と名乗らせる

まぁ連絡や相談は2人どちらでもいいから!そういうことでよろしく!」



事前に男子バスケ部には話を通していたが、改めて全体大城から伝えられる



ユウ「まぁ、シンが代表だと男バスのイメージが悪くなるもんなww」


茶化すようにシンに話しかけるユウ


シン「うっせ」

小さく答えたシンもどこか嬉しそうだった


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練習の休憩に入ると大城がシンに話しかける


大城「ユニフォームと大会の件決まったか?」


シン「あぁやっぱりインハイ予選はやめておきますよ、まだどうこうできるレベルじゃないし」


それを聞いていた、コウが話に入る


コウ「あれ?出ないんだ!?どこまでやれるか試したいけどね」


(言うとおり、その気持ちもある、でも、バスケは野球みたいにピッチャー1人が怪物ならいい試合をできるようなものではないからな…)


大城「そうかぁ、まぁ仕方ないな、でも今週土曜は練習試合を組んだぞ、大会出る準備だと思ったんだけどな」


ユウ「マジすか!やった!試合だー!久々!俺の活躍みせられるな」


ユウがはしゃぐ様子を遠くで鼻で笑うノリ




大城「ヨシ!じゃぁ5対5やるぞ!先に女子から!」


大城は女子に声をかけると、シンに尋ねた


大城「スタメンだと思って今日は組んでくれ、どうする?」


シンは体育館内に散らばるメンバーを見回す


シン「何本やる?」


大城「8分4本やろうか」


少し考えるシン



シン「…ユウ!!ちょっとこっちこい!あとコウ!カツ!ヨウも!…とりあえずこのメンバーで1ピリやってちょいちょい変えていっていいすか!」


大城はニヤニヤしながら頷く


大城「じゃあ、他の男子は俺のとこ来てくれ!」

大城は他の5人を集める




シン「目標はターンオーバーとシュートミスを無くすこと、実力的にだいぶこっちの方が上だからといって手を抜かないこと、20点差が目標ねOK?ガードは俺がやるけどユウも一緒にボール運んで、ヨウは一応SFのポジションで、ヨウがインサイド入る時はカツは外出ちゃって」


シンの淡々と出る指示を3人は黙ってうなずく、1人ユウだけは、「あいよ!ラジャー!」などと茶々を入れてくる



シンは大城に近づきある提案をする

シン「ミスの数を数えたいんだけど、女子使ってもいい?」


そう聞くとシンは女子が並んで女子の試合を見ている場所に近づく、女子が一斉にシンを見てざわつく


(え、なんだろうシン君)

少し顔を赤らめるアン


シンはエナに目を合わせ指でちょいちょいっと呼び出す


アイ「なんだろうねエナさん…アンwやきもち妬かないでねw」

隣の女子から茶化されるアン




シン「うちのチームのターンオーバーとシュートミスを誰が何本したか数えてほしいんだけど、できる?」


エナは後ろ頭をポリポリとかく

エナ「あぁ、そういうことね、、シュートの打った本数は?」


シン「流石…それも頼む」

(こいつ俺の意図をわかってんな、女子のくせに)


エナはもう1人女子を呼び、紙とペンを持って机に座る








大城「じゃあ次男子入って!!」


大城がそういうと

女バスの3年のキャプテンと副キャプテンはコートに残った


シン「おっちゃんの指示?」

シンが大城に聞きに行く


ヨウもすかさず近寄ってくる



大城「まぁ、正直こっちの方が強いからな」

大城の言葉を聞きポジションが入るシン


(なんだよ、、ならあいつも入れりゃよかった)



エナは眼光鋭い目でコートを見る





24対8


エナ「はい、とりあえずこれ、あと名前わかんない人いたからみんな書いてない」


コートから出たシンに紙を渡すエナ



大城「んじゃ次ー!女子1年全員入れ!」


コートにはアンを含めた内部5人と、エナを含めた外部5人が違う色のビブスを着ていた




シン「ユウ、今のチーム集めてくれない」

ユウ「はいよ!キャプテン!」


シンは紙に目を落とす

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

決めた本数/シュート本数   外した本数

① 2 / 7 5

② 1 / 1 0

③ 5 / 5 0

④ 3 / 5 2

⑤ 0 / 2 2


 リバウンド    ターンオーバー

① 0 1

② 3 2

③ 3 3

④ 4 3

⑤ 1 0


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「ゴウ!タキ!きて!」

シンは2人も呼ぶ


「一回ヨウとカツが抜けて、ゴウとタキ入って」








練習が終わった部室ではタケとゴウが元気よく話していた

タケ「俺マジダサくねw女子より下手ってことじゃんw」

タケの自虐は笑ってはいるが、悔しくないわけではないだろう

それを察したのかヨウが話しかける


ヨウ「試合出たってみっともないプレーすんだから、恥ずかしいのは一緒だろ」

タケ「うるせえよw」


ヨウのイジりに救われたのかタケは鼻で笑って笑顔で部室を出る



スピーカー『バスケ部鴨志田、菊池、職員室まで来てくれ』

大城の声で校内放送が入る



ヨウ「ちょっと行ってくるから、鍵閉めて後で持ってきてくれ!」


ヨウはメンバーにそう告げると、シンと職員室に向かった




職員室前のテーブルには大城と女子バスケ部のキャプテン、副キャプテン、2年生1人、エナとアンが座っていた



大城「おぉ、シン!ユニフォームの件だ!決まったか?」


大城の声にピクリと反応したのはアンだった


シンはテーブルの上に4冊もらったうちの2冊のカタログを広げ、2種類のユニフォームの型を見せた


シン「ぶっちゃけ色とかは伝統もあるし勝手に決めちゃいけないんでしょ?」


シンが刺したユニフォームを全員で見る、アンだけは見るフリをしている、既にバスの中で見て知っていた



不意に女子バスケ部のキャプテンが立ち上がる


女子バスケキャプテン「先生、うちら引退までは今のユニ使うから関係ないんだよね?だからみんなで決めちゃっていいよ」

大城「まぁそうだな、3年は今のままで引退までやるからな」


そういうと3年2人は立ち上がり、挨拶をして帰っていった

エナとアンと2年生はわざわざ立ち上がり一礼して見送る


エナとアンが席につく、2年の先輩は立ったまま口を開く


女子バスケ2年代表「あのー、うちらの代も3年生が引退したら残るの私とミホだけだから…1年生で決めていいよ」


女子バスケ部の2年生は5人しかおらず、そのうち3人は進学クラスなので3年の引退と同時期に引退することとなっている


2年生の先輩もみんなに挨拶をして帰っていく、アンが立ち上がり頭を下げる

エナもめんどくさそうにまた立ち上がり、先ほどよりも手早く一礼してすぐに席につく



大城「じゃぁ1年で決めちゃってくれ」

大城がそういうとエナとアン、ヨウはカタログを覗き込んだ




大城「んじゃユニフォームはそんな感じで、女子男子それぞれサイズを聞いてこの紙に書いてきてくれ」

大城はそう言うと、職員室に入っていった


エナ「ってかなんで、ウチ呼ばれたの?」

エナがアンに聞く


アン「いや…わからないけど、私もなんで呼ばれたか分かんないし」


エナ「まぁいいや、とりあえずもう帰っていんだよね?」


4人は席を立ち一緒に校門を出た




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