朝練#13




《ピロン》


ベッドに横たわったシンの携帯のLINEが鳴る

【グループ名:バスケ部(仮)】

【ユウ:シンお疲れ!ここに今日のメンツ集めて!】


(ユウかよ。めんどいな…)


シンは返信を返さずラインを閉じる






朝目覚めたシンはスマホを見る、スマホのLINEには未読52件の文字


シンは寝ぼけ眼でLINEを開く

【バスケ部(仮)51件】

【ハヤトが参加しました】

【ハヤトがカツ、タキ、ケンを招待しました】

【ユウがヨウ、コウを招待しました】

【コウがノリを招待しました】


昨日の練習に参加したメンバーは全員参加していた


【ユウ:みんなお疲れ様!これをバスケ部のグループLINEにしよう!】

【コウ:お疲れ!ってことはここのメンバーは全員バスケ部入部ってことでいいのかな?俺は入るよ!不甲斐ないセンターかもしれないけどよろしく!】

【カツ:コウありがとう!】

【ケン:俺は未定で!!色々見て見たいし!】

【ノリ:なら辞めろよ】




ノリの冷たい返信にシンの目が止まる


【ノリ:俺は入る。本気で自分がどこまでいけるか試したい。今日の練習で感じた。何もできなかった自分が不甲斐ないから。これから吸収する、んで、俺が克武のエースになる。】




(自惚れんなよ…)


シンは残りのLINEの会話には目は通さず、下までスクロールし、スマホをとじた









ヨウ「よう。」

シンが通学で使う都バスに、ヨウも途中から乗り込んでくる


校則違反の黒パーカーに学校指定以外の黒のエナメルバック、かつ長髪のいかにもガラの悪いシンの横の席は、必然的に空いていた

シンがその空いた席に座る


シン「おはようさん」

ヨウ「今日放課後部活説明会だってな?シン見に行く?」

シン「いやー。興味ねえかなヨウもどうせ行かねえだろ?」

ヨウ「まぁなwじゃあ放課後どっかいく?」

シン「わりいな。今日は用あるんだ」



シンはその日の放課後、卒業校の暁中に行く予定が決まっていた

卒業して未だ1ヶ月

卒業した実感も曖昧ななか、暁中の元スタメン5人で後輩の部活の様子を見に行く約束をしていた




バスが学校に近づくと横断歩道で運動着で列をなす軍団がシンの目に入る


男子生徒『いいねーw女子高生の運動着は』

シンとヨウの近くに立っていた克武の制服を纏った男子生徒があざ笑う


(確かに、こんな合法的に女子高生を見れるなんて今だけか…)

シンは信号で並んで止まるバスの窓を開けて肩まで腕を出し挨拶する

シン「お疲れー」

女子バスケ部1年「お、おはようございます!」

1番後ろを走る1年生がしっかりと挨拶をし、2.3年生は笑顔でこちらに答える

女子バスケ部3年生「おはよー!君達も走りなさい!w」


シンはアンに手でサインを送りながら連絡を促す

シン「あとで練習予定教えてくれ!」




女子バスケ部2年生「なんか怖いと思っててけど、シン君かっこいいかもw」

ボソッと呟いた2年生の台詞にアンが笑顔になる


女子達が学校に到着すると、2.3年生数人がアンに近寄る

女子バスケ部3年生「ねぇアン。シン君といい感じなの?w連絡してってアンに言ってたんだよね?」

アン「仲良いっていうか、まぁ少し話すようになっただけです!!」

顔を赤らめてアンが焦りながら答える

女子バスケ部3年生「いいなー1年には男子入って!うちらの代にも入ってこないかなー」



先輩達が去った後、女子の1年生2人がアンに寄る

アイ「アン。なんか言われた?僻まれたりした?大丈夫?」

アン「違う違う!シン君のこと少し聞かれただけだよ!」

アン「あぁー。アンライバル多しだね」

ヒナ「確かにシン君怖いけどかっこいいもんね!ヨウ君もあのコウって子も!」

アイ「結構イケメン揃ってんじゃない?w」












HR中シンの手の中で震えたスマホを見る

【アン:練習は日曜、月曜休みだよ!(o^^o)朝練は基本毎日できるから!】

【アン:先輩達からシン君人気だったw】


【シン:そりゃどーも。練習日サンクス、みんなに伝えとくは】


(女子校ってみんな飢えてんのかな)

シンは今朝のアン、ピンクのバスパンに色白の綺麗な足で走るアンを想像していた





放課後シンは暁中の体育館に入る


「「チャース!!」」

2.30人の部員たちがシンに挨拶する

壇上の上にはシンの代のスタメンが3人

シンの同級生「シンお疲れ!相変わらず制服着ねえんだなw」

シン「これが俺の制服だよwソウは?まだ?」

同級生「あぁまだ来てねえよ?」


ソウがいなくて心地いいのか、全員揃わなくて残念なのかなんとも言えない顔をするシン







キョウ「キャプテンあいつら誰すか?」

シンの後輩「俺らの1個上の先輩だよ」

キョウ「うまいんすか?やっぱりいるんすね?卒業しても部活に顔出すやつら」

シンの後輩「キョウ!先輩達にはあんま生意気言うなよ?!特にあの髪の長いシンさんにはな。ガラ悪いけどバスケはマジでうまいから。」

キョウ「ふーん」



シンの後輩「シンさん!お疲れ様です!…って…⁉︎それって?タトゥーすか?!本物ですか⁉︎」

キャプテンとキョウがシンのタトゥーに目を見開く

シンの同級生「は?まじかよ?シン入れたの⁉︎」

シン「あぁ卒業前には入ってたよwそいつは?新入生?」

シンの後輩「そうなんすよ!推薦で入ってきて!こいつ都選抜ですよ!シンさん達がぬけてから練習参加させてて!レギュラーにも考えてます!」

シン「すげーな。ってかお前らのレベルが低いんじゃねw」


キャプテンの後ろについてキョウがシンを睨む

キョウ「…じゃあやろうよ?」


驚いた顔でキャプテンがキョウの頭を叩く

シンの後輩「ば、バカ!敬語使えよ!」


シンはバッシュの紐を結びながら微笑み答える

シン「いいよ。やろうよ」



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