結末#8




ジャンプボールが高くあがり、カツのタップからタキにボールが渡る

すかさず走り出したハヤトにパスが渡りそのままレイアップにいくが、シンのブロックに阻まれる


ユウ「ナイスブロック!」


シンはパーカーも脱ぎシャツを肘まで捲り華奢な腕をあらわにしている


シン「ユウ、タキから目離すな。あいつ、パス&ランで中くるぞ」

ユウ「オッス!!」


シンの指示通りユウがタキから目を離さずべったり着くが、それが仇となる


カツがゴール下からのスローインでハヤトにパスを出すとシン1人ではカツとハヤトどちらも抑えることはできず、ハヤトにミドルシュートを決められる


シン「ディフェンスはきついかな…」

シンがボソッと呟く




「シン!ダブルチームきてるよw」

ユウがスローインしながら伝える

ハーフラインでハヤトとカツがシンを待ち構える


シン「ユウ、点取ってきてw」

ユウにボールを渡すとシンはコートの端で直立し腰に手を当てる


シン「いや、お前ら2人はせこいだろw」

カツ「そうでもしねぇと止まる気しないんで」

カツとハヤトと談笑するシン




タキはユウを、ケンと強面サッカー部のゴウがいる方に抜かせ、無理やりジャンプシュートを打たせる



シュートを打ったその瞬間、談笑中のシンがいきなり走り出しランニングリバウンドでタップシュートを決める

いきなりのシンのダッシュに出し抜かれたカツとハヤト

ハヤト「おい、シン!せこいぞ!」

シン「俺を止めたいならシャツでもちゃんと捕まえとけよ」



コート脇からトモがハイタッチを求める

トモ「ナイスシン!」

パシッッ!!


ハイタッチした瞬間視界の端でボールが飛ぶのが見える


タキのスローインはゴール下のカツの手元へ


すんなりゴール下を決められる


シン「おいトモ!トモのせいで決められただろ」

半笑いでシンが叫ぶ


トモ「ごめん!頑張ってw」



次からのディフェンスはカツも本気になりシンから目を離さずディナイディフェンスでボールを持たせない


その間にH組は4点を重ね

C組2点、H組8点、残り時間5分となっていた



ユウ「シン!だめや!どうにかしてくれw」

ユウはミドルシュートが決まらず、得意のスリーも打たせてもらえず焦っていた



シン「むりかもなwとりあえずもうワンプレー、ユウ頼むわ」

シンはまたユウにボールを渡す

そして靴紐をきつく結び直す


ハヤト「お!まじで来るか!」

ハヤトが気を入れなおし、シンをマークする


そして足首をストレッチするシン


ユウはジャンプシュートのフェイクでファールをもらいゴール下からのスローインとなる


ユウがスローインをしようと、コート外に出ようとするのを阻止し耳打ちするシン


「俺がスローインする…台形付近で立ってろ」



カツ、ハヤト、タキはユウから目を離さず警戒する





シン「なぁ!このゲーム賞金つけねえ?買ったら一人1杯おごりでw」


急にシンがH組に提案する


カツとタキは目を見合わせる


ケン「いいねえ!その方がテンション上がる!OK!」

答えたのはケンだった




ボールがシンに渡される


シン「ユウ!広がれ!!」


ユウは驚きながらもスリーポイントラインまで広がる


ディフェンスの3人も必死についていく



しかしシンは、ゴール下でのディフェンスしているとケンの尻にボールを当て、転がるボールを拾いそのままゴール下を決める


ケン「いて!え!?ありかよw」

ケンはパニクって笑っている


シン「オゴリがかかってるからなw悪く思うな」


シンはケンの背中を叩く



C組4点 H組8点


ユウ「ディフェンス止めねえとな…」

シン「そだな…。みんな!ディフェンス変えるぞ!ユウはタキ、俺がケン、それぞれマンツーマンでついてくれ!」

シンの指示でマンツーマンでディフェンスする


タキはゆっくりとボールを運ぶ

ハヤトとカツがゴール裏で交差する

ハヤトがボールをもらおうとするのを見て

シンが外に出る

それを見逃さずタキはゴール下のケンにパスを出す



しかしシンは1歩でケンの前に戻る


ケン「きたーーー!」

シン「こいよケン!イケメン対決しようぜ!」


ケンはやる気満々でボール頭の上に構える



タキ「だめだ戻せ!!」

タキが叫んだ時にはすでにおそく

シンはボールをスティールし、前線を走る

ユウにボールを出す

ユウ、シン対タキのアウトナンバー


スリーポイントを打とうとするユウに叫ぶシン


シン「打つな抜け!!」

ユウは驚きながら、指示通り抜きにかかる

タキが打たせまいと詰めるのを見てシンが合わせる


ユウはシンにパス


シンにボールが渡った瞬間体育館の空気が止まる





シンの2歩目は上に高く静かに跳んだ

シンの持ったボールは、ボールひとつぶんゴールの上をいき

手のひらと一緒にゴールにダンクされる



「「「うおーーーーー!!!!」」」

体育館がうねりをあげるように盛り上がる


生徒「ダンクやべー!」

生徒「初めて見た!」


NBAのような派手なダンクではない

シン限界のジャンプでギリギリの高さのダンクではあったが体育館がどよめく程の盛り上がりをみせる


C組6点 H組8点


残り1分


ディフェンスは変わらずマンツーマンのまま

タキのコントロールでハヤトがジャンプシュートにいく

「うおーーーーー」

素人ながらに必死のディフェンスをするC組メンバー


ハヤトのシュートをリバウンドしようとゴール下でシンが思いっきり跳ぶ、しかしシンの腕のはるか上でカツがランニングリバウンドをとる


カツ「タキ、時間使え!」

カツは空中で身体の向きを変え、タキにボールを戻す


残り40秒をタイマーを確認したタキは、人差し指を高く掲げ1本ゆっくりと指示を出す


タキ、ハヤト、カツでボールを回す




体育のバスケでは24秒ルールなどない

C組のチームメンバーも応援席もほぼ諦めていた


残り時間20秒のところで、カツがユウにスクリーンをかけ

タキはゆっくりとしたフォームでスリーポイントを放つ


2.3秒はあるように感じた大きな弧を描いたボールはゴールに吸い込まれる





ユウ「シン5点はまずい!15秒きってる!」


ユウがスローインしようとする頃には、ハヤトとカツがシンにべったりついていた

シン「ユウ投げろ!」

シンが走り出した前にユウはパスを出すが、180センチの身長からでる、長いカツの腕にカットされる


しかしシンはカツの手元からボールを奪い返す

そのままフロントコートへ突っ込みバックロールからフェイダウェイでミドルシュートをきめる




シン『諦めんな当たれ!!!』




シンの一声でC組のチームメンバーが必死に着く

スローインするタキの前でC組メンバーが手を大きく振る

タキのスローインはサトの指先にあたる

勢いなくしたボールをユウが拾う



C組の応援席が盛り上がる



ユウ「シン頼む!」


シンがトップのスリーポイントラインの位置でボールをもらう


残り2秒


シンは息を整えることすらできないはずのこの場面で、タイミングをずらす



ズレたタイミングに引っかかり、チェックに行ったタキの身体がシンに突っ込む


シンは体制を崩す前にシュートを放つ



とても綺麗とは言えない弾道の低いシュートは体育館中のすべての目線を集め












リングに吸い込まれた





ビーーーーーーーーー


タイマーの音が鳴り響き

体育館が再びうねりをあげる


生徒「すげー!入ったよ!」

生徒「あいつすげーな!」


「結果はどうなんだよ」



ケイ先生が声を張り上げる


ケイ「これってどうするかw?アン!普通の試合だとどうなるの?」


急に話を振られたアンが驚き、自分を指差す

アン「あ、あたしですか!?!?」


体育館は静まり、全員がアンを見つめる


シンも尻餅をついたまま、アンを見つめる


アン「えっと…タイマー動いていたので、スリーポイントは得点になります…それで、最後のは…ファールだったので…シンくんのフリースローで決まるか、延長かです…」




シン「だってよ、わりいな」

タキが手を差し伸べシンを起こす



ユウ「シン!神かおまえは!ほれ!フリースローや」

ユウがはしゃぎボールを渡す



シンがフリースローラインに立ちケイ先生に言う


シン「先生。フリースロー外したらC組の負けでいいよ。時間もないだろうし」



ケイ「イケメンだね〜wってことで外してくれシン!」

ケンがおちょくるのを横目に

シンは笑顔でフリースローを決める



「「「わーーーーーー!」」

C組のメンバーがシンを囲いポカスカ叩く


ケイ「優勝はC組!んじゃあ次の競技いくから準備して!」


ケイ先生の声でシンはその輪から抜け出し体育館外へ逃げる




体育館はまだ熱気に包まれていた

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