バレーボール#7




2回戦

C組 対 J組






「一本いこーぜ!」

THE優等生、且つイケメンスポーツマンという風貌

しかも、チームの中心でみんなを盛り上げる

そんなコウを見てシンは小さく笑いながら髪をオールバックに結ぶ




ユウ「おれ、あの水色つくわ」

ユウは水色のバスパンを履いたノリに対抗心を燃やしている

同じ匂いを感じているのだろう



コウがボールを運ぼうとドリブルをつく

コウはC組のディフェンスに驚く




シンはC組のメンバーにもう1つ指示を出していた


水色バスパンのノリにはユウをつけ

コウには未経験者を3人

シンはポスト付近でコートの全てに気をむける

未経験者は戦力にならないと判断したシンの作戦だ



コウはテンションが上がっていた

コウ「1本とるぞ!中あけ…ってやべ!」


人差し指を高く上げて指示を出そうとする途中にC組のディフェンス2人が襲いかかる


コウは特別なスキルを使うわけでもなく、右サイドから強引にディフェンス3人も横に引き連れゴールまでつっこむ


ゴール下で待ち構えていたシン

コウのレイアップにあわせてブロックに飛ぶが吹き飛ばされる


シン「やっべ…」

シンが咄嗟に声を出す


シン尻餅をつくが直ぐに立ち上がり

コウに謝る

シン「わりい!完全にファールだ!」

コウ「問題ない問題ない!そっちこそ大丈夫か?」

コウに手を差し伸べられ、起こされるシン


(すげー情けねぇな俺w)


ユウ「シン超飛ばされてたねw」

シン「うるせーよ…貸せ」

ユウからスローインを受け取るシン


(ひょいひょい)

シンはチームメンバーに外に広がるように手で指示を出す


ハーフラインで水色バスパンのノリが待ち構える、シンは右からバックロールで左に抜く

ノリはそれに食らいつくと思いきや、スライディング気味に足元からボールを狙う

シン「あっぶね!」

シンが咄嗟にジャンプし接触とスティールを免れる


(こいつ素人かよ)

怪訝そうな顔をするシン


台形前まで未経験者のディフェンス3人を難なくかわしコウと対峙する



シンは台形45°あたりから踏切り、レイアップに行く

それにあわせてコウもブロックを狙う

コウはファールを避けボールだけうまく狙う


シンは一度出したボールを下げ、代わりに左手でコウの手のひらを叩く

そのままダブルクラッチでシュートを決める



ハーフラインを超えてからわずか5秒程で5人抜き、かつ派手なダブルクラッチに会場がどよめく

「「おぉーーー」」


アン「な、ないっしゅ!」

アンの声が聞こえたシンは

アンの方をむき軽く微笑む


アンの取り巻き女子がキャッキャ言っているのが聞こえる


ノリがスローインをもらいに行く

今のシンのプレーで火がついたのだろう

ハーフライン前でユウと一騎打ちになる


ユウを挑発するようにレッグスルーを数回行い、細かいハンドリングで抜き去る


と思われたが、ユウのバックファイヤーがノリのボールを弾く

ボールは先にいたシンの手元へ

シンはそのままスピードをあげつっこむ

ノリが必死にシンについて行く

スリーポイントラインで待ち構えていたユウに股の下から後ろにパスする


シン「決めろよユウ!」


ユウの放ったシュートは高い弧を描きリングに吸い込まれる


盛り上がるC組の応援たち




J組のオフェンス

ノリが右45°でボールをもらう

ユウが腰低くディフェンスする


ノリは左右に大きくクロスオーバーからバックドリブルで右に抜く、ユウが一歩下がったの見るとバックで戻る


不適な笑みを見せるノリ

ストリートの細かいドリブルでユウを翻弄する


しびれを切らしたユウが前に一歩出たのを見計らって、ノリはボールをユウの股の下をくぐらせ抜きゴール下のシンのところへ突っ込む

シンのシュートチェックに、大きく手を伸ばし避けながらシュートをするが、シュートはゴールを外れコウがリバウンドを取り、そのままシュートを決める


シン「また抜きされてやんのww」

ユウ「次は貸して。やりかえす」

シンのおちょくりにムキになるユウ



ユウとノリのマッチアップ、トップで見ているシンがコウに話しかける


シン「あいつらバチバチやってるなw」

コウ「確かにwってかお前うまいな!バスケ部入るの?」

シン「いや、まだわかんねぇ。そっちは?」



コウの返答を聞く最中、ユウが仕掛ける、左右にドリブルで振り、ノリの目の前でドリブルをし挑発する


ノリが挑発にのりユウに詰める、ノリがボールに視線を落とした隙にユウはレッグスルーから背中越しにボールを前方にとばす


シン「ダブドリじゃねぇかよ」

シンが笑う



と、同時にユウがレイアップにいく


その刹那、ノリがユウの腕ををたたき、ユウの身体を突き飛ばす


ユウの身体は空中でバランスを崩し体育館に落ちる


ユウ「オイ!!」

あからさまに故意、危険なプレーに

シンはノリに摑みかかる

シン「そりゃねぇだろ、おめぇどおいうつもりだよ!」


コウがシンを抑える


ノリ「ふんっ…しらねぇよ」

悪びれもしない態度をとるノリ


ユウが起き上がりながらシンを止める

ユウ「いいよシン。しょうがないじゃん、こうでもしないと止められないと思ったんでしょ」

口調は優しいが挑発するユウ


ケイ「ピピーーーー危ないプレーはやめてね!」

ケイ先生の笛でスローインから再開する


またもや45°でボールを持つユウにノリがつく



シンはユウにトップに来るように指示を出すと同時に、ノリにスクリーンをかける


ピックアンドロールでアウトサイドに開いたシンはボールをもらい、自らノリにディフェンスさせる


ノリ「ストリート舐めんなよ」

ぼそっとノリが呟く


(そおいうことか。)

経験者なのに素人のようなプレーの数々、シンが感じていたの違和感の正体を知る


シンはジャブステップで左にフェイクをかけ右に、バックロールターンでノリを抜く

抜くと同時にゴールとノリの間に入り、体勢低くボールを持つ

ノリが振り向き追いかけようとするが、すぐ後ろで小さくなっているシンに覆いかぶさりそうになる


シンはさらに体勢を屈め、カズが乗り切るのを見計らってノリの身体を前に背負い投げする

手を使わずして投げ飛ばされたノリは驚き手を床につけたままシン顔を見上げる


シンはゆっくり微笑みゆっくりとジャンプシュートを決める

シン「バスケなめんなよ」

ノリ「てめ……」

コウ「やめろよ!おまえのファールだ」

ノリが食ってかかろうとするのをコウが止める


シンは髪を結び直しパーカーのチャックを少しおろす

シン「ユウ、このゲーム俺にやらせて」

「…」

ユウは黙ったままチームのメンバーを集めて耳打ちする


その後はシンの独壇場だった


毎回ノリがシンを止めようとするが

シンはファールもさせずにシュートを決め続ける


J組はコウのリバウンドからでしか点を取れず

終わってみれば


18対6でC組の圧勝であった


シン「かなりうまいな!またやろうぜ!」

コウがハイタッチを求めてくる

シンも冷静になり、深く深呼吸しハイタッチに応える




シンは一人体育館を出て中庭のコートに向かう


落ちているボロボロのバレーボールを掴みゴールに向かって走り始める

思い切り踏切リングに直接叩き込む


ユウ「うぉーー!ダンクできんのかよ!やばいな!ってか、ちょっとキレてるの?w」


ユウが笑って話しかける


パーカーを脱ぎながらバスケットボールに持ち変えるシン


シン「…キレてねぇよ」

持ったバスケットボールをユウに渡し

ディフェンスの構えをするシン




ユツ「バスケ部つくろうぜ、シン」


自然に1on1が始まる


シンが答える

シン「俺、団体競技向いてねんだよ」

ユウ「おれもだよ!バスケはいつから?」

シン「小2。たまたま行ったスイミングスクールの体育館でやってて」

ユウ「中学はエース?」

シン「いや…2番手。もしかしたらそれ以下かも」

ユウ「もっとうまいやつもいるのかよ!やっぱ無理かなー」

シン「なにが?」

ユウ「俺らの代で部活作って、行けるとこまでいきたくね?」


シンは黙る


ユウ「おもしろくなかったら、すぐ辞めていいよ。」


シン「…保留だな」

ユウ「なんでだよー!いいじゃんやろうぜ!」


ユウのレイアップをブロックするシン


シン「レベル次第かな」

ユウ「それは保証できないかもw」




3回戦のC組対G組もユウとシンの活躍により圧勝した





決勝

ケイ「すぐに最終戦やるから!C組とH組用意して!」



トモ「シン!頑張ってね!」

トモの応援に微笑むシン



サト「はぁ…はぁ…つ、次の作戦とかは?」

すでに肩で息をしているC組のメンバーがシンに問う


シン「見た目よりやる気あるんだなw作戦か…」

メンバー一人ひとりに目をやり少し黙るシン

シン「とりあえず、楽しもうw負けたって問題ないんだし。でも、勝ったら…今日の晩飯が上手くなるなw」


ユウ「やばwよっしゃ!テンション上げてこうぜ!!」

ユウのテンションが更にあがる








ハヤト「アンちゃんはC組の応援だもんなーw」


H組が集まっている中でハヤトが冷やかす

アン「別にH組をちゃんと応援するよー!」


ケン「イケメン対決かーw!俺が着くのかーw!」

タキ「んなわけないだろ。カツが着いて、ハヤトもカツ寄りでダブルチームに、俺がガードのやつ、後は誰でも」

ケンの軽いボケに冷静に話すタキ



カツ「とりあえず、勝ったらお祝いしような!さっきバスからコンビニ見えたから!」

笑顔のカツの提案にみんなが笑顔で立ち上がる






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