Turn End
回想終了
以上回想終了。
さて、反省点はあっただろうか。俺は見つけられただろうか。
どこも反省すべきようにも思えるし、どこもそうするしかなかったのではないかと思うようでもある。だがそれでは必死に回想した意味がない。だが、一方で森での戦闘など多くの記憶がない回想個所はだいぶ理性を飛ばしているようだ。黒の上塗り札は切り札であるからその影響で思い出しにくくなっているのかもしれない。
現在の黒の裏側対白の表側の戦況は、シャドウが朱雀零式を発動させたところである。ここまで温存してきた魔法カードをこれまでかってぐらい使っている。それでも姉さんは涼しい顔をしている。白の女王とか、そういう呼び名が付きそうな雰囲気だ。二体の赤い妖気を纏った虎と、宙に浮かぶ赤い球。これで善戦できればいいのだが、理性的な俺はこいつをそこまで信用しちゃいない。だって、朱雀? だっけ。朱というのはあくまでも中立的立場にいるんだろう? だったらどうして俺にそこまで強力なカードを与えるのかが分からない。きっと、なにかあるに違いないと思う。それでも使わざるを得ないのは、通常のカードも、魔法で作られたカードも、
俺は負けない。負けてはいけない。これだけは理性僅かな俺と、十分な俺とで共有できる意志だ。
俺は熱くなりつつも、冷静に攻撃する。二頭の赤い虎は交互に隙を突きながら姉さんにとびかかる。姉さんも、空間を変化させて、歪ませて攻撃を交わしていく。
「拓人、どこでこんなもの貰ったの? でもまだ時間は稼ぐわよ」
「くそっ」
姉さんは防戦一方に見えるが、あれはわざとなのだ。最小限のエネルギーで被害を最小に抑え、時間を最大限に稼ぐ。でも、そんなことはさせない。俺は虎を背中から飛びつかせ、魔法カードを投擲する。姉さんは回し蹴りで虎を追い払い、そして魔法カードの襲撃を交わし……切れなかった。威力を発揮し、受けたのは拘束のカード。火の縄が前全身と関節を拘束し、身動きを封じる。二体の虎をその上に飛び乗らせて完全に制圧した。俺は上目遣いしかできない姉さんに近づこうした。
そこで俺は油断した。ようやく姉さんの焦りを見れたことで、俺が優位だと勘違いしてしまった。すぐさま姉さんは反撃するために俺の視界を光らせ、二体の赤虎は悲鳴を上げて左右に散った。俺が目をこすっている間に姉さんだったものは姿を変えており、それは俺が呼び出した虎の十倍以上でかい虎だった。
「
白い虎。白虎。四神の内の一体で西方白虎。日本の虎ノ門の由来もここからきている。まさに西を守り、司る神。
俺は一気に眉間にしわを寄せ、赤虎を呼び寄せた。
「
赤虎は左右に飛び上がり、俺の背後で鎮座していた太陽の一部となった。それからすぐにコロナのような炎の翼が現れ、徐々に不死鳥へと変態していく。その姿が完全になったとき、フェニックスは雄叫びを上げる。
四神、南方朱雀。
南方を守護する神獣で翼を広げた鳳凰として伝承されている。白虎もこれに呼応して天へ唸りを上げて響かせる。
乾いた土煙が、巻き上がって消えた。
先制は白虎だった。口から何か球状のエネルギーを放ったのだ。朱雀は上空へ飛びあがりそれを交わす。今度は朱雀が上空から炎の剣を振り注がせた。白虎は華麗なステップですべて避け、二発波動を撃つ。朱雀は器用に翼を折りたたみ、広げて火炎放射を真下に放ち、宙返りで元の位置へと戻った。地面は燃え続けており、その炎が並の炎でないことがすぐに伺える。
二体は同時に火球と波球を放ち、その中心点でぶつけあった。その威力は凄まじく、俺は立っているだけで精いっぱい。左の耳も聞こえなくなりそうだ。二体はその後も異次元のエネルギーをぶつけあった。朱雀に命中することもあれば、白虎に直撃することもあり、姉さんに対抗できている感覚を俺はつかみ始めていた。
虎が息を見えるようにし始め、朱雀はそれに対して変わらず自らの体を燃やし続けていた。双方睨みを利かせていたとき、空は暗くなった。それはなにかが太陽を遮ったからであって、急に天気が変わったわけではないことを理解する。同時に理解できたのは上空にとてつもない数の翼が忽然と姿を現したということだった。その胴体はがっしりとしており、ずんぐりとした足を持ち、長い尾をなびかせている。二体と一人が空を見上げた瞬間。そのすべてから青い炎が放たれた。
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