第7話 お姉さん、聞いてください
私には好きな人がいる。高校1年の時からずっと。
距離を縮めることもなく1年が経つ。こんな力を借りても……
入学して3ヶ月経った頃、家から最寄り駅近くの商店街。お惣菜を売るお店や店頭で売ってるコロッケが一番人気の精肉店、校則で買い食い禁止の中学の時よく帰り道こっそり買ってみんなで食べた。
昔は文房具屋だった建物、今じゃ何屋だったかも分からないくらいの外観になってしまっている。
日曜の夕暮れ時、個人的に日曜の夕暮れ時は何か切なさを感じる。歩いているとどこからかのアロマの匂いがした。
切なさを覆うように癒された。
若干のコロッケの匂いも感じつつ。あの古い赤だったであろうポストの方から漂う匂いだった。
細い路地の奥にはヒーリングショップの看板が見える。最近になって出来たお店なのか昔からあったお店なのかは分からない。
店に近づくにつれてコロッケの匂いは遠ざかり、純なアロマの匂いだけになっていった。
扉に手をかけて押す。コロンッコロンッとドアベルが鳴り、目の前の受付には年配のお姉さんが座っていた。
「いらっしゃい」
「何か悩みがあるんだね」
とお姉さんは言った。
「な、何でですか?分かるんですか?」
と私は答えた。
「さては恋だね?」
というお姉さんの声にドキッとした。
高校入学した頃、クラスにいたのが彼。
なんか気になる雰囲気で、これが一目惚れというものなのかタイプというものなのか目で追ってしまう。
私のことは分かっているか同じクラだが話すことも特にない。
ただのクラスメイトで私のことを認識しているかは分からない。
話がしてみたい。
微笑みながら話を聞いてくれたお姉さん、女は喋るのがストレス発散というかスッキリする。なんか心モヤモヤが少し晴れた。
「他人(ひと)を好きにさせる御呪い(おまじない)を教えてあげるよ」
とお姉さんが言い、今どき小学生でも信じないような御呪いを教えてくれた。
「男から女へと女から男へでおまじないが違うんだけどね……」
そんな変な御呪いでも、少しでももしかしたら良いことがあればと思ってしまうのが乙女心というか。
「効果はひと月くらいってところかな、持続させたかったら相手に向かって手を振りな。振り方は外側に大きく」
とお姉さんは思い出すように教えてくれた。
昔、台湾に行った時に露店で聞いた御呪いらしい。
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