第5話 確信

サッカー部に臨時入部している。


中学からの友達で副キャプテンをしている和磨からの直々の誘いである。


うちのサッカー部は弱小中の弱小校でインターハイの予選1回戦で6−1で負けるほどである。


なぜか毎年奇跡的に1点取るというジンクスはある。


そんな部に入る人もいない。練習もままならない。


ただの練習の人数合わせで頼まれて入部している。サッカー未経験、運動も得意ではない。


弱小でも支えるマネージャーがいる。1つ後輩の女の子である。


ドリンクの用意、休憩に入るとタオルを配る。声出しなど懸命に務めている。


練習中、体力もあるわけもない僕は一旦、離脱しベンチに戻る。


その僕にも


「お疲れ様です」


とタオルとドリンクを渡してくれる。


「ありがとう。なんでマネージャーやってるの?うちの学校って強くもないしさ」


和磨には悪いが本音が出て言ってしまった。 


穏やかな表情で彼女は言った


「みんな楽しくやってるじゃないですか、楽しくってふざけてるわけじゃなく、一生懸命に。それを見てて私も楽しいんです」


僕はなんてこと聞いてるんだと反省した。


一緒にやっていて初心者でも楽しい、楽しくサッカーが出来る部なのは自分でも感じていた。


「特に和磨先輩なんてサッカーが好きってのが滲み出てるじゃないですか、見てて笑っちゃいます」


と彼女はニヤけてた。 可愛らしく思えた。試してみよう……。


特に呪いをやった時には見た目に変化もなく、分からない。


これでかかれば、本物だ。

 


 


 次に部活に参加した日のこと、練習終わりにあのマネージャーに部室裏に呼び出された。


「柊先輩のことが好きです」告白された。


「ありがとう、でもごめんね」


「ごめんね」には2つの意味を込め断った。1つは付き合えないこと。


もう1つは、これがあの呪いのせいだと確信した罪悪感からだ。


彼女は和磨のことが好きだ。


話をしてすぐに気づいていた、それなのにそんな純粋な思いを失くしてしまった。

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