第218話 ■千織の転生 (タイ編 その21)
■千織の転生 (タイ編 その21)
陽子は川の冷たい水で体温が下がったこともあり、体調も徐々に回復していた。
「こうして休んでばかりも、いられないわね!」
そう言いながら、スッと立ち上がったところに、プスッ、プスッ っと今しがたまで横になっていた地面に穴が開く。
そう、ジュディがスコープ付ライフルで、陽子を狙撃したのだ。
陽子は咄嗟に近くの茂みの中に飛び込み身を隠す。
「ふーーーっ、 危ない、危ない。 敵ながら、なかなかやるわね」
陽子は霊視により、ジュディが狙撃してきた場所を探るが、ジュディは狙撃に失敗したと見るや直ぐに別の場所へ移動していた。
流石にスティーブとは格が違う。
「とにかく此処にいたらこっちが不利ね」
陽子もジュディと同じように、危険な領域から早く離れた方が良いと思っているが、移動しようとした瞬間が一番危ないのも十分承知している。
お互いに僅かな動きで相手の位置を知ろうとしているのだ。
そんな探りあいの中、ジュディは無線で、ター○ネーターに応援を求める。
「ジェイソン。 ターゲットの片方を見つけたわ。 早く来てちょうだい」
「OK。 ジュディ。 20分で着く」
「15分で来て! それが限界よ」
陽子が放つ強い殺気は、ジュディの精神を徐々に弱らせていた。
ジュディは、常に背後に人の気配を感じているのだが、動く事が出来ないでいる。
これは長年の経験から来ているものだ。
もし、気配の恐怖に負けて動いた途端、相手に発見される。
ジュディの全身から冷や汗がしたたり落ちる。
まるで忍者同士の戦いのようである。
カサッ
不意にジュディの背後の木の葉が風も無いのに小さな音を立てた。
パシュッ
パシュッ
パシュッ
ジュディは後ろ向きに跳躍しながら、サイレンサーを装着した拳銃で音がした方向に3発の銃弾を打ち込んだ。
グッ
うめき声にもならない小さな声が一瞬聞こえ、続けてドサッという人が倒れたような音が辺りの静寂を破った。
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