第217話 ■千織の転生 (タイ編 その20)
■千織の転生 (タイ編 その20)
「ここまで来ればもういいね」
ミキは陽子のいる場所から1kmくらい離れた場所まで来ると、自ら封印を解き放った。
と同時に、いっきに高度500mくらいまで上昇すると千織の気配を探査する。
「うん間違いない。 あっちの方角だね」
千織のロボットの体はジュディによって破壊されてしまっていたが、千織はもともと霊体であり、封印を解けば復活の神であるミキは、それを明確に捉えることが出来るのだ。
いったん目標が定まれば、あとは速度を増して行くだけだ。
ドォーーン
音の壁を破り、すぐに音速の域に達する。 マッハ1、2、3・・
「おっと、いけない! 行き過ぎちゃったよ」
上空で大きく旋回すると、眼下に診療所が小さく見えてきた。
「あそこか!」
ミキは一直線に診療所めがけて降下して行く。
スタッ
診療所の前に着地すると、建物の前は大勢の人たちで溢れていた。
「ちょっ、ごめん。 そこ通してくれる」
ミキは人だかりを掻き分け、診療所の中に足を踏み入れた。
ミキは診察室に入ると直ぐ、ソンティが抱きかかえている千織を目にした。
「千織!!」
ソンティは放心状態なのか目が虚ろだった。
「いったい何があったの?」
千織の傍に駆け寄り、弾が貫通して機能が停止している体を見ながらソンティに訊く。
「し、知らない女が入ってきて、いきなり千織を撃ったんだ。 チクショーッ!」
ソンティは、何度も拳で床を殴りつける。
『ター○ネーター以外にも殺し屋が居たって事か・・ちょっと油断しすぎてたよ』
ソンティが少し落ち着きを取戻し、ミキに問いかける。
「あなたは、千織の知り合いですか?」
「えぇ、知り合いです。 もう分かってると思うけど、その娘は人間じゃないの」
「ええ、出会った頃から、うっすらと分かっていました」
「心配しなくても大丈夫よ。 その娘を作った人なら、きっと直してくれるから」
「本当ですか・・よかった。 その人は近くにいるのですか?」
「いいえ。 今はアメリカに居ます」
「アメリカ・・では千織は、いったいどうすればいいのでしょう?」
「あたしの方で、何かいい方法を考えます。 それより、警察が来るとまずいわ。 周りの人たちに心配しないよう伝えてください」
「わかりました」
***
**
*
『WARNING! SYSTEM ERROR!』
警告音とともに、パソコン画面の警告表示が赤く点滅する。
「んっ?」
秀一は飲んでいたエスプレッソコーヒーのカップを机に置き、キーボードに手を添えた。
カタ カタ カタ・・・
「う~む。 これは非常事態だな!」
ピッ、ピッ、ピッ
秀一はすぐさま携帯のボタンを押し、一番先頭に登録されている電話番号を呼び出した。
「もしもし。 あっ、おれだ。 秀一だ。 すまんが、鋭二に頼みがあるんだ」
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