第196話 ◆南の神様(その4)
◆南の神様(その4)
人っ子一人いない、巨大なテーマパーク・・・
3日後、ここは50万の復活前の魂で溢れる事になるが、本物の数十倍の広さがあるので何とかなるだろう。
問題は今日中に魂の清浄化を自動判別する装置が出来るかだ。
でもあの南の神なら、いとも簡単に創ってしまうだろう。
見返り報酬は、一石二鳥だ。
なにしろ、地獄の復活前魂50万人分を一旦、南の神の神殿に集めれば済んでしまうのだ。
「お姉さん。 試作機ができたわよ」
不意に声がした方に振り向くと、南の神が学生カバンほどの大きさの機械を手に持って立っていた。
「えっ? も、もう・・ まだそんなに時間が経っていないのに・・・」
「うふふ。 頭の中のイメージを力で形にするだけだからね」
「そんなんで出来ちゃうんだ?」
「あら、だから神の力は偉大なんじゃないの」
「・・・」
ミキは何かを言おうと思うのだが、言葉にならない。
「早速、試運転したいんだけど。 どうする?」
「あっ、それじゃ西の神殿に来てもらっていいかしら?」
「OKよ」
「それじゃっ、レッツゴー!」
二人の女神は、西の神殿に瞬間移動する。
★
ここは西の神殿の一室。
この部屋には、予め地獄から選んで持ってきた魂が10体ほど保管してあるのだ。
もちろん浄化期間が過ぎていないものが半分ほどある。
「じゃあ早速やってみましょう!」
南の神は、ちょっと怪しげな装置をテーブルの上に置き、蓄音機のラッパのような部品をその装置に取り付けた。
「いくわよ! お姉さんは、そこから順番にゆっくり魂を入れていってくれる」
「了解ッス」
ミキはラッパのような格好をした部品へ魂を一つ入れる。
魂はラッパの中に吸い込まれていくが、少し抵抗をしているようにも見えた。
ズボッ
掃除機に大きなゴミが吸い込まれたような音がして魂が見えなくなる。
その途端に「ブッブーーッ」と言う音と共に装置の赤いランプが点滅した。
「残念! この子は不合格だぁ」
南の神は不合格なのに嬉しそうな声でしゃべる。
「はい次っ! 入れて!」
「は、はい!」
ミキは二つ目の魂をラッパから押し込む。
ズボッ
ピンポ~ン
今度は緑色のランプが点滅する。
「は~い。 アナタは合格よ~ん♪」
こうして10体の魂は、合格、不合格に振り分けられた。
「だけど本当に正しく振り分けられているの?」
「うふふ。 あたし達は神様なのよ! 間違えるハズなんかあるわけないじゃ無いの」
「そ、それならいいんだけど・・・」
ミキは少し不安げに義理の妹でもある、南の神様の幼い顔を見詰めるのあった。
次回、「南の神様(その5)」へ続く
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