第197話 ◆南の神様(その5)

◆南の神様(その5)


試作機の実験に成功した南の神は、魂の浄化自動判別装置を量産した。

ミキ配下の西の神々は、その装置を地獄に設置し、合格した魂を南の神殿に集めるためのゲート(通り道)も早々と造りあげた。

ピンポ~ン

ブッブーーッ

ピンポ~ン

ブッブーーッ

地獄に奇妙なリズムが流れる。


そして南の神殿では、合格しゲートを通ってきた魂に復活の実の果汁が与えられる。

復活の果汁を与えられた魂は、一旦死ぬ前の人間の姿に戻り、南の神殿のアトラクションで遊ぶことが出来るのだ。

西の神々はカウンターが50万人を超えたのを見計らって、最初に南の神殿に来た者から順次、西の神殿の大広間に移動させて行く。

魂はここの広間で、再び復活の実を与えられ、それぞれが生まれ変わるべき人間や動物になって、この世に生まれ変わるのだ。


地獄の大王と南の神との約束を同時に果たしたミキは、ホッと胸を撫で下ろした。

「そうだ。 やっぱ、カイ君にもお礼を言っておいた方がいいよね」

パッ

ミキは東の神殿へ瞬間移動する。


「おっ! そろそろ来るころだと思ってたよ」

突然目の前に現れたミキにも、さして驚かずに東の神様は微笑む。

「なんでもお見通しなんだ」

「ハハハ。 そりゃ一応神様やってるからね」

今日は、東の神様もいつもより機嫌がいい。


「妹さんのお陰で、地獄の大王さまとの約束も無事に果たせました。 これもみんなカイ君のお陰です。 ありがとうございました」

ミキは珍しく、深々とお辞儀をしながらお礼を述べた。

「うむ。 でも、僕が助けなくっても、何とかなったハズなんだけどね」

「なんですか? それ?」

ミキは下げていた頭をガバッと起こして首を傾げる。


「だって、君も一応神様なんだからさ。 どんな形であれ、願いは必ず叶うんだよ」

「そ、そうなんッスか?」

「そうさ」

「マジで?」

「Yes♪」

「そういう重要なことは、もっと先に教えてくださいって!」

「だって、君も神様じゃないか」

「新米だから、わかりませんって! だって、あたしケロベロスの糞にまでなったんですよ!!」

「あぁ、知ってるよ。 神様でよかったじゃない。 人間だったら本当に糞のままだったよ」

それって、もし本当になってたら嫌だろうなとミキは思った。


さてさて、ハッチャカメッチャカの神様編は、とりあえずここまでで終了です。



次回、「千織の転生(その1 タイ編)」へ続く

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