第195話 ◆南の神様(その3)

◆南の神様(その3)


「ふふっ じゃあ、やってくれるのね?」

「あっ、いや・・・ 内容しだいってとこですが・・」

ミキは少々弱気になる。


「それじゃ、お姉さん。 わたしに付いて来て」

そう言うと南の神は、ボートの船首からふわりと舞い上がった。

「こっちよ!」

ミキも後を追う。


アトラクションの中を飛んでいると、まるでピーター○ンになったかのようだ。

『こりゃー、結構楽しいねぇ』

やがて最初にボートに乗り込んだ船着場が見えて来た。

南の神は、あたりまえのように出口から出て行く。

神殿から出ると南の神は、ぐんぐん高度を上げて行く。

もの凄い速さだ。


「ちょ、ちょっと、待って! 追いつけないよー」

ミキとは倍以上の速度差があり、南の神はあっと言う間に豆粒のような大きさになってしまった。

『ちぇっ、あいつは、スーパーサ○ヤ人か?』

ミキは、どのくらい高くまで上昇したかを確認するため、地上の方をちらっと見る。

すると神殿だと思ったあのアトラクション以外にも、沢山のアトラクションがコピーされてあちこちに点在していた。

『ここは・・・ あたし、ひょっとして浦安にいる?』

そう錯覚しそうなくらい、見事にコピーされている。


『いったいなんなの?』そう思った途端!

ほんの少しの間、地上を見てただけだったが。


ビュンッ

目の前を黒い塊が、かすめ飛ぶ。

ひゃーーーっ

南の神と超ニアミス状態だった。

「もぉ、あっぶないなぁ~。 気をつけてよ!」

ミキは年下の女神に怒られる。


「ご、ごめん! まさかそこでホバリングしてるとは思わなかったから・・」

「お姉さん。 ここから下を見て、感想を一言いってみて!」

南の神は、下のアトラクションを指差してミキに問う。

「う~ん。 だれも居ないアトラクションは寂しいと思う」

「そう! そうなのよ! さすがにお姉さんだわ」

南の神の顔が、パァ~と明るくなる。


『か、かわいい』

ミキは胸がキュウンとなる。

見た目が10歳くらいとはいえ、女神なのだからカワイイのは当然なのかも知れないが、最初見た時と随分印象が違って見える。

「お姉さんの希望を叶える見返り条件は、あのテーマパークを賑やかにするのに、手を貸して欲しいという事よ!」

「へっ?」

ミキは、南の神の要求が直ぐに理解できず、目をパチパチさせた。


次回、「南の神様(その4)」へ続く

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