第194話 ◆南の神様(その2)

◆南の神様(その2)


『ふふっ 来た来た。 お義姉さまって、ほんと面白そう♪』

そう言いながら微笑む女神は、まだ10歳くらいの女の子に見える。

『ここに来た目的をすっかり忘れているようだから、ちょっと驚かしちゃおうっと』

女神が指先をくるくるっと回すとミキが乗ったボートの周りの水流が突然激しくなる。

「ごわっ! 急に流れが激しくなったよ~。 いったいどうなってるんだ!」

ミキは急流に乗ってスピードを上げるボートの上で慌てふためく。


『ふふっ  超面白いーー♪』

でぇーーーっ

目の前の水路が大きくカーブしているのが目に入り、ミキは叫び声を上げる。

『ダメだ。 ぶつかるぅーーー!!』

ミキは手摺を握り、ぎゅっと目を瞑った。

「・・・」

目を瞑ってから何秒かしても、何かにぶつかった衝撃などは感じられない。


『ありっ?』

恐る恐る、そぉっと目を開けてみるとボートの船首部分に女の子が立っていてミキの事を見ている。

「あ、あなたは誰?」

「ふふっ お姉さん、ここ気に入った?」

「も、もしかしたら・・・あなたが南の神様?」

「ピンポ~ン。 おお当たりぃー」

「あっと。 それじゃ早速お願いなんですけど」

ミキは素早く、東の神様にもらった書類を差し出す。


「なぁにこれ?」

「あなたのお兄さんから渡された書類です。 おそらく、あたしのお願いしたい用件について書いてあるはずなんです。 是非読んでください」

ミキは必死である。

「いやよ」

「そ、そんなぁ・・・」

「だって面倒くさそうなんだもの」

「そんな事を言わないで。 お願いします!」

ミキは拝み倒しにかかる。


「だったら、ひとつ条件があるわ」

「あ、あたしに出来ることなら何でもしますから」

「そぉ? 絶対に後悔しないわね?」

ドキーーッ

『もぉ・・・この家族は、っとぉにぃーーっ』

「嫌なら別にいいのよ。 ここでもう少し遊んで帰ったらいいわ」

「あぅ・・・ で、何をすればいいんでしょうか?」

「ふふっ やってくれるのね?」

「あっ、いや・・・ 内容しだいって事ですが・・」


次回、「南の神様(その3)」へ続く

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