第59話 ◆謎の美少女

◆謎の美少女


補足:もう1話飛ばして掲載のため、飛ばした話しのあらすじです。

   ミキとエミは、富士〇ハイランドでスケートを楽しみました。

  (超簡単でごめんなさい。 風邪を引いた理由がこれデス)



クシュン、クシュン

ハーックション

ミキのダイナミックなクシャミが辺りに響き渡る。


「う゛~~ やっぱり風邪ひいちゃったかなぁ・・」

「やだ、お姉ちゃんも?」

「うん? エミも、ひょっとしたら風邪?」

「そうなの。 わたしは、熱っぽくて喉が痛いの」

そう答えたエミの声は、聞いたこともないほどのガラガラ声だ。


「ほんとだぁ・・その声ひどいね。 もしかして、歌えないんじゃないの?」

「う~ん。 それじゃあ、今日は仕方ないからマイクOFFかなぁ」

エミは、さっさと諦めて口パクのつもりみたいだが。

「それは無理だよ。 今日は公会堂の第一ホールでしょ。 生だよ、生歌! あ~ もう超絶ピンチだよ」

「え~、お姉ちゃん。 それじゃ、どうすればいいの?」

エミが、ウルウルした目で訴えるようにミキを見る。


「ごめん、ごめん。 そうだ、わたしにイイ考えがあるわ」

「うっ? なんだか嫌な予感がするぅ」

「まあ、安心してお姉ちゃんにど~んと任せなさい」

「・・・」

やれやれ、この間のスケートリンクで二人ともすっかり風邪をひいてしまったようである。

ピッピッピッ

ミキは携帯で早速誰かに電話をかけている。


「もしもし。 わたし」

『ミキ・・ こんな時間にどうしたの?』

「うん、ちょっとお願いがあるんだけど」

『珍しいね。 お願いってなんだい?』

「エミとわたし、風邪引いたみたいでお医者さんに行きたいんだけど、夕方から仕事があって今からじゃ時間が無いの。 だからね・・」

『わかった。 大沢病院に連絡しておくから裏の関係者専用門から入って、ミキに渡したセキュリティカードを通して。 すぐに診てもらえるように頼んでおくよ』

「ありがとう、鋭二さん。 助かったわ」

『ははは。 大切な奥さんの頼みだからね』

ミキは鋭二に電話して、裏口診察?をお願いしたのだった。


「エミ。 これから大沢病院に寄って、薬をもらってから公会堂に行くよ。 待たないでいいから開演時間には、充分間に合うわよ」

「病院って、もしかしたらお義兄さんが入院してたところ?」

「そうだよ。 裏口から入れるから、騒ぎにならないっしょ!」

「お姉ちゃんにしては、ナイス・アイデア」

「なんですって!」

「キャー。 病院に行く前に殺されるぅ」

にぎやかな二人である。

・・・

・・

さて所は変わって、ここは大沢病院。

「え~と。 確か関係者の通用口は・・」

「あっ、お姉ちゃん。 あっちじゃない? ほらっ」

「そうそう、あそこだ。 前に来た時は、運転手さんが横付けしてくれたから・・・」

エミがゆび指す方を確認し、歩きながらも言い訳をしているミキである。


さて、入口のセキュリティ・ボックスに、持ってきたIDカードをかざすと小さな電子音が鳴ると同時に扉が開く。

ドアの開閉に連動して天井の監視カメラが動き出す。 どうやら入館者を追尾して記録を残しているようだ。


「病院なのに、セキュリティがすごい厳重だね」

「うん。 こっち側から入ると、研究棟を通るからチェックが厳しいんだ」

「へ~ぇ、そうなんだ。 どんな研究してるのかな?」

「良く知らない。 それより、あそこの受付で聞けばいいのかな?」

ミキは、通路の先にある一つだけある小さな窓に向かって歩いていく。


窓の横には、入口にあったセキュリティ・ボックスと同じものが付いた頑丈そうなドアも見えている。

窓の前まで来て部屋の中を覗いてみたが、人の気配がまったく無い。


「どうしよう・・・ そうだ」

ミキは、ドアのセキュリティ・ボックスに鋭二から貰っていたIDカードを、ダメ元でかざしてみる。

するとこのドアも、入口と同じ電子音と共にロックが解除された。 よほど権限が高いIDカードなのだろう。

「エミ。 ほら、開いたよ!」

そう言いながらエミの方を振り返ったミキの顔は、なんだかとても得意げだった。


エミは、少々呆れ顔で見ていたが、すぐに仕事のことを思い出す。

「ねえ、早く診察受けて薬をもらわないと、開演時間に遅れるよ」

「ねぇエミ。 この部屋を通って診察室へ行けると思う?」

相変わらずミキは、エミの話しをあまり聞いていない。


カチャッ

ギィ~

「うわっ、このドアすっごく重い」

「ちょっ、お姉ちゃん。 入っちゃっていいの?」

「だって、わたしのIDカードで開いたって事は、この部屋に入ってもいいってことでしょ!」

「・・・わたし、ノーコメント。 ただ面倒だけには巻き込まないでよね、お姉ちゃん」

エミの言葉も部屋の中を夢中で探索しているミキには、まったく聞こえていないようである。

その間にもミキは部屋の奥に、どんどん進んで行く。


「まってよ、お姉ちゃん。 一人にしないでぇ」

エミが追いかけて部屋の中に入っていくと、部屋の中央で立ち尽くしているミキの背中が目に入る。

「お姉ちゃん・・・そこでなに・・」

ミキと並んだエミがそこに見たものは、さまざまな機械が付いたベッドに寝かされている、天使のような少女だった。


「綺麗・・・」

「こ、この娘・・死んでいるのかな?」

「えっ、 どうして?」

「だって、ピクリとも動かないし、呼吸もしてないみたいだよ」

エミが、その娘の胸に耳をあて、目を大きく見開いた。

「やっぱり、心臓の音がしていないよ!」

それを聞いたミキが少しずつ後ずさりして、入ってきたドアの方を振り返えると、目の前に白衣を着た背の高い男が立っていた。


キャーーー

思いがけぬ男の出現に、ミキはパニックを起こし大きな悲鳴をあげる。

「ミキさん。 ここで何をしているの?」

「あなた・・誰? 何でわたしの名前を知っているんですか?」

「やだなぁ・・覚えてないんですか?」


その男の顔をじ~っと穴の開くほど見つめてから、ハッとした顔をしてミキが言った。

「もしかしたら・・・秀一お義兄さん・・・ですか」

男はにっこり微笑みながら言った。

「大正解」




さて、いよいよ美少女ロボット編の始まりです。 内容もいろいろ盛りだくさんの予定ですよ。


次回、「ブルー・アイ」へ続く

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