第14話 ◆ウソと罰
◆ウソと罰
「おー、これは! 美樹、扁桃腺が凄い腫れてるゾ!。 熱は?」
「う゛~。 さっき計ったら、まだ38度もあ゛った」
「それじゃ、この抗生物質と解熱剤を飲んでおきなさい。 たぶん2日くらいでよくなると思うよ」
「うん、ありがとう。 お父さん」
「それじゃ、ゆっくり休みなさい」
親が医者だと病気の時、わざわざ病院に行かなくてもよくって、とっても便利だ。
それはさておき、この2日間が勝負だ・・・何か上手い方法はないものかな。
この声も明日には元に戻ってしまうかもしれない。
確かオーディションは6月10日だって言ってたよな。
まだ4日も先だし! はぁ~
わたしは、どうしてもオーディションを受けたくなくって、一晩かけて小さなウソを考えたんだ。
そして思い切って、みどりさんに電話をかけた。
「あっ、みどり? うん、あのね。 昨日お父さんに診てもらったんだけど・・・その、く、薬の効果が不安定なのかも知れないって。 だからね、急に元に戻るような事は無いけどオーディションは、やっぱり無理だと思う。 そう・・・残念だけど。 じゃぁ、またね」
みどりさんって、勘が鋭いから電話中、ばれるんじゃないかって、もうドキドキしっぱなしだった。
次の日、熱は何とか下がって、遅い朝食を食べていると・・・
ピンポ~ン
ふいに玄関のチャイムが鳴った。
誰だろう? 平日のこんな時間に??
「は~い」
わたしが急いでパジャマの上にカーディガンを羽織り玄関のドアを開けると、そこには恐い顔をしたみどりさんが腕を組んで立っていた。
「げっ、み、みどり・・さん。 どどど、どうしたの?」
想わぬ人の不意の訪問に激しく動揺する。
「・・・・」
みどりさんは、無言のまま睨んでいる。
「あ、あの~学校は?」
「ちょっと、中に入れていただいて良いかしら?」
「あっ、ごめん。 どーぞ上がってください」
ドキドキ・・・
心臓は、もうバクバクだ! もしかしてバレた? でもいったいどーして?
「あ、あの・・・・ど、どうしたの?」
上目使いで恐る恐る聞いてみる
バンッ
「ちょっと、ミキ。 どうしてあんなウソをついたの?」
みどりさんは、テーブルを叩くといきなり本題に入った。
うわっ、やっぱりバレてた!! でもどうしてぇーーーー
「そ、それは。 わたし・・・どうしてもオーディションを受けたくなくって。 でも、みどりが凄くやる気満々だったから・・・・」
「そんなに嫌なら、ちゃんと言ってくれればよかったのに」
「でも、どうしてウソだってわかったの?」
「アハハ、あの後ミキのお父さんから扁桃腺が腫れてるから、しばらく家で休ませるって電話がかかってきたのよ」
はぅ~。 しまった。そこまで気が付かなかったよ~。
お父さんも、そこまで連絡するなんて!! まったく余計なことをしてくれたもんだ。
「そんなワケだから、6月10日の件は、キャンセルしておいたわよ」
「えっ、オーディション受けなくていいの?」
「ええ。 その代わりに・・・」
「その代わりに?」
ゴクッ
「ふふっ、ごにょごにょごにょ」
「ええっーーーーー!」
次回、「そしてアイドル」に続く
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