第6話

数日後、彼女に会った。

少し痩せていた。

「あの時は他に好きな人ができたの。だから別れたの。ごめんなさい」

彼女の告白はやはり突然で衝撃的だった。

彼女はそれから、僕と付き合いながらもその相手とも関係を持っていたこと、僕への気持ちはもうほぼ無かったことを淡々と話した。

僕はただ冷静に、ただ虚無的な思考回路に陥りそうになる自分と、

(やっぱりそうだったのか)

という諦観に似た緩やかな現状の寛容に浸っていた。

彼女への''愛''というものが急激に冷めゆくのを感じ、少し切ないような感情が湧いた。

僕の心はもうこの半年で冷えきってしまっていたようだ。

今となれば、サインはそこかしこにあったように思えた。

僕が買ってあげた覚えのないネックレスをつけ始めたのはいつからだったか。

よく考えればコーヒーを飲み始めたのは交際中だったような気がする。

あの苦い味は彼女のものではなかったのか。

そう思うと彼女と知り合ってからの自分が全て無意味であったように思えた。

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