中枢文書館へ
予測した中枢図書文書館ステーションの行き先まで数日かかる。そこから先は周りの船からの情報やこれまでの進路から推察して追いかけていくことになる。どんなに早く見つけても、今向かっている予測地点からさらに二日はかかる。
中枢ステーションには、ジュール号の大きさでも停泊できるが、そのまま停泊はせず、近くのステーションで物資の補給や情報交換をすることにしている。中枢文書館へ行くのは、数人だけの個人艇である。目立たないようにというのと、例えば、何かあった場合に漂流していて助かったふうを装うなどの小芝居を打ちやすいからだ。
個人艇には、ジェレミーと、情報収集や分析に長けたジョシュとツキシロ、それと副長のマリィが乗り込む事になった。
ツキシロはリコの部下で、小柄な男性だ。リコが女性風になっていたのは、このツキシロと女性パートナーに合わせていたからだ。ほかのメンバーには近い声が出せなかったのだと、リコとツキシロは言った。
補給ステーションの手前で、個人艇はジュール号から離れた。メインモニターに極力表示類を出さずに、目視範囲を確保する。目視では見えているので、中枢とはいえ、関係者や高官以外の門前払いはしないことが分かっている。館内に関しては、物理書籍が他館より異様に少ないらしい。気にしながら館内をくまなく捜索したりしない限り、物理媒体以外を主としている図書館ステーションにか見えないだろう、と情報をくれた『仲間』は言っていた。
移動図書館のナンバリングがされており、番号が0番だということだけが、少し特別感がするが、中枢だというのは館内の総合受付に掲げられた館名を見るまで分からなかったという。近づいてくるステーションの姿にも、特別な感じはない。ふたまわりほど大きいと言うだけで、宙域によっては珍しくないサイズと外装だ。
ステーションに取り付くまでの数時間。三人と一頭は話し合った。船内の生活で慣れてきたとはいえ、ジロウ組だけでは問題があるだろうとマリィが付いてきている。だが、マリィは調べものが得意なわけでも、資料を読み込むのが早いわけでもない。なので、必要がなければ側で待機するだけに決めた。ジェレミーとツキシロで検索と資料を読み、過去のジロウの情報について適宜ジョシュに尋ねるということにした。
探すのは、ジロウに関してと、やはりエクセリオンについてだ。
中枢文書館は、外装だけでなく、マリィいわく内装もやはり、他の図書館ステーションと変わらないものだった。検索機械の検索範囲を見ると、多少は、上位施設らしかったが、これだけで中枢だとは、図書館員だとか情報を扱う専門職になるための教育を受けないとわからないだろう。ツキシロは多少資料を扱う教育を受けているが、現代のジロウでは十分でも、外に出れば基礎の基礎と小規模施設向けに過ぎない。
ジェレミーとツキシロはマリィに教えられながら検索を進めていく。
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