siaasiuu-at(図書館・資料室)

 休みながら、陽がかなり高くなるまで歩き、地球型人間一人とむぃ二体は、出発したのとは別の扉の前にたどり着いた。ブールたちの家にしている通路とつながっているらしいが、経路も何もわからない上、途中に大型の生物が住み着いていて通りたくないのだとブールは説明した。


 扉は壊れていて、無理やりこじ開けられるのはありがたい。しかし、猛烈に重い。昼寝をして暑い日差しをやりすごし、それから数ミリずつこじ開ける作業を開始した。ドールがぎりぎり通ることのできる幅まで開けるのに、数時間かかった。中に入ると、また休憩だ。


 ドールは肩で息をし、ブールとネールもへふ、はふ、と息をついていた。それを落ち着けて、水筒の水を飲み、一行は進んだ。


 この避難シェルターは、巨大なトンネルに、小さなトンネルの枝を伸ばしたような、樹木様の姿をしているようだった。「家」の通路のトンネルは枝部分であり、太い枝までさしかかると、あまりの広さに、ドールは驚嘆した。小型の宇宙船なら余裕で入る広さが、先が見えないほどの距離、ただ続いている。



 距離が長いので、ブールたちはいつものもぞもぞした動きではなく、ぽて、ぽて、とドールの歩幅くらいの間隔で跳ねてすすむ。ドールは時折立ち止まっては周りを見渡し、案内板や、何かの箱、小さな運搬用機械を見つけては近づいた。ブールたちは何も言わず、それについていく。


 休憩をはさみながら数時間歩き、彼らは、少し広めの枝トンネルに入った。行き止まりに小さな扉がある。


The Central Library<中央図書館>


 扉の横には、色々な種類の文字が書かれた大きなプレートがかかげられていたが、だれも理解できなかった。ドールは「Library」を読めたが、意味を思い出せなかった。それでも、Libraryという場所で本をたくさん手に入れたという記憶を思い出すことができたので、本がたくさんある場所なのだろうということをようやく理解できたのであった。


 小さな扉は、こじ開けられそうになかった。鍵を壊せないかと、ドールはつぶやいた。誰も、方法を知らなかった。彼らはまず、扉の周りを観察した。扉と、プレートとのそばに、何か平たくて黒い、プレートより小さいが同じくらい厚みのあるものがくっついていた。それを覗き込んだドールは、突然鳴ったぽーん、という大きな電子音に驚いて、腰を抜かした。


 どういうわけか、扉が開いていた、難しいことは考えず、中に入っていく。



 予想通り、本がたくさんある場所だ。大きな紙が貼ってあり、0から9までの番号と、何か文字がいくつか書かれている。ドールが見ていると、ネールがブールをつっついて何か言った。


「それ ほんの ならべかた あつめかた なんだって」


 分類法か、とドールは大きくうなずいた。分類の紙の横に案内図があり、ネールがそこへくっついて、ある場所を指し示してもいもいと鳴いた。見たところ、かなり奥のほうだ。


「まずは このジロウのこと だね」


 そこには「惑星資料室」と書かれていた。

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