第05.5章 悪霊さんいらっしゃい第3回

「悪霊さんいらっしゃい!夏休み特別企画デスデスー」


 マイナマイナが久々の捕霊網(見た目は捕虫網)を持って登場した。台詞だけだとやる気があるのだが、言い方がいつも通りなのでどちらに合わせて良いのか判断がつかない為、壱人もイッQも困惑しながらまばらな拍手を送るしか出来ない。

(作者注)作中では夏休みでも何でもありません。


「今日は河原で黒い人魂を捕まえてみましょうデスデス」


 そう言って捕霊網を壱人とイッQに渡す。しかし渡された方は二人して顔を見合わせ、どうしたものかと迷っていると、相変わらずセリフだけやる気のある状態でマイナマイナがスタートの合図をした。


「それじゃあ、黒い人魂探し開始デスデスよー」


 首をかしげながらも仕方なしに河原をうろつくと、イッQは少し離れた場所に、黒い人魂が草スレスレに飛んでいるのを見つけた。


「こんなにあっさり!?」


 驚きながらも追いかける。すると後ろからマイナマイナのアドバイスが聞こえた。


「黒い人魂を網に入れた後に、クルリと一回転させると網から出る事が出来なくなるので、確実に捕まえられますデスデスよ」


 普通の虫の捕り方と同じなんだと思いながら黒い人魂を追っていくと、移動していた黒い人魂が、ある空中に留まり浮遊している。好機だと思い気付かれないように近付き網を振り下ろした。

 が、寸でのところで逃げられ、その後は飛んで逃げる人魂を追いかけて、河原を駆け回る羽目になり、なんとか捕まえた時には、息が上がり、ゼーハーゼーハーと肩で息をしていた。

 そんな思いをして捕まえた黒い人魂は、網ごとマイナマイナに渡され、そして「移動しますデスデス」と言って、前回のセット~花で飾られているテーブルと、その周りに一人掛けソファが3つ置かれている不思議な空間に連れて行かれた。


 壱人とイッQはソファへ座り、やっといつものコーナーに戻るのかと思ったが、マイナマイナは黒い人魂を取り出してテーブルの上に置くと、また何やら変わった事をしだした。


「ではこの黒い人魂を光のサークルに入れ、しばらく待つのデスデスが、今日は既に人の形に変わっている霊を用意してますデスデス」


 そう言ってテーブルの人魂を片付け、人の形をした悪霊を出現させたのだ。


「それ、もう別人なんじゃ!?」


 二人は驚きを隠しきれなかったが、マイナマイナは構わず進行していく。悪霊をソファに座らせ、またカメラに向かって話しかけた。


「悪霊さんが怖い話を聞かせてくれるデスデスよ。みんな静かに聞こうデスデスね」


 イッQは「今回はいろんな番組が混じってるな」と思ったが、口に出しても仕方が無いので黙っていた。

 その後、照明が暗くなり、悪霊の所にだけ青いスポットライトが当たる。悪霊は遠くを見るような目で静かにしゃべりだした。


あるところに***********しか作った事*****ない男が*****ました。

しかし*****は***ネッ********。その男は***********を作る事に******

*****と*****では***遊び******も*****層も***違*****

どんなも*****作って良いのか*****想像*****ませんでした。

*****協力*****が***意見***参考*********分らな************

だから*********思***付***アイディア***作らせ***これ***ダメ***あ***もダメ***何***違う******いつま*****決ま******ませんで***

周り***も******権が******あるので***諦めて*******ません。

*****予**期日***も***まだ***未完******でし***

その後***大***延ばし*********やっと完******調整な******せん****

それでも***直後******遊ん******はいて*********収******ありまし***

***かし***幸せ***長***続かな******です。

別の******が始まると******は***離******

***結局******期間より短い***期間で******終了***になりました。

その後***男の姿***見***いませんでし****


 話し終わった悪霊はふーっと息を吐いた。


「夏はやっぱり怖い話だよね」


「関わりたくない話だな」


 言いたい事を言って満足した悪霊は、浄化の儀式を素直に受けて天国へ旅立っていき、壱人とイッQがやっと終わったと一息つこうとした時、マイナマイナから締めの言葉が発せられた。


「これで悪霊の捕まえ方から浄化の仕方まで分かったかな?夏休みの自由研究は悪霊の観察で決まりデスデスね」


「普通の良い子は悪霊を捕まえませんよ!」


 こうしてよく分からない雰囲気で夏休み特別企画は終了した。

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