宝くじ

あのウチは宝くじが当たって

ずいぶん羽振りがよくなりましてね


国産が外車に変わる、高そうな指輪をはめる

いくら当たったかなんて話は

表立ってはしないけれど


つけているものだの、態度だのが変わってくりゃ

よほどのにぶ朴念仁ぼくねんじんじゃなけりゃ

アレは誰でも気付きます

それぐらいには露骨でしたよ、ええ


でも、そこからがいけない



奥さんは原因不明の病でポックリ逝っちまうし

娘さんは交通事故で二目ふためと見られぬ、ひどい有様ありさまだったそうです


旦那さんも顔に腫瘍しゅようができて苦しみぬいた挙句

ご承知の通り、最期は階段から転げ落ちておっんじまった


せっかく、運が向いてきたっていうのにね


そりゃ

わたしゃ、嫉妬心からちょいと呪ってみましたけれど

まぁ、こんな風になるとは思わないじゃないですか?


ほんのちょっとバチが当たれば、それで良かったんですよ

でも、こうしてみんな死んでしまうと、さすがに寝覚めが悪い


この呪法じゅほうが効いたのか、効かなかったのか

気になってね、偶然だったら偶然で良いんですよ


でも、もし、わたしが原因だったら困るじゃないですか?


だからね、こうやっていろいろと実験してるわけです

別に憎くてやっているわけじゃない

やってみなきゃ、わからない事だってあるでしょう?


当たるも八卦はっけ、当たらぬも八卦ってね

これでまた人が死んだら? とおっしゃる?


そん時はそん時ですよ

ええ、あなたもわたしの呪法で殺して口封じですよ

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