第55話 天国へ続く料理

 フルフルの料理が来るまでの間、アーク達は席に着くと適当に作ったオードブルを食べながら、近状について話をしていた。


「やっぱり、問題はアルセムですね。あの空獣を倒さない限り、円卓にファナティックスは現れないと思います」


 そう話すベッキーに、アークが真面目な表情になって首を左右に振る。


「それは分かってるさ。だけど、ファナティックスといちゃつく前に、アルセムが居るとは思わなかったんだよなぁ……。例えるなら、美人妻と浮気しようとベッドに潜り込んだら、マフィアのボスが寝ていてビックリ。そんな感じだけど分かるか?」

「その例えは、全く分からん。ついでに真面目な顔で、下ネタを言うな」


 ウィスキー片手に言い返すアークに、フランシスカとフルートが呆れ返る。


「ところで、親父。ダヴェリール軍はどうなっている? 討伐に失敗したとは聞いているが、それから何もないというのも変な話だ」

「他国へ情報が出ていないのも気になる。スタンピードが発生しそうなら、周辺諸国へ応援を要請するのが、国同士の決め事だったはず」


 フランシスカとフルートが思っている事を口にする。

 ちなみに、フルートの言う通り、ダヴェリールは北から来る空獣による被害を一任する代わりに、周辺諸国から防衛費を貰っている。その代わりに、常に空獣関係の情報を各国に公開する決まりがあった。


「スタンピードは1度収まると、数十年間は空獣が大人しくなる。その間に人間は、次のスタンピードのために対策を考える、最初の内はな。だけど、20年以上何も起こらないでみろ。人間って奴は、いくら口で奇麗ごとを言っても腐るんだよ」

「人類がクソなのは知ってるって……」


 アークの冷やかしを無視して、マイキーが話を続ける。


「俺が知る限り、今のこの国の貴族は権力争いに夢中で、空獣なんて見向きもしてねえ。軍も失脚を恐れて逃げ腰だ。おまけに新聞を見れば、スタンピードの情報なんてどこにも書いてねえ。どうやら、新聞屋も口では崇高なジャーナリズムを口にしているが、貴族の犬と成り果てているらしい。「世の中、平和が1番」という奴ほど、人間として腐ってるんだろう」


 マイキーの話を要約すると、ダヴェリールの政府と軍人、おまけにジャーナリストが平和ボケしてしていると言っており、その彼の話を聞いた皆は、深い溜息を吐いた。


「つまり、利権争いに夢中でスタンピードを無視していると……」

「奴等が言うには、スタンピードよりも優先するらしいぜ」

「どっちにしても、同じ事だ!」


 呆れて確認してきたベッキーにマイキーが言い返すと、話を聞いてフランシスカが吐き捨てた。




「政財界の話はクソが漂うから、メシが不味くなる。この話はやめようぜ」


 そう言って、アークがウィスキーの入ったグラスを一気飲みする。


「だけど、このまま何もしないという選択肢はダメだと思います」

「この村の空獣狩りだけで、あのアルセムを倒すのは難しい。それに、もし倒すのを失敗して、この村を放棄してもスタンピードは起こる。そうなれば、大勢の犠牲者が出るのは確実だ」


 ベッキーとフランシスカが今のままではダメだと言い返していると、フルートが口を開いた。


「でも、私とアークができる事って、空獣を倒すだけだと思う」

「その通りだ。俺達は政治家でも、軍人でも、ブンヤでもねえ。稼ぎの3割を税金で取られて、それがクソな事に使われるのは確かにムカつくけど、逆の立場で政治家になれと言われたら、死んでもお断りだな」

「アークは責任を取るのが嫌いだから」

「さすが相棒、分かってらっしゃる」


 フルートのツッコミに、アークがニヤリと笑ってサムズアップを返した。


「褒めてないから」


 フルートが呆れたように肩を竦める。


「あっそ。だけど、あれだ。俺達で何もできないんだったら、やっぱりプロに任せるべきだと思うぜ」

「……また?」


 プロと聞いて、フルートがフルフルを倒していた時に現れたヴァリアントトードを思い出す。


「カエルの事じゃねえよ。大体、カエルに何を任せようってんだ」

「じゃあ、何?」

「俺がガキの頃、村に政治思想が偏った吟遊詩人が来た時があったけど、ソイツが言うには、国も人間も同じらしい。今思うとソイツは吟遊詩人のふりをした、逃亡中の無政府主義のテロリストだった気がする」

「……ふむ。国も人間も同じという意味は分かる」


 フランシスカが頷くのを見て、アークが片方の肩を竦める。


「至って単純で大したことはねえ。そのテロリストが言うには、人間が病気になれば医者に診て貰うのと同じで、国がクソなせいで民衆が苦しんでいたら、外から国を治療するのが1番手っ取り早いらしい」

「確かにソイツは吟遊詩人じゃなくて、テロリストだな」

「だろ」


 フランシスカが顔を顰めると、アークが皮肉な笑みを浮かべた。


「つまり、ダヴェリール以外の国から、政治的圧力を掛けようって事?」


 フルートの質問にアークが頷く。


「その通り。俺達が直接行動したらただのテロリスト。捕まって絞首刑だ」


 アークが自分の手で首元を絞めて、「オエッ」と縛り首の演技をしてから話を続ける。


「だけど、情報を他の国にリークするだけなら、あら不思議。ただのテロリストが、内部告発をしたヒーローに早変わりだ。そこでベッキーちゃんのお仕事だ」

「へ?」


 突然話を振られたベッキーが、自分を指さして変な声を上げた。


「この村の補給を一任されて、しかもスヴァルトアルフからの直輸入。ダヴェリールからの介入が何処にもない、物流ついでにどこからも干渉されない情報を伝えるパイプラインが既に出来上がってるんだ。ウルド商会経由でスタンピードの情報を外国にリークすりゃ、後は勝手に国同士で動く。そんな気がするんだけどどうだ?」

「そんなに上手く行きますかねぇ……それに、他の人が既にやっていると思いますよ」


 今の話を聞いてベッキーが首を傾げる。

 そんな彼女に、アークが人差し指を左右に振った。


「チッチッチッ、あまいぜ。既に外国にスタンピードの情報が流れていたら、こんな状況になってねえ。ここに来る途中でスヴァルトアルフに寄ったけど、スタンピードのスの字も出てなかったぞ」

「あーー確かにそうですね……」

「まあ、ベッキーが出来なきゃ俺達は空獣の餌になるだけだ」

「ひぇーー!」


 アークの言い返しに、ベッキーが悲鳴を上げていた。


「他人任せだけど、確かにこのまま何もせずスタンピードを迎えるよりましだな。ベッキー。オッドさんにも今の話を報告して動いてくれ」


 フランシスカの指示に、ベッキーがコクンと頷いた。


「わ、分かりました。オッドさんの他にも、私の友達にスヴァルトアルフでフリーライターをしている人が居るので、彼女にも手紙を出してみます」

「おっ? 意外な伝手があるな」


 ベッキーの話にアークが驚くと、彼女は気まずそうに身を縮めた。


「だけど、その友達は食レポ専門の人だから……」

「あはは。まあ、その友達は無理でも新聞社と繋がりがあれば、何かしらのアクションはあるだろう」

「そうだと良いですね……」


 面白そうに笑うフランシスカに、ベッキーは少しだけ疲れた様子で「はぁ」と溜息を吐いていた。




「フラン。話は変わるけど、ワイルドスワンに30mmのガトリングって付けられる?」


 今後の方針の話が終わったところで、フルートが機銃の強化について相談してきた。


「藪から棒にどうした?」

「ここの空獣が固くて、20mmだと歯が立たない。30mmのガトリングに変えたい」

「今のままだと無理だな」


 フルートの相談に、マイキーが横から口を挟んできた。


「俺が知る限り、ワイルドスワンは元々13mmを積んでいた筈だが、違うか?」

「ギーブが20mmに交換した。ちなみに、そこにパイロットの要望は一切なく、自分の趣味で変えやがった」


 アークがギーブとの会話を思い出しながら話す。


「やっぱりな。あの火力第一主義のギーブが30mmにしなかったんだ。俺の予想だと積むのは可能だと思うが、撃つ度に機体がブレたり、下手すりゃ飛んでる最中に機体が分解する問題がありそうだ」

「……そうだな。親父の言う通りだと思う。ワイルドスワンの基本は火力ではなく機動力だ。敵の攻撃を躱して、弱点を突く戦法に特化している。操縦はピーキーだけど、腕次第で現行のどの機体よりも強い筈だ」

「……残念」


 マイキーの説明にフランシスカも同意して頷くと、フルートがガックリと肩を落とした。


「だけど、諦めるのはまだ早いぜ」

「……え?」


 全員がマイキーを見れば、彼は片方の口角を尖らせて笑みを浮かべていた。


「実は俺のドックにワイルドスワンの設計図が眠っている」

「馬鹿な! 私が知る限り、ワイルドスワンに関する資料は全て軍が焼却した筈だ!!」


 マイキーの話に、フランシスカが席を立ち上がって大声を上げた。


「そんなに驚く事か? 俺はあの機体を設計した内の1人だぞ。主任は殺されちまったけど、その設計思想を俺は知っているし、資料も軍が回収する前に俺が写して退役したから、未だに手元にある。今直ぐは無理だが、時間さえあれば30mmを積めるように改造出来るぜ」

「だけど、あのワイルドスワンは20年間、ギーブが下半身をおっ立てて改造したから、その設計図とは違うぞ」


 そう言うアークにマイキーが頷く。


「それが1番の問題だ。今のワイルドスワンはギーブ大尉の趣味が暴走して作られた機体だ。正直言って、他人では理解できない構造になっている。俺も色々調べたが、天才と馬鹿は紙一重という言葉の意味を十分に知ったよ。フラン。お前もワイルドスワンを弄っただろ。内部構造を見てどう思った?」


 マイキーの質問に、フランシスカが目を瞑って考えながら口を開く。


「一言でいえば、一般人が理解できない芸術品だな。20年前のパーツと、最新のパーツが無駄なく組み込まれている。私の改造はそれを真似しながら作ったけど、あれを一から作れと言われたら、間違いなく無理だろう」

「一般人が理解できない芸術品ってのは、アブノーマルな自己性的欲求不満を具現化しただけじゃね?」


 フランシスカの感想を聞いて、アークが冗談交じりのツッコミを入れた。


「ヒデエ例えだ。一度、時間がある時に、あのワイルドスワンをじっくりと調べよう。それで、耐久度を上げられるか試してみる。俺に出来るのはこれぐらいしかないからな」


 そう言うと、マイキーは不自由な足を叩いて肩を竦めた。


「アルセムとの戦いが終わったら、その時はお願いします」


 フルートが頭を下げると、マイキーは手をヒラヒラさせて「了解」と頷いた。




 フルートがレッドの母親にフルフルの料理の依頼をしてから、3時間が経過していた。

 家の玄関からノックの音がして、トイレに行く途中のアークが扉を開けると、レッドが両手で鍋を持ちながら彼を見上げた。

 この2人……レッドは毎日ギルドに行って弁当を売っていたが、一方のアークはワイルドスワンの整備や空獣の回収作業が忙しく、昼間にギルドへ立ち寄る暇がなかったので、会うのは今日が初めてだった。


「……ラスボス?」

「誰がラスボスだ。よく分からねえが、人生のエンディングを迎えたいのか?」


 アークの言い返しに、レッドが全力で首を横に振る。


「冗談だ。お前がレッドだろ。フルートから聞いてるぜ。中に入れよ」

「お、俺、料理を持ってきただけだから……」


 レッドが料理の入った鍋をアークに渡そうとするが、彼は受け取らずに手招きして家の中へと誘う。


「すまねえが、ションベンしに行く途中なんだ。間違ってその鍋に俺の黄金エキスが入ったら、全員からぶっ殺される。悪いがテーブルに運んどいてくれ」


 アークはそう言い残すと、レッドを玄関に放置してトイレに入った。


「はぁ……」


 残されたレッドは「黄金のエキス」の意味が分からず困った表情を浮かべたが、このまま玄関に立っていても仕方がないので、鍋を持って家の中に入った。


「レッド君?」

「ん? 誰だ?」


 フルートの声でレッドに気付いたフランシスカが視線を向けると、レッドが思わず後ろに一歩下がった。

 レッドが脅えた理由は、大人の女性から声を掛けられたからか、迫力のある美人から声を掛けられたからか、それとも猛獣に恐れをなしたのかは不明。


「何故、私を見て後ろに下がる」

「まあまあ」


 フランシスカが眉を顰めて話し掛けるのを、何となく彼と共感を持った気がするベッキーが抑える。

 そして、味方がいる事に安堵したレッドが、料理の入った鍋を持ち上げた。


「えっと……フルフルの料理を持ってきました」

「わーーありがとう」


 ベッキーが料理を受け取りに立ち上がると、両脇のマイキーとフランシスカが、彼女の肩を押さえて座らせた。


「……何ですか?」

「何となく料理が食べれなくなる気がしてな」

「残念ながら親父と同意見だ。ズッコケネタは時と場合を考えるべきだと思う」

「……大人しくしています」


 大人しくなったベッキーの代わりにフルートが立ち上がって、レッドからフルフル料理の鍋を受け取った。


「わざわざありがとう。それで、アークは?」


 レッドを家に入れたアークが居ない事に訝しんだフルートが質問すると、レッドが首を傾げて口を開いた。


「自分の黄金エキスが鍋に入ると殴られると言って、トイレに行きました……ところで、黄金エキスって何ですか?」

「「「「…………」」」」


 それを聞いた途端、全員が無口になる。

 何となく部屋の空気が殺気めいた事に気付いたレッドが、上目遣いで見れば、全員のこめかみから青筋が浮かんでいた。


「なんで、あのクソ野郎は相手に合わせて冗談を言わないんだ!!」

「女性だけでなく、同性でも、子供でも、お構いなしですね!」


 マイキーが怒鳴るのに続いてベッキーも呆れたように呟き、フランシスカとフルートは諦めたかの様に頭を左右に振っていた。

 そのタイミングでアークがトイレから戻ると、レッドの後ろに立って首を傾げる。


「ん? なんかムードが殺伐しているな。何か良い事でもあったか?」

「アーク。チョットそこに座れ」

「言われなくても座るけど?」


 アークが席に座ると、フランシスカが説教を始めた。


「どうしてお前は、こうも下品なんだ!」

「チョットだけニュアンスを捻るぐらい、良いじゃねえか」

「どこが軽くだ! 普通にトイレに行くと言えば済む話だろ!」

「あーやだやだ。人間、ユーモアがないと人生、面白くないぜ」

「お前のはユーモアを通り越して、ハラスメントなのを自覚しろ!!」

「落ち着けよ、欲求不満か? メシ前にスパナでも股間にツッコんでスッキリしてこいよ!」

「ああ、お前をスパナでぶん殴ってスッキリしてやるよ。親父、スパナを寄越せ」

「今、持ってるわけねえだろ。お前も落ち着け」


 アークとフランシスカの言い争いがヒートアップすると、お互いに席を立ち、テーブルを挟んで怒鳴り合いを始めた。

 その怒号が鳴り響く中をフルートは何時もの事だと気にせず、テーブルにツカツカと近寄って鍋を置く。

 そして、再びレッドに近づくと笑顔で話し掛ける。


「レッド君。アークが言った事は忘れる様に」


 レッドがフルートを見れば、その目は笑っていなかった。


「……う、うん」


 レッドの返答にフルートは満足すると、ポケットから1万ギルを取り出してレッドに渡した。


「料理を持ってきてくれたお礼とチップ」

「え……こんなに?」

「口止め料も含んでるから」

「……あはははは」


 口止め料と聞いて、レッドがから笑いをしていた。




 レッドが帰った後、料理が冷めるという理由で、2人の喧嘩も一時中断となった。


「……ヒデエ目にあった」

「お前のせいで、喉が痛い」

「フェラチ……いや、なんでもない」


 アークは何かを言おうとしたが、フランシスカからギッと睨まれると、話の途中で口を閉ざした。

 2人が落ち着いたのを見て、フルートが鍋のフタを開けると、部屋中に食欲をそそる匂いが漂った。

 その匂いに全員の鼻の孔が広がり、匂いを逃がすまいと鼻をヒクヒクさせる。


「すごい」


 ベッキーの呟きに、他の皆もウンウンと頷く。


 そして、全員が匂いの元の鍋を覗くと、湯気の中からホワイトソースのシチューが姿を現した。

 鍋の中には、フルフルの肉の他にも、ジャガイモとニンジン、キノコが入っていて、白いスープの表面を見ればフルフルの肉から出た透明な黄金の油が浮かんで、それが全員の食欲をさらに増していた。


「黄金のエキスが凄いな」

「アークさん。間違ってはいませんが、先ほどの話を思い出しちゃうので、その単語は言わないで下さい」


 アークの感想に、ベッキーが顔を顰める。


「こりゃ失礼」


 フルートが取り分けて、全員の皿にフルフルのシチューが配られると、彼女も席に座った。


「いただきます」


 フルートの声を合図に、全員が同時にシチューを口に入れる。

 フルートがシチューを口に入れた途端、トロミのあるスープが優しく口の中に少しずつ広がった。

 味はフルフルの肉から出た油と、野菜から出たエキスが混ざり、複雑且つ、調和。それがホワイトソースと絡み、幸せに包まれる気分になる。

 シチューをゴクンと飲み込めば、胃の中が暖かくなって、思わず目を閉じて溜息を吐いた。


「……おいしい」


 フルートが感想を述べている横では、アークが自分の腕を触って驚いていた。


「すげえ、見ろよ。食べた途端、あまりの美味さに鳥肌が立ってるぜ」


 ベッキーが頬っぺたを押さえならが、幸せな表情を浮かべる。


「こんな美味しいシチューは初めてですーー。お肉を口の中に入れた途端、溶けちゃいましたーー」


 それでフルートも、フルフルの肉をスプーンに乗せて口の中へと入れる。

 口の中に入ったフルフルの肉は、歯を使わず上あごと舌で抑えるだけで潰れ、口の中で肉汁があふれ出した。


「本当に柔らかい……」

「財産を投げうってでも、食べるだけの価値はあるな」

「もう俺は、何時死んでも構わねえぜ」


 フランシスカに続いて、マイキーも気が抜けたように肩の力を落として呟いた。


「マイキー。今死んだら、死因が食中毒になるぞ」


 アークの冗談に、ベッキーが何かを思い出したらしい。


「そう言えば、フルフルの料理って、あまりの美味しさに食べたら、そのまま死んじゃうって伝説があるみたいですよ」

「縁起でもねえ事を言うな。マイキー。やっぱり、お前は食うな」

「アホぬかせ。地獄と言われたコンティリーブで、天国の気分が味わえるんだ。アルセムでも死神でも、このメシは誰にも渡さねえよ」

「これだけ食い意地が張ってれば、死にやしねえな」


 マイキーの言い返しに、アークが肩を竦める。

 この日の夜は、全員がフルフルの料理で、アルセムの事を忘れ楽しく過ごしていた。


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